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公安警察の存在感

中国大使館の外交官が、日本国内で事実上のスパイ活動をしていた事実が新聞で報じられ、政府内でもちょっとした騒ぎになっているようだ。
さてスパイの存在自体は今さら、と言うべき話なので、今回の報道で「公安警察」の存在に触れている点を注視してみよう。

もちろん「公安警察」というのは俗称であり、警察機関の一部には違いないが、そういう名前の独立した組織があるわけではない。

日本の警察は47都道府県の県警本部の集合体であり、東京都を管轄するそれは首都を守るという特殊性のため「警視庁」という特別な名前である。
ただし、建前上は警視庁も他の46道府県の警察本部も同格である。

この47都道府県警の行政機能の調整をするために、「警察庁」という政府の機関がある。
県境をまたがった広域犯罪捜査などが必要な場合、この警察庁が都道府県警の間の調整役をする。

この警察庁に「警備部」という部署があり、ここが事実上の全国の公安警察の司令塔だとされている。
そして47都道府県警がそれぞれ「公安部」などという名前の公安部門を持っている。
警視庁の「公安部」は特に独立性が高く、外交官や外国諜報機関を捜査するのはここである場合が多い。

公安警察が国内での実際の捜査、事件解決を役割とするのに対し、外国の情報収集活動を主な任務とする「公安調査庁」という役所があり、捜査権はない。
こちらは政府、内閣に報告、情報提供をするのが最終的な目的の組織だ。

普通「公安」という場合は、警察の公安部門の総称である。
任務が任務なので、その実態は秘密にされていて、一般人は知りえない部分が多いと言われている。
また外国人のテロ、諜報員の疑いがある人物を捜査する「外事課」という部署を設けている都道府県警もある。

公安警察自体は戦後ほどなく誕生したのだが、当初は国内の左翼勢力の監視、捜査が目的だった。
特に1970年の日米安保条約改定阻止運動に失敗して以降、国内の一部の左翼勢力が武装ゲリラ化したため、これを取り締まる秘密警察部隊というイメージがあった。

1991年にソビエト連邦が崩壊し冷戦が終わると、公安警察の役割も変化してくる。
米国でもCIA不要論が一時出たぐらいだから、公安解体論もあったかもしれない。

新しい公安の仕事は意外な所から出てきた。
1995年の地下鉄サリン事件でオウム真理教のような「破壊的カルト集団」に対抗できる警察力が必要になり、公安警察は以後、国内のテロを引き起こしかねない危険な集団への抑止力と見られるようになる。

また日本にやってくるスパイの目的も連戦終結後大きく変化した。
冷戦時代は、在日米軍の配置、自衛隊の動向、その所有する武器兵器に関するデータ、外交に関する未発表情報など、軍事政治に関わる事柄がスパイの狙いだった。
が、冷戦終結後はもっぱら日本企業の最先端技術を盗み出すなどの、経済スパイ活動の方が主になり、国内警察組織である公安警察の出番は逆に増えてきた。

イギリスでも、国外での諜報活動を担当するMI6という組織の存在を明るみに出したのに対し、国内での対諜報活動機関であるMI5の方は未だに謎に包まれている。
ちなみに007ジェームズ・ボンドが所属しているのはMI6の方である。

公安警察はあくまで警察活動の一部であり、スパイ映画のような活動をしているわけではないだろうが、相手によっては命がけの活動になるため、誰が公安部門に所属する警察官なのかは秘密にされていると聞く。
家族すら知らない場合もあるという。

アニメ「攻殻機動隊」が自らを「公安9課」と名乗っていたのは、このイメージがあるからだろう。

さて今回の中国大使館の1等書記官、スパイだったとしても、何をスパイしていたのかはまだ分かっていないようだ。
だが、尖閣諸島の問題を抱えている日中間では、再び自衛隊や在日米軍に関する機密事項が標的になっているとしても不思議はない。

また衰えたりとは言え、日本は世界第3位の経済大国、多くの最先端の産業技術を持っている国であるから、民間企業を標的にした経済スパイ活動もまだ続いているだろう。

もしそうなら、冷戦終結で一旦せばまった公安警察のカバーすべき範囲が再び拡大する可能性が高い。
日本は歴史的経緯から自衛隊に諜報活動部門を作らなかったからである。

自衛隊にも全く無いわけではないだろうが、米国のCIAや英国のMI5ほどの規模やノウハウは持っていないと推察されている。
これに対して中国は人民解放軍内部に大規模な情報組織を持っているとされ、北朝鮮の工作員もかなりの数が日本に出入りしてきたと噂されている。

これに対して日本政府が対応しきれるのか?という懸念があったのだが、今回の中国のスパイを、自発的な帰国に追い込んでいた点から見れば、まずはきちんと機能しているという事であり、我々一般国民にとっては一安心である。

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2012/05/31 00:32
ブログ広場からこんにちは。

公安部は警視庁にしかありませぬ。
東京都を除く県警、府警本部には警備部の中に公安課がございまする。
警察庁にあるのは警備局で、公安課はその警備局の中にございまする。
警察庁警備局の外事情報部の中に外事課と国際テロ対策課がございまする。

警視庁公安部には外事課(一課~三課)がございますが、
今回中国の外交官を監視していたのはおそらくアジア(チュウゴック・カンコック・アホぼんの国)を
担当する警視庁外事二課の捜査員ではないかと思われまする。

捜査員を持たない内閣調査室はお金で情報を買っていたかも知れませぬ。
外務省もじっと指をくわえてみていたとは思えませぬ。
表向き諜報活動はしないとなっておりますが、陸自もこそーりと動いていたやも知れませぬ。

霞関も、永田町も、桜田門も、市谷も、国益を守るために今日もひっそり誰かを監視
しているのでございましょう。




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