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ウルトラセブン第12話の復活を

YouTube には時々掘り出し物の映像があるが、ウルトラセブンの第12話のオープニングがあったのには驚いた。
主題歌が流れるオープニングだけの部分で本編映像はないのだが、それでもサブタイトルの「遊星より愛をこめて」という文字が出てきたのを見た時は感動してしまった。

なぜそんなものに感動するのかと言うと、ウルトラセブンの第12話は「欠番」扱いになっていて、本来なら見る事が出来ないからである。

詳しい経緯は Wikipedia に載っているので興味のある人はそこで見るといい。
この第12話は製作者の意図が世間に誤解されて抹殺されてしまったという悲劇的な名作なのである。

我輩はこの再放送をリアルタイムで見ている。おぼろげだが内容も記憶している。
この回の監督は実相寺昭雄さんで、単なるヒーロー物とは一線を画す内容だった。

あらすじを簡単に言うと、宇宙人が腕時計に見せかけた装置で地球人の血液を大量に奪い取ろうとする。それに気づいたウルトラ警備隊が捜査したところ、スペル星人の陰謀だと判明する。

なぜスペル星人がそんなことするのかという理由が実相寺監督らしいのである。
スペル星では強力な核兵器の実験が失敗、星の全人類が放射能汚染で原爆病のような病気になり、他の星の人類の血液を盗んででも輸血しないと生きていけなくなってしまった、というのである。

結局最後はウルトラセブンに倒されて地球人の側はめでたし、めでたしのラストになるのだが、問題はこのスペル星人が体中に火傷のケロイドを連想させる人型の宇宙人として描かれていたことである。明らかに広島、長崎の被爆者のケロイド状の火傷の痕を意識した造形だったのだ。

ウルトラセブンの最初の放映は1966年から1967年。日本は奇跡の高度経済成長の真っただ中であったが、まだまだ戦争の爪痕が社会のあちこちに残っていた時代でもあった。

特に被爆者の場合は、本人だけでなく家族や親戚までが根拠のない偏見、差別に苦しめられるという状況がまだ続いていた。
身内に被爆者がいるという理由だけで、本人は被曝とは無関係なのに、年頃の女性の縁談が破談になるとか、就職がダメになるとか、そんな事がまだ時折起こっていたらしい。

原爆病というのは体が放射性物質に曝された結果、遺伝子異常を起こした人の身体的異常の総称である。被爆者がその後産んだ子供に遺伝子異常が発現する可能性はあるが、原爆に遭っていない単なる親戚の人たちに同じ病気が発現する事はあり得ない。

ところが当時は原爆病が伝染するという根も葉もない噂が流れて、またそれを信じ込む人も多かったようで、被爆者は自分自身の苦痛に加えて親類縁者の人生まで狂わせてしまうという二重の悲劇を経験したケースも少なからずあったという。

まさに「無知は罪悪」である。
だから原爆病を扱ったテレビ番組などに被爆者団体が必要以上に神経質になってしまった。それは無理からぬ事である。

ウルトラセブンの第12話は明らかに核兵器の恐ろしさ、軍拡競争の愚かしさを訴えるためのストーリーだったのだが、当時のある子供向け雑誌がスペル星人の写真の説明として「ひばくせいじん」という無神経な言葉を使ったため、被爆者団体の抗議を受け、円谷プロは以後、この第12話を最初から存在しなかったエピソードとして「欠番」にし、テレビ放送はもちろん、ビデオでリリースする際も一切収録しないという扱いにしている。

いわば幻の第12話になってしまったのである。
だが、このエピソードは被爆者を差別したりする意図は全く無く、むしろ核兵器反対の立場から描かれた物である。

世界最大の核兵器保有国であるアメリカの大統領が核兵器廃絶を目指している今、このウルトラセブンの幻の第12話も名誉回復が図られるべきではないだろうか?
被爆者団体の反応が心配というなら、直接今の被爆者団体の幹部の人たちに見てもらえばいい。

それでその人たちが「やはり受け入れられない内容だ」と言うのなら仕方ないが、今なら被爆者団体や個々の被爆者にも真意を理解してもらえるのではないだろうか?
円谷プロには是非、やるだけやってみて欲しい。

ウルトラセブンの欠番の第12話、今の時代にこそふさわしい名作だと我輩は思うのだがどうだろうか?

アバター
2010/05/01 09:59
特撮ファンではありませんが、実相寺監督というお名前だけは覚えがありますね。
弟の持ってたウルトラ大全集みたいなのでお見かけしたのかな。

この作品に限らず、日本では何かの表現が差別的だと言われると、作品もしくは発言そのものをなかったことにしようという発想になり勝ちですね。
なかったことにすれば問題は解決される、というか。

実際はこの作品があろうがなかろうが、原爆症の苦しみや差別は存在したわけで、作品を欠番にしたところで問題の解決にはつながらなかったはずです。
作品または発言を抹殺することで自分達の主張を通そうという動きは、その団体の本来の意図とは離れて「話ができない人達」という新たなレッテルを貼られることにもつながりかねません。
批判をおそれてその話題に触れない結果、問題が残っているのに関心を持ってもらえないということにもなりかねませんし。

実際の作品を拝見していないので、どのような印象を持つかはわかりませんが、欠番にせず公開してもよいのでは。
その上で、なぜ原爆が悲惨なのか議論することは無益なことではないと思います。
アバター
2010/05/01 08:11
私はこれ観れんかった。
実相寺作品はストーリーだけでなく、カメラ回しとかも凝っていて好きなんですよ。
存在を知ったときに探しまくったけど、誰も持っていなかった。
放映当時はビデオなんて普及してなかったからな~。
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2010/04/30 09:58
なるほど…。是非見たいです。ウルトラセブンは、今再放送見ると、台詞が
(今の子ども向け番組より)露骨な表現があって、ドキッとすることが
ありますが、そういうのも時代の流れなんでしょうね。でも、今の子供向け
番組より、ずっとメッセージ性が高いです。だからこそ余計に当時の風評
に左右されて、排除されてしまったんでしょうか。

今の人たちに非核が大事だってことがちょっとでも伝わるなら是非とも
放送して欲しいです。まあ、それよりも単純にウルトラマン(シリーズ)
ファンなので、見てみたいです。
アバター
2010/04/29 17:15
この12話については、実はよく知っています。
うちのダーリンが大のウルトラファンなもので^^
私も、再放送で見ています。。。あ、年齢がばれた??
子供だったのですが、ジャミラやシーボーズの話と同じような、
悲しい印象が残ったと記憶しています。
ウルトラマンから帰ってきたウルトラマンまでのシリーズは、
脚本も監督も戦争の影を引きすり、とても奥の深い話がたくさんありますね。
子供向けというイメージを離れて、みなさんに見ていただきたい作品だと思います。
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2010/04/29 09:13
ぜひやってもらいたいですね 絶対に見ます(^^)
アバター
2010/04/29 01:42
実相寺監督のファンとしては、ぜひとも見たいと思っている作品です。
何とかしてほしいですよね。うん!(^^)




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