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TWR---ビル・ゲイツの提案の意味する事

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツが日本企業である東芝にTWRという新型原子炉の共同開発を提案したという報道があった。
日本ではあまり大きく報じられなかったし、そもそもTWRとは何かという説明が素人に分かるようにはなされていないので、一般人には意義が今一つ分かりにくいようだ。

TWRとは英語のTraveling Wave Reactor の略で「進行波炉」などと訳されている。
劣化ウランを直接燃料として使うという事だが、ここが非常に重要なのである。

日本にも原子力発電所はたくさんあるが、そこで炉の燃料として使われているのはいわゆる「濃縮ウラン」である。
ウラン、あるいはウラニウムと呼ばれる元素は原子番号92。自然界では地中深くに固まって存在しており、オーストラリアとカザフスタンが世界的に埋蔵量が多いと言われている。

ところが自然界にあるウランは質量数が238の物がほとんどである。
原子番号というのはその元素の原子核の中にある陽子という素粒子の数。原子核中には中性子という素粒子もあり、陽子と中性子を合わせた数が質量数である。

ところが、核分裂を起こして原爆の材料になったり原子炉の燃料になり得るのは、質量数が235のウランだけである。原子核内の中性子の数が3つ少ないのだが、これだけで核分裂をする、しない、という違いがある。
問題は天然のウランの中で、このウラン235はわずか0.7%程度しか含まれていない事だ。
逆に言えば、掘り出したウランのうち実に99.3%は役に立たないのである。

原爆や原子炉に使う場合は遠心分離機にかけて、ウラン238を振り飛ばし、ウラン235の濃度を高めてやらなければならない。
原子炉の燃料の場合、100%純粋なウラン235である必要はないが、それでも大量のウラン238が役に立たない廃棄物として残ってしまう。これを「劣化ウラン」と呼ぶ。

アメリカは大量の核兵器を持っているので、当然過去に出た大量の劣化ウランを抱えている。
劣化ウランは核分裂を起こさずエネルギー源にはならないので「燃えないウラン」と言われる事もある。

問題は燃えないウランであっても、れっきとした放射能を持つ物質だという事だ。人体に有害な放射線を絶え間なく放出している物質には違いないのである。
従って人がいる場所に野積みにしておくわけにはいかない。

そこで米軍はこの役立たずの放射性物質を兵器として再利用した。
ウラン238の比重は鉄や鉛より大きい、つまり重いので、砲弾のカバーにした。
重いので着弾時の衝撃が大きく、戦車の装甲ぐらい突き破ってしまう。また着弾時のエネルギーが大きいので高熱を発し酸素と反応して化学的に激しく燃焼する。

これが湾岸戦争やイラク戦争で使われた「劣化ウラン弾」である。
核爆弾ではないとは言え、放射線を出す物質が粉塵になって飛び散るから、これを吸いこんだ人はいわゆる原爆病と似たような症状を起こす。
地中にしみ込んだ場合は数十年以上にわたる土壌の放射能汚染を引き起こす。

兵器として利用するのは以ての外としても、今後世界中で原子力発電所が増えて行くのは間違いない。
西ヨーロッパ諸国は十年ぐらい前までは脱原発を目指していたが、温暖化ガスによる地球温暖化が問題になって以降、再び原子力発電に比重を移している。

中国、インド、ブラジルなどが今後も経済成長を続ければ、さらに今途上国である国がそれに続けば電力を原子力発電に頼るようにならざるを得ない。
急激に増えるエネルギー需要を地球温暖化を引き起こす化石燃料に頼るわけにはいかないからだ。

そうなると、ウラン235だけを燃やす従来の原子炉が増えて行くと、劣化ウランの量も劇的に増えて行く。米軍のように兵器に利用するべきでないとすると、将来何万トンという放射性物質の置き場が必要になるし、どうやって保管するかも大問題である。

