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被災地の貸しはがし銀行はつぶせ!

多分被災地でもあまり知られていないと思うが「東日本大震災事業者再生支援機構」というのが発足している。

http://www.shien-kiko.co.jp/

語弊をおそれず大雑把に言えば、国有民営の債権買い取り機構である。
岩手、宮城、福島被災3県の全域、それと放射能汚染で損害を被っている他県の零細事業者、個人事業者が事業を再開出来るようにお金の面で支援するための物だ。

この機構、国が出資した株式会社で、役員などは民間企業の経験豊富な経営者を登用している。
政府に似たような支援の仕組みはあるのだが、震災の被災地の小規模事業者ではほとんどが不適格と判断されてしまうため、自民党参院議員の片山さつきという人が音頭を取って超党派で特別立法を作り発足させたものだ。

この仕組みはいろいろ複雑なのだが、おおまかに言うとこういう事らしい。

被災地で個人経営の事業をやっていて、地震か津波で店舗も自宅も完全につぶれてしまった人がいるとする。
震災前にも資金繰りのために地方銀行などから多額の借金があった場合、それを返すのはしばらく不可能になる。

事業を再開するにはまた多額の資金が必要になるが、前の借金が残っていると貸してくれる民間金融機関はまずない。
借りられたとしても二つのローンの返済に追われる事になり、普通に繁盛したぐらいでは返しきれない。
これがいわゆる「被災地の二重ローン問題」である。

上記の支援機構は一時的な「つなぎ融資」や「つなぎ出資」もしてくれるそうだが、柱となる活動は被災者が借金している金融機関から債権を買い取る事である。

たとえば震災さえなければ黒字でなんとかうまく行っていた個人商店があるとする。
震災前の事業のための銀行からの借金が1億円残っていた。
震災がなければ順調に返済出来る見込みだったが、震災で店舗も自宅も失って今は仮設住宅住まい。

こういう人の場合、震災直前の年間の売上なり収入に対して借金の残高が15倍までなら、この支援機構が8掛けで銀行から債権を買い取ってくれる。
つまり銀行が持っている1億円の債権を公的資金を使って8千万円で買い取り、事業者に対しては「15年後に支援機構に返済して下さい」という事にする。

銀行の方は貸した金の8割しか回収出来ない事になって損をするが、上記のような事業者を放っておくと倒産、夜逃げ、自殺と言った最悪の結果になる危険がある。
その場合銀行は全額貸倒れになるから「2割の損で済めばマシでしょ?だから支援機構に債権を売り渡して、事業再生のための新規融資をしてあげて下さい」というのが片山議員の構想だ。

上記はあくまでモデルケースであって、全ての被災事業者がこううまく行くわけではないだろうが、こうでもしないと被災地の中小零細企業、個人事業主が壊滅してしまう、という危機感から与党野党が協力して法律を通し、この支援機構を立ち上げた。

さて事実上の公的資金による救済になるから、「資本主義の自己責任原則に反している」という批判がある。
理屈としてはその通りである。
だが、片山議員の言によれば、今被災地の仮設住宅ではこんな事が起きているそうだ。

仮設住宅にいる個人事業者などで、銀行に借金があり、地震保険に入っていてまとまった保険金が下りた人たちがいる。
銀行員が仮設住宅を回って保険金でローンの「繰り上げ返済」をするよう頼んでいるというのだ。

どうせ被災した事業者に商売再開なんか出来るわけはないから、なけなしの地震保険金を今すぐ取り上げて、銀行の損を防ごうというわけだ。
当然これに応じた事業者は商売再開は絶望的になる。

江戸時代の高利貸しか?
資本主義の自己責任というのは、金融機関がきちんとその社会的使命を果たしている場合に言える事だろう。
仮設に住んでいる人に滞納分の督促ならまだしも、繰り上げ返済を迫るとは、その金融機関は鬼か?

片山議員はさすがに立場上その金融機関の名前は明かさなかったが、地元の地銀、信用金庫だろうから、被災県の地元の人はどこかすぐ分かるだろう。
その金融機関に預金している人は預金を全額引き揚げて他の金融機関に移す事をお勧めする。
そんな所に金を預けていると、いつなんどき「明日は我が身」という事になりかねない。

貸した金を取り立てるのは債権者の権利だし、貸しはがしもまた民間企業である銀行などの経営判断である、と言うのならそれは認めよう。
だが、そういう血も涙もない貸しはがし、貸し渋りを権利として行使した結果、地元住民から愛想をつかされ、そっぽを向かれ、預金を解約され、倒産に追い込まれる金融機関が出るとしても、それもまたその金融機関にとっての「資本主義の自己責任」であるはずだ。

そんな「地域の金融機関」に存在する価値はない。
被災地の預金者は、そんな金融機関をさっさと倒産させて、もっとまともな銀行や新しい金融機関に取って替わってもらうべきだ。

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2012/03/13 23:52
「もっとましな銀行」と呼べるものがあるならその手もありかなぁとは思うのですが、バブル崩壊後に大手が軒並み貸し渋り貸しはがしに走ったのを目の当たりにした世代としては「そんな神様みたいな金融機関ってあるんかいな」と疑ってしまうわけです。
当時は国の税金で倒産を免れた金融機関もあるのに、国民にとっては「恩を仇で返された」状態でしたから。

片山議員の「二重ローン防止案」はそれなりに意義があるものと思いますが、地元に雇用が生まれないと結局お金が回ってこないんですよね。
復興事業を外部ではなく地元の人を採用して進めてもらえばかなりの雇用が生まれると思うんですけどね。




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