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「観劇会」は政治活動なのか?

小渕優子議員の地元後援会などに検察の捜索が入ったという事で、騒ぎになっている。
違法行為が実際にあったのなら論外だが、それ以前に疑問視すべき事があるのではないだろうか?

今回金銭にまつわる疑惑で最大の問題になっているのは「観劇会」の収支が合わないという点だ。
小渕氏は一人当たり12,000円の実費を徴収したと言う。
行った先は東京の明治座などの劇場で、いわゆる新派風の時代劇や演歌スターの公演などをやる所だ。

小渕氏の選挙区は群馬5区。最大都市は高崎市だろう。
東京駅まで新幹線で一時間弱というところで、明治座の料金や弁当代を見る限りでは、団体割引を駆使すれば12,000円で収まりそうである。

だが、小渕氏の政治団体から劇場側への支払い金額を考えると、年間一千人ほどがこのツアーに参加していた事になる。
仮に実費をちゃんと徴収して、記載しなかっただけだとしても、「東京の劇場に芝居を見に行く事」が議員の政治活動である必要がそもそもあるのか?

もちろん、政治資金報告書に堂々と記載したのだから、金額の辻褄さえ合っておれば違法ではないのだろう。
しかし今の時代に、国会議員が自らの名前を出して、そんな物見遊山ツアーを主催する必要があるのか?
ここを誰も突っ込まないのは何故だろう。

おそらく地元の後援会などを仕切っている人たちが古い考えを引きずっているからだろう。
小渕氏は2世議員なので、父親である小渕恵三氏の死後、そのまま選挙地盤を引き継いだ。
だから本人も疑問を持たなかったか、持っていたとしても言い出せなかったのかもしれない。

小渕恵三氏が国会に初当選したのは1963年。上越新幹線の開業が1982年だから、お父さんが自民党の下っ端議員だった頃は、今の群馬5区は相当遅れた田舎だったのかもしれない。

地元の庶民がほとんど無知無学で、東京など行った事もなく、地元には劇場なんて文化的な施設はひとつもなく、自分たちだけで東京へ行ったりしたら確実に迷子になる。
そんな状況の「地元の選挙民」なら送り迎えまで「地元の代議士先生」に面倒見てもらわないと、自分たちでは何もできなかったかもしれない。

だが今現在の高崎市はそこまでのど田舎ではないはずだ。
周辺の郡部だって、東京まで行った事のある住民なんていくらでもいるだろう。
観劇会というイベントを地元の有権者が本当にありがたがっていたのかどうか、それ自体が疑わしい。

どちらかというと、地元の先生からお誘いが来たので、近所の手前もあって断れないという理由で参加していた人も多かったのではないだろうか。
明治座だろうが歌舞伎座だろうが、行きたければ自分たちで行ける時代だ。

今では全く見なくなったが、四半世紀前までは企業の「社員旅行」というのを毎年のようにやっていた。
費用は全額、あるいは大部分は会社持ちで温泉などへ一泊旅行していた。
多分これと同じような感覚で始まったツアーだろう。

だがそういうツアーが「政治活動の一環」という感覚自体がとんでもない時代錯誤なのだ。
政治資金報告書に堂々と「観劇会」と記載する神経自体が、非難されるべきではないのか?

群馬5区は農家も多いだろうから、大消費地である東京の市場を視察するツアーだというならまだ理解できる。
行ったついでに劇場へも、という風にスケジュールに組み込んであったのなら、まあ許容できる。

しかし、行こうと思えば誰でも自分で行ける東京の劇場へ行くだけのツアーを、国会議員の名前で主催する必要があるのか?
小渕氏自身は直接関与していなかったとしても、これは地元の有権者を馬鹿扱いしているに等しい。

今の時代に、いかに田舎であろうと「一生に一度でいいから花の都の東京つうとこへ行ってみてえだ」なんて有権者がいるか?
仮に高齢者で交通手段の勝手が分からないなら、地元に旅行代理店の一つぐらいあるだろう。

もし無いなら、小渕家は地元の資本家のようだから、そういう旅行代理店なりイベント主催会社なりを設立して、地元の若い人を雇えばいい。
逆に明治座に出ているような劇団に高崎市に来てもらえばいい。
これなら地元の経済振興、雇用創出にもなる。

たとえお金の帳尻が合って、法律上は問題ないとしても、観劇会を政治活動と考える、その感覚、神経の方がはるかに問題だ。

民間企業でもそうだが、一度始まって長年続いた慣習というのは、非合理だと分かっていてもなかなかやめられない物だ。
小渕氏の地元事務所関係者も、それでやめられなかったのだろう。

だが「民間に出来る事は民間に」というのが、自由民主党のスローガンでもある以上、この手のツアーを国会議員の名前で行う事自体が「李下に冠を正す」がごとき行為だ。
小渕氏は違反のあるなしに関わらず、こういう悪しき因習を自ら断つべきだろう。

さて、大臣辞任では足りないとばかりに、野党は鬼の首取ったようにはしゃいでいるが、「そもそも観劇会は政治活動なのか?」というツッコミが見られないのは何故だろう?
まさか形と程度の差はあれ、自分たちもやっているから、ではないと思いたいのだが。

アバター
2014/11/03 08:04
自分の政治資金も秘書に丸投げな人達に
我々国民の税金のアレコレが決められるとは思えません。
法案全てが役人に丸投げなら国会議員なんかいらないですよね?
小渕議員の議員辞職は当たり前と考えるコロです。
アバター
2014/11/01 18:38
国会の会期中に検察が派手に動いたのが異例のことだったようですね。
違法かどうかはともかく、彼女を好ましく思っていない人の後押しがあるんだろうと勘ぐられてもおかしくはない状況です。
野党との関係はもちろん、自民党内ですら昔から一枚岩ではないし。

小選挙区制は勝敗が時の勢いに影響されがちで、結果として世襲議員といえども地盤が強固でなければ生き残れなくなってきている。
なので古くからの後援会は組織を固めることに力を入れざるを得ず「代が変わったから会員への気配りが疎かになった」と判断されやすいことはやりにくかったともいえます。
会員の中にも参加しないことで裏切りを勘ぐられるくらいならという人も皆無ではなかったでしょうし、既得権として受け取っていた人もいたでしょう。

出張等で都会に頻繁に出かける人ならともかく、田舎の自営業(農業含む)の人にとって東京は存外遠くにあるものです。
小渕さんの地元群馬はそこまでではないかもだけど。
実際私も1度しか行ったことがなくても支障なく生活できてますし、行くまでは地方とは別物の世界と思ってたけど、行ってみたらそんなに違ってもなくてびっくりしたというくらいで・・・
(東京駅のわかりにくさには別の意味で驚いたけど。)

なので年輩の支持者へのサービスとして観劇ツアーってのもわからなくはない。
田舎ではスーパーや飲食チェーン店主催の土産物屋とコラボした日帰り旅行ご招待企画は日常的に目にしますし、それと同類くらいの認識の人もいたのでは。

おっしゃるように接待で支持基盤を維持する手法からはそろそろ離れるべき時。
それで政策もどきを振り回す素人集団が政治をするようになっては目も当てられませんが・・・
接待でない付き合いをするには本当は有権者が成長すべきなのでしょう。




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