国策としての貧困
- カテゴリ:ニュース
- 2009/10/20 21:45:14
格差社会という言葉が流行って久しいが、ついにそれが数字で裏付けられた。
今日厚生労働省が発表した日本の「貧困率」である。
2007年時点で15.7%、先進国クラブと言われるOECD加盟国中でワースト4である。
夕刊の記事によると最悪がメキシコ、次いでトルコ、アメリカ、日本の順である。
アメリカの貧困率が17.1%と高いのは、いわば国策という面もある。
アメリカは今でも毎年大量の移民を受け入れている国なので、英語もろくにしゃべれない第一世代の移民は、低賃金の3K労働者にならざるを得ない。本人達もそれを覚悟の上でやって来る。
ただアメリカの場合、貧困率の高さが移民2世、3世の上昇志向を高めて社会全体にバイタリティをもたらすというプラスの面がある。
貧しい移民は子や孫の世代で、もっとましな仕事に就けるよう教育熱心になり、移民2世や3世は大学でも必死に勉強するし、社会に出ても必死で上を目指す。
意外だったのはガチガチの階級社会というイメージの強いイギリス、フランスの貧困率が低い事だ。
イギリスは8.2%で悪い方から18番目。
フランスは7.0%で悪い方から25番目。
金持ちの子は自動的に金持ちになり、労働者階級は子孫代々庶民のまま、というお国柄には違いないが、「貧困にあえぐ」と言えるほど貧しい生活を余儀なくされている人の割合は日本よりずっと低いわけだ。
さて、こんな高い貧困率がはっきり出た以上政府が本気になってくれるはず・・・とは、まだ考えない方がいい。
あくまで我輩の私見だが、今の日本の貧困率の高さは人為的に、最悪の場合国策として、わざと高められた可能性があると思うからだ。
日本は戦後急速な経済成長を遂げ、国民の所得水準も高くなった。早い話まあまあ高い給料もらえる人が増えた。「一億総中流」なんて流行語もあった。
しかし給料というのは企業の経営者から見ればコストである。
国民が豊かになっていい稼ぎがもらえるというのは、経営者側から見れば事業のコストが高くつく、という事である。
日本全体が経済右肩上がりの時代には、それでもなんとか双方のバランスが取れていた。これが崩れたのが1985年のプラザ合意である。
当時の西側先進5カ国が秘密協定を結んで、主に円とドイツマルクをアメリカドルに対して大幅に円高、マルク高になるよう誘導する事に決めた。簡単に言えばそういう事である。
戦後アメリカは日本やドイツなどの新興工業国から大量に輸入し、かつ為替レートを実勢以上に輸出する側に有利になるよう設定し、それで西側ブロックの国をつなぎとめるという役割を果たして来た。
しかしアメリカもベトナム戦争などで国力を消耗し、日本やドイツを支えきれなくなった。そこで円やマルクの価値を上げ、逆に言えばドルの相対的価値を下げる事によって、アメリカの経済を破綻させないようにした。
90年代にソ連が崩壊、長年のライバルだった共産主義ブロックが消滅すると、アメリカはもう自国の経済を疲弊させてまで、日本、ドイツ、その他の国を儲けさせてやる必要はなくなった。
「さあ、もういいかげんで独り立ちしてくれ」と突き放すようになってきたのだ。
日本の場合、経済的に自立するのに障害になったのは世界的に見てトップクラスにあった賃金水準であった。
まずバブル崩壊後、アメリカ流の能力主義、成果主義を大企業のサラリーマンに適用しようとしたが、一部の先進的な企業を除いて失敗に終わった。最近では言葉すら聞かなくなった。
次に打った手が、派遣労働の大幅な規制緩和である。特に製造業への派遣が解禁されたのが重大な通過点だった。
製造業の景気がいい間は顕在化しなかったが、正社員と派遣などの非正規労働者の経済格差は既にじりじりと開きつつあった。
そしてリーマンショック後、恐れていた通り大量の派遣労働者が失業し、貧困層に転落した。
現在の日本の貧困率の高さは、アメリカの悪い部分と英仏などの階級社会の国の悪い部分だけをつなぎ合わせたような社会構造になってしまったからだ。
階級社会の国では庶民があまりにも困窮して自暴自棄にならないように、社会福祉は充実させている。さもないと革命や暴動が起きるからだ。
アメリカは貧乏人に冷淡だが、奨学金制度が充実していて貧困家庭の子供でも実力さえあればハーバードのような超一流大学に入れる。貧困からの脱出の門はあちこちに設けてあるのだ。
もし国策として低賃金労働者を多く作り出して企業の労働コストを下げたのなら、アメリカ型か英仏型か、どちらかの救済策を用意しなければならない。
さもないと貧乏人の子供はろくに学校にも行けず、しかも社会保障の恩恵を満足に受けられず、一生貧困にあえぎ、子供も孫も生まれつきそういう人生を運命付けられる・・・日本はそんな国になってしまう。
ひょっとしたら今が日本にとって運命の分かれ道かもしれない。
「母子家庭・父子家庭に限った貧困率ではOECD30カ国中、ワースト1」だそうです。
ニュース記事
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1022&f=politics_1022_007.shtml
厚労省記者会見概要
http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2009/10/k1020.html
その上での、貧困率ですから、あまり信用していませんが。
アメリカの中流でも、生活はキツキツのようですし、ドイツ人もつつましい生活ですし。
幸せの捉え方は、また別の問題ですしね。
You can do it. 頑張れ、あなたなら出来る。
国籍を問わず勇気づけする国民性らしいです。
日本にはなにがあるのでしょうか?
