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スーパーヒーローのエネルギー源の変遷

ロボット、超人などのスーパーヒーローのエネルギー源にも時代の流行が反映されていて、今あらためて並べて見ると結構面白い。

1950年代から60年代にかけては、原子力で動くスーパーヒーローがかなり多かった。
戦後すぐのマンガ、テレビのヒーローではまず「鉄腕アトム」がある。
「鉄腕アトム」というタイトルでマンガの連載が始まったのが1952年、テレビアニメの放送開始が1963年。
日本初の原子炉が東海村で稼働したのが1963年だから、かなり時代を先取りした設定と言える。

「ジャイアントロボ」も原子力で動く巨大ロボットである。
原作マンガの連載開始が1967年、実写特撮テレビドラマの開始が同年10月。
だがアトム同様、原子力エネルギーがどういう物なのか、という点は作者ないし番組制作スタッフ自身もよく理解していなかったようだ。

テレビ版ジャイアントロボの最終回で、敵の首領との最後の決戦の最中にジャイアントロボの「原子力燃料」が尽きてしまう。
これを予測していた敵の首領がジャイアントロボの原子力燃料は「もう一滴もないのだ」とうそぶく場面がある。
しかし「予備タンク」の原子力燃料が残っており、再び動き出したジャイアントロボは敵の首領を抱えて宇宙へ飛び出し、もろともに自爆する。
これを見ると原子力燃料というのを、ガソリンと同じイメージでとらえていた事が分かる。

人間大のヒーローでは「エイトマン」も動力は小型原子炉である。
ただ、エイトマンの場合はSF作家の平井和正氏が原作者であるため、「冷却が必要」というリアルな設定がマンガ版ではしてある。
エイトマンのベルトのバックルにはタバコ型の冷却材が入っており、戦闘が長引くとこれをタバコを吸うように吸いこんで体内を冷却する必要があった。

ただテレビアニメでは子供の喫煙を助長する惧れがあるという事で、この冷却材は登場しなかった。
またこの冷却材が原子炉を冷やすのか、加熱した電子頭脳を冷やすためなのか、作品の中で混乱が見られた。

こういう「正義のヒーロー物」は戦闘シーンが子供の暴力を助長するとか当時のPTAなどに難癖つけられたが、「原子力」という設定が非難されたという話は聞いた事がない。
原作者も広島、長崎の悲劇をリアルタイムで知っている世代のはずだが、やはり当時の日本では原子力は「夢のエネルギー」というイメージの方が強かったのだろう。

ウルトラマンも1967年の開始だが、さすがに「原子力がエネルギー」という設定は使い古された感があったのか、「太陽エネルギー」で動く巨大超人である。
シリーズ中で何回か、ウルトラマンが地球を飛び出して太陽の近くまで飛んで行き、太陽の光を浴びてエネルギーを回復するシーンがあった。
今から考えると結構エコな超人だったのだ。

1970年代になると今で言う自然エネルギーがスーパーヒーローにも登場してくる。
「仮面ライダー」の1号、2号、V3まではその動力源は風力発電である。
ベルトのバックル部分に小さな赤い風車がついていて、これが回転してライダーのエネルギーを生み出している、という設定だった。
「人造人間キカイダー01」の動力源は太陽電池である。今で言う太陽光発電だ。

その後は科学の分野で新しいエネルギー源の発見、研究が停滞したせいか、想像上の「新エネルギー」が主流になっていく。
1972年から始まった「マジンガーZ」の動力源は「光子力エネルギー」だが、物理科学の世界でいう光子とは似て非なる物に描かれていた。

1974年開始の「ゲッターロボ」のエネルギー源は「ゲッター線」という「未知の宇宙線のエネルギー」。
しかし、どういう仕組みの動力源なのかは特に説明はない。

1979年開始の1作目の「機動戦士ガンダム」では、動力源は再び原子力に戻っているが、これはあんな巨大なロボットを動かせるのは原子炉しかないだろう、というリアリティ重視の結果であり、もう原子力は「夢の未来エネルギー」という扱いではない。

宇宙戦艦ヤマトシリーズでは「波動エネルギー」や「暗黒エネルギー」などの、当時の先端科学の用語が出てくるが、どれも言葉のイメージから空想された物であり、あまり科学的なリアリティはなかった。

1996年開始のアニメ「機動戦艦ナデシコ」では、当時一般にはまだ新しかった「真空の相転移」という宇宙物理学の概念をかなり真面目に取り込んで「相転移エンジン」なる超エネルギー源を設定していた。

2007年開始の「ガンダム00」では、最強のエネルギー源として再び太陽光エネルギーが復活している。

一方1972年の「レインボーマン」から始まった、超自然的な力で変身するというパターンのスーパーヒーローの系譜も現代まで続いている。
1992年開始の「セーラームーン」シリーズも、この系譜である。

さて、福島原発事故以後のスーパーヒーローのエネルギーには、何が登場してくるだろうか?

アバター
2011/08/11 23:38
スーパーヒーローたちは時代を先取りしてるんですね。
アバター
2011/08/11 04:22
世相を反映しますね。
そのうちハイブリッドが出てきたりして。
アバター
2011/08/10 15:03
色々出つくしてきてるように思いますね。

リアリズムを究明しなくても、
本来のSFにもどっていいような気もします。

ヤマトのワープ航法はできないことはわかってしまったんだし。
...ワープ。
夢があったなぁ。
一瞬で宇宙の別の空間へ行けるんだもの。
アバター
2011/08/10 10:34
私は、スーパーロボット大戦で出てくるマイクロブラックホールを利用する
動力エンジンが、好きです。
1970年代ごろのSFには、車のエンジンもガスタービンエンジンなども
良く登場していましたよね。
アバター
2011/08/10 07:07
ウルトラマンって元々地球人と同じような体格だったのが核エネルギーであんなになったとかいう設定がありませんでしたっけ。
よく考えたら怖い話ですが。
当時はまだ性質がよくわかっていなかったのかもしれませんね。
アバター
2011/08/09 22:29
おそらく元気玉てきな技が流行るかと
ブログ観覧失礼しやした
アバター
2011/08/09 21:55
ふぅむ……大体のエネルギーはスーパーヒーローが
使ってしまっているわけですか……
こういう観点から特撮と社会情勢を結びつけるっておもしろいですね^^

次に使われるエネルギーは……正直もう使われてない
エネルギーと言えば地熱とか……?
なんだか地味なヒーローの出来上がりだ……




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