日本の企業がイスラム金融に初挑戦
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- 2010/01/03 18:11:06
野村証券グループが日本の企業としては初めて「イスラム金融」に本格的に参入するそうだ。中東産油国などは金融業にとっては非常に大きな市場なのだが、日本勢はなかなか踏み込めないでいた。
今後日本は景気が良くなったとしても人口が減っていくのだから、金融業も従来の商売だけやっていたのでは先細りになる。なんとかがんばって欲しいものだ。
さて、イスラム金融という言葉自体が日本人にはなじみが薄いだろう。単にイスラム教徒が行う金融業という意味ではない。ややこしいのだが、基本が理解出来ると非常に面白い分野なのだ。
イスラム教では「利子」という物を一切禁止している。自ら働かずに座して得られる所得だからアッラーの教えに反するというわけだ。専門的にはこういうイスラムの教義を「シャリア」と言い、利子を取ったり得たりする事は「シャリア不適格」な行為と言う。
となると、銀行という商売も、国債や社債などの債券も、ローンを貸したり借りたりする事もシャリア不適格な行為になって、イスラム教徒は直接手を染める事が許されない。(まあ、こっそりやってる不信心者も多少はいるかもしれないが)。
だからオイルマネーが有り余っていた中東のイスラム諸国でも、そういう金融業は国内ではユダヤ人にやらせていた。あまり知られていないが、イランには結構ユダヤ人が多いのもそのためだ。
それじゃ金融業なんて不可能、それじゃ経済が成り立たない、と思うだろうが、イスラム教は意外と融通無碍な宗教で、「利子」という形でなければいい、という理屈になる。
例えば日本の銀行のようにただお金を口座に預けておくだけで利子がつくという仕組みはシャリア不適格だが、共済組合のような形式を取って「配当金」を受け取る事はシャリア適格になる。
利子ではなく、何かに出資して配当金を受け取るという形式であれば、イスラム教徒でも銀行を経営出来るし利用出来る。
住宅ローンにしても、利子無しで貸してくれる所はないから、家を買うなら現金一括払いでなければならない。しかしイスラムの国にだって庶民はいるから、それでは不便である。
そこで、庶民が分割払いで家を買いたい場合、銀行が一括払いで買って、その人にリースするという形を取る。
家を買った人はローンの返済ではなく、銀行が所有している家のリース代を毎月払い、全額払い終えた時点で、家の所有権が銀行から本人に移転されるという仕組みになっている。
結果だけ見れば同じ事じゃないかと思うかもしれないが、こういういろいろな仕組みで「利子」という概念を避ける事によってシャリア適格、すなわちアッラーの神の許す形にしないとイスラム教徒同士では金融取引が許されないのである。
逆に言えば、日本や西洋諸国で普通に行われている金融取引をイスラム教徒がやりたければ、利子の概念を排除する仕組みを考えだせばよい事になる。
野村グループが最初に参入するのは「スクーク」と呼ばれる証券取引のようだ。日本では「イスラム金融債」とか「イスラム債券」と訳されるが、上に述べたような事情で、日本で言うところの「債券」ではない。債券には利子が付くからだ。
これは正確には「投資証券」のような物で、例えば何かの建設資金とかに投資して、いくら投資したという証明書のような物として受け取り、これを第三者に売買する。
日本でいう債券のようにあらかじめ「年利何%」と約束出来ない。その投資から将来いくら配当がもらえるかは事前には分からないからだ。ここが日本で言う債券と違う。
イスラム教徒が大多数の国でも近年中産階級が増えてきて、庶民向けの金融業の必要性が高まっている。が、利子を禁止しているシャリアの制約であまり金融業が発達して来なかった。
そういう意味ではまだまだ未開拓な部分が大きい、将来的に魅力的なビジネスと言える。
日本の金融各社も将来の生き残りのためには、ややこしい仕組みが必要ではあるがイスラム金融にもっと積極的に参入していくだろう。
ちなみに株式を買う事は投資であって利子を得る行為ではないから、イスラム教徒が日本の会社の株を買う事は可能である。
ただし、銀行とか通常の金融会社は利子を取る商売だからシャリア不適格。
さらにアルコール、豚肉、賭博、ポルノにわずかでも関係がある会社の株はシャリア不適格である。
例えばサントリー、日本ハムなどは日本人にとっては優良企業なのだが、イスラム教徒にとってはシャリア不適格なので、その株は買えない。
お金に国境は無いというが、使い方には少なくとも宗教や文化の違いがあるようだ。
これを機会に日本人が、自分たちとは大きく異なる、時として理解不能にも思える、異文化を学ぶ必要性を感じればいいと思う。
そうすれば悪い意味での島国根性も多少は薄らぐかもしれない。そういう意味でも野村グループには是非がんばって欲しいものである。
利子のない国
野村証券頑張ってほしいね
異文化での学びって大きいよね
価値は半分以下になったという感じ・・??
個人的になんとか頑張って持ち直してもらいたいです。
興味深いお話ありがとうございます。
またお邪魔させて下さい!
帰省していた為本日訪問ですw昨年はお世話になりましたw
今年も未熟な私をどうぞ宜しくお願いいたしますm(_ _)m
ブログに関係無いことですいません(・・`;)