12月自作小説 ~鋭利な刀でも切れない物~
- カテゴリ:自作小説
- 2011/11/24 16:02:18
今日も雨が降っているが、のどかな一日だな。
江戸から明治と年号が変わり、明治八年の春、
つまり一八七六年の春に廃刀令が発布されたので、主である城谷藤助殿と共に行動できなくなってしまった。
午の刻に藤助殿はお戻りになったようだ。
藤助殿は、礼儀作法を忘れてしまうほど大慌てで拙者の元へ来られた。
「風魔。十月二七日に久方ぶりの戦じゃ。廃刀令や秩禄処分がなくなるかもしれんぞ。」
と喜色満面で藤助殿はおっしゃった。
久方ぶりに行動を共に出来るのは刀である拙者にとって嬉しかった。
廃刀令に反対する藤助殿を含む士族にとって給料のような物である秩禄を処分する秩禄処分が発布されてから笑みを見せておられなかったから。
そして、後に「秋月の乱」と呼ばれる戦乱がおっしゃられていた日に起きた。
歴史に詳しい人ならば結果が分かるだろう。藤助殿を含む秋月藩士は小倉の鎮台兵に約一週間で鎮圧された事を。
そして金輪際、元服した時から行動を共にした拙者の主は冷たい土の中でお姿を拝見すら出来ぬ。
宮崎車乃助というこの戦乱を起こした中心人物の一人がやられそうになったため、
藤助殿はその者をかばってやられたのだ。
胴を鎮台兵の一人に刀でバッサリと斬られ、体が緋色に染まった状態で。
そのおかけで、拙者は敵の黒幕にあたる明治政府の手によって処分されてしまった。
ああ、藤助殿が拙者にお与えになった「絆」
切れぬ物がないと評判を持つ拙者には全然切れぬ。
もろくなったのだろうか、人が老化して衰退していくかのように
語りが、刀というのが、面白かったです
コメ感謝です
大丈夫です
私もバトン等はやっておりませんので
あのタメでも大丈夫ですk?
物ではなく、周りの方々を大切にする。
そんな心を持つ日本に戻って欲しい。そう強く思いました。
それを斬ることが出来れば、楽になれるかもしれないのに
有名ですよね
詳細は読んでいませんが
士族の乱って九州で起こったものが多いですね。
もっとも、東北の方は藩ぐるみで、明治政府に
抗して戦い敗れた所が多いですけど・・・
刀の視点から描かれた「絆」と言うのが
斬新に感じました。
雰囲気がよく出ていますね
最近薄れがちな・・絆をテーマにしたお話よかったです
ですから、聞き覚えのない言葉があると思われるので
下の言葉以外に意味が分からない言葉があればおたずね下さい。
午の刻 午前11時から午後1時の事
鎮台兵 地方を守るために駐在する兵士の事
緋色 濃くて明るい赤の事
廃刀令 明治時代の警察や軍隊以外の刀の所持を禁止する法律の事