これじゃ「三権分裂」だ
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- 2012/06/12 12:55:21
この国の統治機構は大丈夫か?と言いたくなる。
東電OL殺人事件の犯人とされてきたマイナリさんというネパール人の話である。
既にいろいろ報道されているが、早い話がこの人への有罪判決は冤罪だったという事のようだ。
無実の罪で15年も刑務所に入れていたのだから、人権、人道上一刻も早く釈放するという事自体は理解できる。
だが、東京高等裁判所の取った行動は、べき論から言えば明らかに異常だ。
そもそも今回東京高裁が下した決定は「再審開始」である。
あくまで「裁判をもう一回やり直しましょう」という決定に過ぎず、今の段階ではマイナリ氏の無罪が確定しているわけではない。
高等裁判所段階での再審は原則として書面審理である。
つまり裁判官が前回の裁判記録の書類を改めて審査するという事なので、被告は裁判所へいちいち出頭する必要はない。
だから釈放して帰国させても実務上は障害はない。
しかし、釈放と同時にマイナリ氏のネパールへの強制送還手続きを進めたという展開には違和感を禁じ得ない。
検察は再審開始の決定に異議を唱えているままだし、東京高裁が再審で無罪判決を出しても最高裁に上告する可能性が高い。
つまり、再審のやり直しの裁判で「やっぱり有罪」という結論になる可能性も理論的にはゼロではないのであって、釈放まではいいとして帰国させてしまうのはどう考えてもおかしい。
一度ネパールへ帰してしまえば、仮に再審で「やっぱり有罪」が確定しても刑の執行は不可能になる。
これは明らかに裁判所を管轄する司法当局が「彼は無罪。前の裁判は冤罪」だと最終的な判断を下したという事だろう。
そこで一種の「超法規的措置」として、マイナリ氏を釈放しただけでなくあわてて強制送還手続きを取って、さっさと日本から追い払おうとしたわけだろう。
だがやり直しの裁判が始まってもいないうちに検察の反対を押し切って日本から出て行かせる、というのは裁判所の職権乱用ではないだろうか?
仮に裁判所が「どう考えても冤罪。再審では100%無罪」と判断したのなら、そうはっきりと宣言すべきではないのか?
マイナリ氏の人権救済が大事なのは分かるが、だからと言って日本国の司法手続きを無視していいという事にはならないはずだ。
釈放して一時帰国は許すが、再審の結論が出るまでは日本国内に留め置くのが本来あるべき手続きではないのか?
しかし強制送還した以上、もしマイナリ氏が無罪判決を自分で聞くために法廷に出たいと望んでも、入国を許可されない事になる可能性がある。
普通強制送還された外国人は最低でも数年、場合によっては二度と、日本への入国許可がもらえない。
特にマイナリ氏は入管法に違反して日本に不法滞在していた事は認めているから、再び日本に入国する事は通常なら不可能に近い。
個人的にはこの対応、裁判所の保身のためではないかという気がしてしょうがない。
素人が考えても「そりゃ冤罪だろ?」という新証拠が出てきてしまったので、「また冤罪かよ?裁判所は何やってんだ?」という国内世論の批判を浴びることを恐れて、超法規的に釈放させ、さらに今さら不法滞在の件を蒸し返して厄介払いをした、という話ではないだろうか?
人権、人道のためなら何をしてもいいという理屈はあまり安易に持ち出すべきではない。
マイナリ氏の場合、再審で無実が確定したら刑務所に収監されていた期間に対する損害賠償などを日本政府に請求する事ができる。
だが強制送還という方法で国外へ追い出したら、請求が事実上できなくなる危険はないのか?
尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に体当たりして逮捕された中国人船長の釈放の時もそうだったが、司法あるいは行政当局が安易に超法規的措置を連発する最近の風潮は心配である。
確かに日本は「三権分立」、つまり、立法府、行政府、司法府がお互いに独立して独自の決定を押し通す事ができる。
しかし三権分立はあくまで権力の暴走を防ぐための規定である。
中国人船長の件は行政府の一員である検察が勝手に釈放したという点で、行政府の暴走だった。
マイナリ氏の件は、たとえ本人の救済のためとは言え、司法の暴走ではないのか?
冤罪としか考えられないと裁判所が判断したのなら、それをマスコミを通じて堂々と宣言した上で超法規的措置を取るのが筋だろう。
冤罪を発生させた事を批判される前に外国人なら国外に厄介払いしてしまえ、という意図なら本当の意味での人権尊重とは言えない。
これじゃ三権分立じゃなくて「三権分裂」だ。
最初に無罪判決が出たときに 検察が上告するために 国外に出られては困るので 仮処分申請を出して拘束するという理不尽なことをやったけど それを裁判所が認めたというところが 同じ穴のムジナという印象でした。
ところが 再審決定となると 一転して 国外退去処分とは
それでいて マスコミのインタビューには「絶対に有罪にできる」なんて言ってる。
検察 警察の価値観は「まちがいを認めたら 権威が失墜する。だから絶対に誤りは認めない」というものです。そんな価値観で行動する。
ということは 本音は 冤罪で 裁判で有罪にすることは困難なので 国外に送り出して 「本人がいないので収監できない」なんて言いたいのかも。
吉田岩窟王事件で完全なる冤罪でした結局は今回のこの事件がその後どう動くかですね。
無罪がきちんと言い渡されてないとなるとまだ悪あがきするかもしれませんね。
ロス疑惑の三浦和義氏の様に新たな証拠が出たとか
時々法廷は虐めの場所ですね・・・
多いですが名張の毒ぶどう酒事件もDNA却下されて再審棄却かつて戦後の最大の冤罪事件とも言える
吉田一松氏でも無罪になるのに吉田一松氏が83歳になった時です。
要するにこの頃から裁判所も変わってないですねいつまでも面子にこだわって更に強い者には弱い・・・
無意味にこじれるって事をいい加減学んで欲しいですね。