ある新聞に日本航空が「機内ダイエット作戦」なるものを展開中という記事があった。
例えば国際線で乗客に出すワインの瓶をガラス製からプラスチック製に変えることで合計約３７キロの軽量化。これで燃料を約２０リットル節約出来るのだそうだ。

今年に入って原油価格が再び上昇し始めている。昨年１００ドルを超える暴騰が起きた時、航空会社は軒並み「燃料サーチャージ」という追加料金を航空運賃に上乗せした。
飛行機の燃料は石油から作られるので、原油価格の上昇分を運賃に転嫁せざるを得なかったのだ。

確かに飛行機の燃料の消費量は、積んでいる物の重さに比例する。昔の映画とかで、故障して高度が下がっていく飛行機を墜落させないように荷物を外に放り出すシーンを見た人もいるだろう。

飛行機に乗る時預ける荷物に関しては、既に一定の重量を超える分の追加料金を払う仕組みが定着している。
また機体の一部を金属ではなく強化炭素ファイバーに置き換えるなど、航空会社もあの手この手の軽量化策を取っているようだ。

だが、旅客機の場合、減らしたくても航空会社の努力では減らしようのない物がある。
乗客の体重である。
冒頭の日本航空の涙ぐましい努力も、ちょっと太り気味の乗客が二人も乗ってくればオジャンだろう。

石油は有限な資源なのだから、未来永劫現在のようにふんだんに使えるとは考えない方がいい。
燃料としては将来水素を使うなどの代替技術が開発されるだろうが、石油はビニール、プラスチックなどの化学製品の原料でもある。ただ燃やして使う量は今からでも少しでも節約するに越した事はない。

しかし乗客の体の重さだけは航空会社側ではどうにも出来ない。
そこで提案なのだが、燃料サーチャージならぬ「体重サーチャージ」という制度を導入してはどうだろう。

航空チケットの基本料金は今より低めに設定して、各乗客の体重１キロにつきいくら、という基準で料金を追加するのだ。
現在片道１万５千円のフライトなら、基本料金１万円、体重１キロにつき１００円、という具合にする。体重60キロの人なら体重サーチャージが６千円で計１万６千円。体重４５キロの人なら計１万４５００円で少し安くなる。

これなら消費する航空燃料に見合った料金を払ってもらえるから航空会社は助かるし、原油価格が上がった時も燃料サーチャージなどという評判の悪い追加料金を取らずに済む。

日本でも肥満が深刻な社会問題になっている。単に肥っているだけではなく、それが原因でいろいろな生活習慣病が広がり、そういう人たちが医者にかかると健康保険からの支払いが増え、国の財政にも負担がかかる。

最近職場の健康診断でメタボ検診とかやって、しきりに「太り過ぎに気をつけよう」とか喧伝しているが、やはり人間というのは切羽詰まった状況にならないと、なかなか長年の生活習慣は変えられないものだ。

飛行機の料金が体重で決まる事になれば、なにせ直接財布に響く問題だから必死に減量しようという気にもなるだろう。
出張で飛行機の利用が多いビジネスマンなどは社命で体重を減らさせられるだろう。家族で海外旅行に行こうと計画したら、まずお父さんお母さんの減量から、という事になるだろう。

そうなればメタボ症候群や生活習慣病も激減して、社会全体にとってプラスになる。
どうしてもそんな痩せる努力するのが嫌で、かつ高い航空料金払うのが嫌な人は、たとえ余計時間がかかっても新幹線や船など環境に優しい乗り物を使う方を選ぶだろうから、地球温暖化防止にも役立つ。

ついでに世の女性が老いも若きも軒並みスリムになれば、男性にとってこれほどうれしい事はない。
航空会社と政府に一度検討して欲しい方法だと思うのだが、どうだろうか？

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