狭い水槽の中で魚がいじめをする話を最近聞きました。
いじめられた魚を移すと他の魚がいじめに逢うのです。
何か日本人の中にある縮図の投影のように感じました。
運命の分かれ道は常にあるのです。
問題意識を持ちながら暮らしていくのは当然のことだと思いますよ。
貧困率という言葉は始めて聞いたんですが、2000年以降の低下は、小泉氏の施策によることが大きいですね。
「がんばった人がたくさん受け取るのは当たり前だ」というこの人の言葉は、高学歴のことを指しているのですから。
「働けど働けど、わが暮らし豊かにならず、じっと手を見る」という人のことではないのです。
給食費を払わない親にお金を渡してもいかがなものかと
それよりは、子ども手当てで給食費の負担、インフルエンザワクチンの無料化
そんなとこから始めたらと思います。
やっぱり、目に見えるとこでお金の受け渡しを民主党もしたいんでしょうか。
奨学金制度の充実化賛成です。
低賃金者たくさん作って寄付金のように保護手当てを配るの反対です。
生産性が低い(またはほぼゼロ)層への既得権保護が手厚いため、
限られた原資をそちらに向けることが出来ていないような気がします。
折角実現した政権交代です。
新政権にとって、旧政権の支持層はいわば敵の味方。
不倶戴天の敵である以上は遠慮会釈なしにガンガン毟り取って
新政権のマニフェスト実現の財源に充てるべきだと思っています。
逆に、先の選挙で与野党のマニフェストにロクに目も通さず
「自民党にお灸」のつもりで民主党に投票した既得権層は、
ガリガリに毟り取られることを通じて自分の投票行動の
意味を身をもって知るべきです。
「大臣」でも「総裁」でも
「マスコミ」でも「エコノミスト」でもないので
日本は高度成長バブルが弾けてから、デフレ!デフレ!
ITバブルはあったもののデフレ!デフレ!
さらにデフレスパイラル!とは、宣伝はしません。
「日本は既にスタグフレーションに突入しており
今後、5年間に内需拡大と雇用の確保を行わないと
将来的に後進国入り、又はデフォルト(破綻)する可能性がある」
政府ってのは国民の生き写しみたいなもんです。
10年後・・・いや、もっと早いかな?6年後くらい?に
本当に危険な状態に陥ると思う。
政府だけの問題じゃなく、企業の経営者も同じ。
自分が死ぬまでの間、快適な暮らしが出来れば
寿命も「ドルコスト平均法」ってヤツで考えれば
それでイイや~って考えてるんだろう。
結果、50~60代の役員が大半で
30~40代は派遣と浮浪者
んで、今から就職って20代も
まーた、氷河期がどうのこうのと・・・。
革命や暴動も起こせれば、それはそれで
元気があってよろしい!って僕は思うけど
武器も何も持たない状態で「集合」しただけで
とっ捕まる様な状況じゃ
道端や山の中に自殺体がゴロゴロ転がってる未来が目に見える。
(現実にしょっちゅう起きてるし)
http://www.youtube.com/watch?v=uK8vpUH608s&feature=related
自民党の尻拭いで四苦八苦しつつ墓穴をほりそうな危うい感じですが、ふんばりどころ。。。
少しでも、未来をみつめて奮闘してほしいものですな。。国債よりも、議員の給料を下げたらどう?
日本で”カエルの子はカエル”が根付いてしまうと、貧困層はさらに働くことや教育に無気力、無関心になり、
悪循環から抜け出せないままになってしまうでしょうね。
日本で貧困層から抜け出して成功者になった大阪の橋本知事のような才能もガッツも溢れる人が
今後どれだけ出てくるのでしょうか。
日本でも、やり方によっては貧困から脱出できるとは思いますけど、これだけ失業率が高いと
より難しくなってしまいますね。