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敗者の美を描いたマンガ

マンガというとヒーロー物や、勧善懲悪、ハッピーエンドで終わる物語ばかりと思われがちだが、日陰者や敗者の物語である作品もけっこうある。我輩の好みはこっちだ。

何かの分野で天才的な才能を持ちながら日のあたる世界では活躍できないヒーローという物になぜか昔から惹かれる。
代表的なのは故・手塚治虫氏の「ブラック・ジャック」。作者名を忘れたが「ザ・シェフ」という流れの天才フレンチ料理人の物語もあった。
実在の人物のそういう逸話を集めたドキュメンタリー調のマンガで「栄光なき天才たち」というシリーズもあった。

敗者の美学ともいうべき哀愁を描いたのが松本零士さんの「ザ・コクピット」。第二次世界大戦末期の日本軍やドイツ軍の、負けると分かっている戦争の中で最後まで誇りを捨てずに死を選んだ名もない兵士たちの物語だ。

こういう種類の話が青少年向けの娯楽として成立するのは、どうも日本だけらしい。
「フランダースの犬」がアニメも原作小説も、欧米ではほとんど知られていないのは有名な話だ。人生の敗者としてみじめに死んだ、ただそれだけの話だから、という理由でらしい。

敗者や日陰者のストーリーを何か美しい物と感じる感性はどうも日本人独特のものらしい。逆にサクセスストーリーばかりを子ども時代に吹き込まれた欧米人が日本製アニメに惹かれる原因もこの辺にあるのではないか、という気がする。

当然だが、欧米社会にだって人生の敗者は大勢いる。才能があってもそれを活かすチャンスに恵まれないまま埋もれていく人も大勢いるだろう。
そういう人たちにとっては、サクセスストーリーやお約束のハッピーエンドで終わる物語は、ある意味残酷なものだろう。

日本には古くは「平家物語」など、敗者として滅んでゆく者たちの内に美を見い出す文芸形態が昔からある。その系譜を一部のマンガが引き継いできたわけだ。

が、昨今日本でも「勝ち組、負け組」みたいな単純な二分法で他人を見る風潮が強くなってきている気がする。
敗者や日陰者のストーリーが文学であれポップカルチャーであれ、日本から失われてしまわないかと心配だ。

アバター
2009/05/09 22:13
敗者の美・・・なるほどです。
確かに結構多い気がしますね、日本の作品。
逆にハッピーエンド好きの欧米人・・・実際本当にどう感じるのでしょうかね。

しかし、フランダースの犬、欧米ではほとんど知られていないだなんて><

アバター
2009/05/08 19:40
敗者の美・・・なるほど、言われてみると、たしかに好きかもしれない。
というか、『正義は必ず勝つ』とかいう類が嫌いなだけかもしれない。(ぇ
正義って誰が決めたんだとか悪だから何が悪いとか思うわけですよ。
反抗期だからですかね?←




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