Nicotto Town



核のゴミ処理待ったなし

東京都の下水処理場で高濃度の放射性物質が混入した汚泥がたまって、都庁の関係者が頭を抱えているそうだ。
福島県よりはマシな状況とは言え、第一原発からまき散らされて東京まで降り注ぎ、広く薄く降り積もった放射性物質が雨水などに流されて下水処理場に集まってしまったらしい。

一か所にかたまってしまうと全体での放射線量が基準値を超えてしまう。
通常下水の汚泥は埋め立てなどで処理するのだが、放射性物質を大量に含んでいるとなるとそうはいかない。
また当然東京都内で処理しなければならない。どこかに埋めるにしても、住民の猛反発は避けられまい。

東京でこの有様だから、福島県で本格的に除染作業が始まったらもっと頭の痛い事になる。
福島県では現在、表土を深い場所の土と上下ひっくり返す事で放射線レベルを下げているが、あれはあくまで対症療法だ。

放射性元素を土壌や水から分離できたとしても、それをどこへ持っていくかというのは重要な問題である。
原発を残す派はもちろんだが、原発廃止論者の人たちも真剣に考えて欲しい問題である。

仮に今すぐ日本中の原発を止めて廃止するとしても、約40年原子力発電を行ってきた日本には大量の核のゴミが既に存在している。
これを最終的にどう処分するかは、原発廃止派もまた避けて通れない難問なのである。

青森県六ケ所村の核燃料再処理工場に廃棄物処理場が隣接されているが、六ヶ所村で最終処分できるのは低レベル廃棄物だけである。
原発作業員の使った防護服とか手袋とか周辺施設の低い放射能を帯びた部品とか、そういう物を埋設して処分できるに過ぎない。

原発の炉心の容器や使用済み燃料などの高レベル廃棄物は、六ヶ所村では「中間処理」ができるに過ぎない。
つまり地中に埋設できるだけ低温になるまでの一時保管しかできないのである。

放射性廃棄物は溶解、焼成などで出来るだけ体積を減らして簡単には割れない特殊なガラスの中に封じ込める。これをガラス固化と言う。
そしてガラスごと数十メートルとか数百メートルとかの深い地下に埋める。これが「最終処分」である。

ところが、高レベル廃棄物の最終処分場をどこにするのか、未だに何も決まっていないのである。
福島県のあの惨状を見た今となっては、いくら莫大な補助金出すと言っても引き受けてくれる自治体はあるまい。

もっと問題なのはプルトニウムである。原発を全廃するなら、プルサーマルは論外であるはず。
しかし日本は既に使用済み燃料棒から再処理して抽出した膨大な量のプルトニウムを保有してしまっている。

その量は国家機密で正確には分からないが、原子力の専門家は少ない方で、広島・長崎級の原子爆弾数百発分、多く見積もる人は数千発分と言っている。
そしてプルトニウムの半減期は代表的な同位体で約二万四千年。

半減期とはあくまで半分になる期間の事。
だからもし今原爆200発分のプルトニウムが日本にあるとすると、二万四千年経ってやっと100発分になる、という事だ。
全量が崩壊して完全になくなるまで五万年?十万年?もっと?

この膨大な量のプルトニウムを日本は今後どうするのか?
原発をすぐに、あるいは徐々にでも全廃するとしても、日本は今後数万年にわたってこの放射性物質を保有し続け、かつ安全に管理しなければならない。

考えられるのは、プルトニウムを燃料とする安全性の高い原子炉を開発して、プルトニウムとセットでこれから原発を持とうという国に売る事だ。
だが、これには悩ましい問題がある。

原発から出たプルトニウムのほとんどはそのまま原子爆弾の材料、爆薬に相当する部分に使えるという事である。
ウランのように濃縮する必要がない。
原発の燃料にするからと言って買った国が、核兵器に転用しないという保証がないのだ。

既に大量に存在する核のゴミ、そしてプルトニウムを今後どうするか?
これを日本の原子力政策は真剣に考えず、結論を先送りにしてきた。
クレージー・キャッツの歌ではないが「そのうち、なんとか、なるだろう~」というノリで今まで来てしまったわけだ。

だが、福島原発から遠く離れた東京でさえ、高濃度の放射性廃棄物をどうするかの問題に今現在直面している。
今はまだ規模が小さいから騒ぎになっていないが、原発を廃止するにせよ続けるにせよ、けして避けては通れない問題になる。

使用済み燃料はたとえある程度冷えた後でも、一か所に大量に置いておくと危険だ。
さらにプルトニウムは一か所に大量に保管していると、大地震などで容器が破損した場合、臨界量以上の塊ができてしまう危険がある。

だから、できるだけ多くの場所に小分けにして保管しなければならない。
日本中で「うちの地元はだめ」と言ったら状況は悪化するばかりだ。
原発を残すにせよ全廃するにせよ、既にある核廃棄物をどこがどれだけ引き受けるか、という問題がいつか必ず出てくる。

擁護派も反対派もこの点を忘れずに議論して欲しい。

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2011/06/18 23:48
公共広告機構のCMで、その場限りは、やめましょう。鼠と猫と殺虫剤と・・・みたいな話ですね。
高齢化の問題。高速道路料金の問題。少子化の問題などなど日本人って、もっと賢いんじゃなかったの?
なぜ、日本人のニートがこんなに増えたの?ゆとり教育なんて、出来のいいこと悪いこの差をつけただけ?
社長にはむかう人間を育てた教育なのかしら?
不知詠人さん政治家になって、日本を変えてください~~~。
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2011/06/17 15:04
今後考えていかなくてはいけない問題ですね
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2011/06/17 08:26
安易な考えかもしれませんが、元々原子力の塊の様な太陽に捨てるのはダメなんですかね?
または、金星とか人類が住めないよう惑星に廃棄するとか・・・。

捨てる=悪 だとすれば、ダメな考えなんですけどね・・・。
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2011/06/16 23:33
「地中深く埋めたから大丈夫です」って言われても現状では到底信用できませんものね~

どこが引き受けるかという議論になると必ずと言ってもいいくらい過疎の村とかが候補に挙がるけど、「人数少ないからいいかっ!」って思えるようなものでもないし、本当に難しいです。
この村が川の上流にあったら、下流の町だって他人事ではありません。

プルトニウムを大量保有しているということは「日本でも原爆類を製造できる」ということでもあり、日本を敵視している(もしくは信用していない)国にとっては不安材料でもあります。
前にも書かせていただきましたが、原爆の類は日本の技術力なら作成可能だろうし、外交の手段のひとつとして「貴国の対応次第では製造せざるを得ない場合もある」くらいのカードを持つということは考えられますが、実際に作って維持管理するのは大変なことですから「作ることが望ましいとは思えない」。
これから発電に利用しないということになるとしたら「日本は何をするために保有しているのか」という目が世界にはあることは自覚した方がよいのかもしれません。

それから、これだけたくさんの原発があり核燃料があるということは、他国と紛争が起きたら攻められる可能性があるしテロの対象になる可能性もあります。
自衛隊や警察の皆様も震災対応で多忙を極められているとおもいますが、そういった行為の防止策もお願いしたいところです。
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2011/06/16 22:42
まったくそのとおりです。。。

そんなやっかいなものを、、もうこれ以上増やさないで頂きたい。。




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