TWRという原子炉は、この本来は燃えないはずの劣化ウランを燃料にするというアイディアである。炉の中で最初の核分裂を起こすのに少量のウラン235あるいはプルトニウムを使うが、そこで発生した中性子線が劣化ウランの原子核に吸収されて、ウラン238がプルトニウムに変化し核分裂する。そこから中性子線が出て次のウラン238の原子核に・・・という過程を繰り返し、じわじわとウラン238をプルトニウムに変えて燃やす、という仕組みだ。

日本の「もんじゅ」などの増殖炉というのは、同様にウラン238を炉の中でプルトニウムに変えるが直接は炉内で燃やさず、一旦取り出してから新しい燃料棒に加工するという方法だ。
TWRはそんな二度手間をかけず、ウラン238を直接原子炉内で燃やそうというわけだから、もし成功すれば増殖炉は不要になる。

日本の核燃料サイクル計画自体を無意味にしかねない技術なわけで、日本でこそもっと成否が注目されるべきだろう。

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2010/04/01 20:14
ビル・ゲイツは、世界の資産家ですから、投資させられたら世界がうごきますよ。

しかしながら、原発の強い東芝に、ビル・ゲイツが投資が行われるとは思わなかったな
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2010/03/30 20:59
なるほど・・・どうなるのでしょうね。

これが上手くいけば本当に助かります。
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2010/03/27 13:17
東芝社長にインタビューしてましたね。
計画を見れば、東芝社長の自信ありげな表情も納得です。

太陽光発電も過去のものに比べて効率が飛躍的によくなっているそうですし、日本はこうした産業にもっと投資するべきですね。

しかし、個人資産で提携できてしまうビル・ゲイツ恐るべし。
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2010/03/26 10:34
日本の研究にビルゲイツがお金を出すわけだし・・・・コロは期待しています。
今までの原発は劣化ウランを田舎に深く埋めて処分すると言っていたですが・・・・冗談じゃないです!!!!
田舎は危険物の埋立地かよ!!!って思います!
ゴミをどんなに地底に深く埋めても地震国の日本で安全なんてありえません。
早く増殖炉が不要になってほしい。
核燃料のサイクル計画なんてどうでもいいです!!!←研究費の無駄です!!!!
地震の予知に凄く凄くお金を使って必要なロボット工学なんかに日本はお金を出さないから・・・・
韓国や中国が追いついてきちゃってる!!←本当です!韓国も中国もロボット研究にお金出すから~
もう無駄になる研究にお金を湯水のごとく使うのをやめてほしいコロです。
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2010/03/25 18:50
確かにこれが成功すればかなり二酸化炭素は減るかも知れないし、高速増殖炉「もんじゅ」も要らない事は確かだろう。

しかし、当然にこれがまた要らない核のゴミ「劣化ウラン」がまた出るのは不可避である事はまず間違いないだろう・・・。

そうなった時、これを捨てる場所が日本に有るかと思えば、はっきり言ってない事が現実で有ると思われる。

それよりも、太陽エネルギーで水素を取り出し、またそれを水素と酸素の化学反応で電気エネルギーが出来ないだろうかと考える人がいないと摩訶不思議で有る。

それが現実に出来た時、原発も要らないと考える人はいないのかと私は思う。現実に出来るのにそれを使わないというのが今の私の持論である。

原発の関係はあくまでも、私見たいな持論が出来た時のつなぎで有る方がまだ良いと、私は考える。

あえて反対の意見を述べさせて頂きました。誠に申し訳有りません・・・。
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2010/03/24 23:38
どこぞの平和団体の原発反対運動なんかより、平和的なアイデアで良いと思う

東海村の常陽の臨海事故なんて
「バケツに入れたイエローケーキ」で作業してたそうだし
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2010/03/24 22:47
あちゃ〜〜

肝心なニュースは、なぜか、、小規模な報道。。。
マスコミは、、どげんかせんといかん。。。
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2010/03/24 20:04
100年間の連続運転が可能になったら、
二酸化炭素削減に貢献しますね。

ウランは最初発見された時、ガラスの着色材でしたね。
エミール・ガレのウランガラスがブラックライトを浴びて、青緑の蛍光を発するの素晴らしいです。
順光でも当然美しいのですが。




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