国土交通省の先日の発表によると、２００８年度全体で列車への飛び込み自殺でダイヤが乱れた件数が全国で史上最高の３万５３００本だったそうだ。
東京のように何本もの路線が複雑に連結している所だと、１か所で飛び込みがあると複数の路線が止まってしまったり遅れたりというケースが多いので、この数字イコール自殺者数ではないが、ひどい時代になってしまったものである。

特にやっかいなのが東京の山手線のような環状線である。線路の端というのが無くてグルッと輪になってつながった路線ね。
どこか１か所で飛び込み自殺があると路線全体の電車が何時間も足止めされてしまう。
端のある路線だと、事故があった区間だけ閉鎖して残りの区間を折り返し運転でしのぐ事が出来るが、環状線だとそれが出来ない。

で、何とか方法はないのか？と考えて、こういう案を思いついた。
線路がグルッと輪になってつながっているのなら、電車も線路全体に隙間なく輪になってつながって走ったらどうだろう。

電車と電車の「間」という物が無くなるのだから、飛び込み自殺などやりたくても不可能である。
ついでに車両数が増えてスペースが数倍広くなるから、あの悪名高い山手線といえども車内の混雑はなくなる。十分なスペースがあれば痴漢も出来なくなるだろう。

問題はスピードである。例えば全部つながっているうちの１０車両が駅で停車し、動き出したらすぐ後ろの１０両がホームに停まる、という運行方法だと相当なノロノロ運転になってしまう。

まあ、山手線は一駅の間隔が短いし、急ぐなら車内を進行方向に向かって歩けばいい、という考えも成り立つ。運動不足の都会人にはかえっていいウォーキングタイムになるか？

それでは鉄道として機能しないというのなら、本来の乗客用の列車と列車の間の部分の車両を何か別の用途に使用したらどうだろう。
それなら電車として使用される部分だけを通常のスピードで各駅に停車させる事が出来る。

間に挟まれた車両は常に線路上で停止、走行を繰り返すわけだが、この部分の車両は内部を改造して、ネイルサロンや足つぼマッサージ店にする、というのはどうだろう。
通勤途中に前か後ろの車両区画に移ってちょっと１５分ほどマッサージなんて、疲れたサラリーマンにはうけるかも。

ＪＲ東日本はもちろん直接経営する必要はない。テナントとして入れて場所代をもらえばけっこうな副収入になるはずだ。

本来の電車の間の、そういう車両が何台分になるかは分からないが、たぶん数十両になるはずだ。かなり広いスペースである。

ならいっそ、その部分を保育所にしてもいい。座席などは必要ないから取っ払えば幼児には電車のスペースは結構広い。
子供の安全さえ確保できて保育施設として必要な物品、装備を電車の車両内に取りつけるのは、それほど難しくはないはずだ。

朝夕の通勤時だけ、その保育所車両を特定の駅に停車させて子供が乗り降りできるようにすれば、それほど一般乗客の不便もないだろう。

山手線を使って、あるいは山手線と同じ駅に乗り入れている電車で通勤している人も多いから、出勤時に駅で子供を預けて、帰りに同じ駅で子供を引き取って家路につく、という事が可能になれば、働いている、あるいは働きたい若いお母さんには便利この上ない。

現在首都圏には「待機児童」といって家の近くの保育所が満杯で、無認可の保育所にさえはいれない子供が何千人もいる。
だからお母さんが働きたくても子供を預けておける場所が無いので、仕事に就きたくても就けないという女性も同じぐらいの数いるはずだ。

この不況でお父さんの給料も大打撃を受けている家庭も多いだろうに、保育所が無いから働きたいのに働けない若い女性が大勢いるというのは、国家の経済にとっても大きな損失である。

というわけで山手線の電車を一つながりにして一部を保育所にするという案、自殺防止と保育所待機児童解消、さらには働くお母さん達のためにもなると思うのだが、どうだろうか？