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国会論戦レベル低過ぎ

田中防衛大臣のF-35に関する発言で野党が大騒ぎしている。
失言を引き出して、いかに大臣に不適格な人物かを国民にアピールして、野田政権に打撃を与えようという作戦なのだろうが、今の日本はそんな事やっている場合か?

F-35の調達価格は一機あたり100億円弱で見積もっている。
カナダがF-35の導入見直しを示唆した結果、総生産数が予定より少なくなり、その結果一機あたりの値段が上がるではないか?という観測がある事は事実らしい。

だが、価格が予定を大幅に上回ったら購入計画を見直すなんてのは、世界中どこの国でも当たり前にやる事であって、値上がりするのかどうかがまだ不明な時に、国会で論戦になるのは馬鹿げている。

現在航空自衛隊は実戦用の戦闘機を3種類持っている。
一つはF-15イーグルを日本向けに改造したF-15J。空中戦の能力が高い機体で、国籍不明機が日本領空に近づいた時に緊急発進、いわゆるスクランブルで飛ぶのはだいたいこの機種。

冷戦時代に旧ソ連が日本海を渡って侵攻して来る可能性に備えて、対地対艦攻撃能力が高い機種を導入した。
まずF-4ファントムを日本向けに改造したF-4EJ。
その後F-16を三菱重工が日本向けにライセンス生産し、F-2という名前で空自に配備された。

F-4ファントムは20世紀の最高傑作の戦闘機と言われ世界中で導入されたが、開発は半世紀以上前で、もうさすがに旧型機である。
空自のF-4EJももう40年以上経っている機体が多く、この「戦闘攻撃機型」の後継機として選定されたのがF-35だったわけだ。いずれはF-35がF-2も代替していく計画だろう。

実は防衛省が当初次世代戦闘機として欲しがっていたのは米軍のF-22、通称ラプターだった。
現時点では世界最強の戦闘機と言われ、対艦ミサイルなども多少は装備出来る。
米国の政府と防衛産業は日本への売却に乗り気だったのだが、アメリカ連邦議会がF-22の輸出を禁止する法律を作ってしまい、話はおじゃんになった。
F-22は米国の最新軍事技術の塊なので、外国への情報漏えいを議会が恐れたらしい。

ステルス戦闘機という括りだけならユーロファイターでも良かった。お値段も一機70億円程度で済みそうだ。
だがユーロファイターはいわゆるデルタ翼という、水平尾翼の無い三角形の主翼と、操縦席のすぐ横に「カナード翼」という小さな補助翼がついた形で、長年米国製の戦闘機に慣れて来た空自には扱いづらいのでは?という懸念があり、選ばれなかった。

また中国の国産ステルス戦闘機、殲20(J20)がベールを脱いだため、これに太刀打ち出来る戦闘機という事になるとF-35が一番適任だという判断になったわけだろう。

F-35の納期が遅れる可能性はあるが、それですぐに日本の防空体制に穴が開くわけではない。
そうなって困るのは米国も同じだから、米軍が予備機として保管しているFA-18のC/D型を安くリースしてもらう事は充分可能なはずだ。

価格に関しても、過去の事例とF-35では大きな違いがある。
これまで自衛隊の戦闘機は米国製の物を「日本がアメリカにお願いして売ってもらう」立場だった。
だから米国の言い値で買わざるを得ず、結果的に値段が予定よりつり上がった事が多かった。

F-35は米国主導ではあるが、イギリス、オランダ、イタリア、カナダ、トルコ、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク、イスラエル、シンガポールとの共同開発、共同生産の機体である。
米国が値段をつり上げるなら、トルコやシンガポール経由で買ってもいいわけだ。
F-35では日本は「買ってやる立場」に立てるのだ。

米国から買う事にこだわるなら、万一納期に間に合わない場合、米軍の一世代前の戦闘機を格安でリースしてもらえるよう、米国政府と交渉しておくべきだ。
高くなりそうだから買うのやめます、という程国防は単純な話ではない。

あと防衛予算の節約の必要性は分かるが、自衛隊のロジスティクスの予算、もうちょっと何とか出来ないだろうか。

東日本大震災の被災地では陸上自衛隊が捜索救助に獅子奮迅の活躍を見せ、自衛隊のイメージを高めたが、あの自衛隊の実働部隊の生活環境は被災者以上に悲惨だったそうだ。
震災直後に津波に呑まれた地域で遺体捜索などをやれば野戦用の制服は一日でどろどろに汚れる。

被災地の宿営所では洗濯もままならない。
ところが被災地へ災害派遣で行った部隊でさえ、制服は一人2着までしか支給されておらず、腐敗しかけた遺体を背負って運んだ隊員が、その猛烈な悪臭のする制服を洗濯もできないまま、着替えもなく、その後何週間も着続けた、というケースもあったそうだ。

せめて災害派遣の時は余分の制服の着替えぐらい持たせてやるべきではないだろうか。
こういう予算を確保するためにも、戦闘機のような高い買い物ではしたたかに立ちまわるのが政府、政治家の使命である。

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2012/03/14 04:21
ブログ広場から来ました。

勉強させて頂きました。
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2012/03/13 07:14
戦闘機のことはさっぱりわからないのですが。
国家公務員採用数削減について自衛隊も例外でないとするのはいただけないです。
今でも就職したい人はそれなりにいるのに予算がなくて総定数を割り込んでいるとか。
装備でカバーする気もないのに頭数もそろえないというのは国防を軽く見過ぎてるんじゃないかとは思います。
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2012/03/12 23:50
F35の開発は迷走を極めてるので、あと五年はgdgdに進むと思うす。完成したにしても、gdgdな機体になりそうなきがします。

国際宇宙ステーションの開発と同じで、日本は金を吸われてるだけって雰囲気だし。他の機種に切り替える方が、安心なんだけどな。




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