Nicotto Town



日米の「奨学金」の違い

今朝の新聞に日本学生支援機構の奨学金の貸し倒れが深刻な問題になっている、という記事があった。
これ自体を論じるのは避けるが、職場の日本人とアメリカ人の同僚の間でこの記事の内容を巡ってどうにも話がかみ合わないのを聞いていて、ある事を思い出した。

1980年代のアメリカ映画だが「ミスター・ソウルマン」というのがあった。
金持ちの甘やかされた白人のボンボンが名門ハーバード大学に入学許可が出る。
ところが両親が気まぐれから学費は自分で工面しろと言いだす。

でこの白人学生、薬で肌を黒くして黒人になりすまし、黒人学生だけが受け取れる多額の奨学金をまんまと手に入れる。
後の展開はドタバタ喜劇で、黒人だからバスケットが上手いだろうとか、あっちの方がすごいだろうと思った女性に誘惑されたりして、ことごとく周りを失望させる。

しかし外見が黒人であるため、様々な理不尽な差別に直面し、また惚れてしまった黒人の女子同級生が、実は自分のせいでその奨学金をもらえなかった事実などが判明する。
最後は主人公が心を入れ替えて、ハッピーエンドになる。

ここで面白いのは日米の「奨学金」の違いである。

アメリカの奨学金は「scholarship」と言い、審査に通れば「もらえるお金」である。卒業後に返済などしなくていい。
ただし「その代わり、あなたが将来出世してお金持ちになったら、どこかの奨学金基金団体に寄付をして下さいね」という暗黙の了解で成り立っているシステムだ。

もちろんこの奨学金は特に優秀と認められた限られた人数しかもらえないから、他の学生は銀行や大学からお金を借りて学費を賄う。
英語ではスチューデント・ローン「student loan」と言う。日本語に訳せば「学生向けローン」だろう。

ところが日本にある英和、和英辞典で引くと「scholarship」の訳は「奨学金」、奨学金の英訳は「scholarship」と出てくる。
我輩の職場のアメリカ人が話を理解出来なかったのはこのせいである。

日本にはアメリカで言うところの「scholarship」である奨学金はない。あるとしても一般家庭の学生には縁がない。
そして日本学生支援機構の「奨学金」というのは無利子あるいは低利子のローンである。だから日本の「奨学金」をアメリカ人に話す時は「student loan」と言わないと意味が通じない。

日本学生支援機構は昔は「日本育英会」という名前だった。
我輩も日本育英会の奨学金のおかげで大学へ行けた一人である。
そのありがたさはよく知っているから、貸し倒れの問題には心を痛めている。

とは言え、日本では成功者が若者のために巨額の寄付をするという例があまりなく、銀行や大学が学生ローンを貸してくれたりもしない。
今は貸してくれる銀行も少しはあるらしいが、対象人数が少なすぎて借りられる学生はあまり多くはないようだ。

それにどんないい大学出ても、運悪く就職氷河期にあたると卒業後の返済が大変だ。
我輩も奨学金の返済にはずいぶん苦労した。

アメリカは個人主義の国、貧富の差の激しい国であるが、成功者、富裕層が将来を担う若者のために巨額の寄付をするのが当然という風潮が根付いている、そういう一面もある。

日本はまたぞろ、優秀な頭脳の若者がお金がないために進学をあきらめざるを得ない、という状況に逆戻りしつつあるように感じる。
寄付に対する税制の違いなどもあるだろうが、アメリカ型の返済不要の「奨学金」制度が日本にも出来てくれないものだろうか。

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2010/08/27 09:21
日本学生支援機構の奨学金、返済しないでいい制度も裏であるようですよ。
私は、自分がもらった奨学金に関する手引きや資料に、その制度が記載されていなかったので
あえて裏、と呼ばせていただきます。

卒業頃に学校側が、それ用の申請書を成績上位者に配っていました。

制度の意図といい時期といい分からないことだらけでしたが自分には関係ないことだったので・・・。

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2010/08/26 10:04
ただ単に、大学側が優秀な学生だと解っていてもお金を出したくない。
できるだけ出費を抑える。・・・のかな?
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2010/08/26 01:08
私も大学に進学の際、親が日本育英会の奨学金を検討しましたが、
親の所得制限に引っかかって受給資格がもらえませんでした。
所得制限額を見せてもらいましたが、「確かにこれでは生活に差し支える
だろう」と納得の行く額だったという記憶があります。

ところがイザ大学に入学してみると、同級のかなりの割合が
育英会の奨学金受給者です。
「あんな所得額で生活している人が、こんなにも世の中にいたのか!」
と驚いたものですが、よくよく聞いてみると「実家は自営業」という人ばかり。
 「所得を分散しているのでね」
なるほど、世帯所得は高くとも所得分散で奨学金支給対象になるわけです。

そのためかどうかわかりませんが、
奨学金を受給している同級生が自家用車で家庭用ゲーム機を買いに行って
エアコンの効いた部屋でゲームを楽しむ、
そんな生活を私は洗濯機も電話もない下宿先から羨ましく思っていました。

サラリーマンに吹く風の冷たさを身をもって感じさせられた「事件」です。
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2010/08/25 03:23
「高校無償化」なんかより
「高校を廃止して、大学無償化」をすれば良いのに・・・とは思う

インターネットの普及で、これだけ文明度が上がっているご時勢に
履歴書用の学歴ブランドは、あまり、意味が無い

高校卒業程度の知識人を、大量生産するよりは
大学卒業程度の知識人を、大量生産したほうが良い

ところで・・・
HYP(ハーバード・イェール・プリンストン)の3大私立の中の、
イェール大学には、『スカル&ボーンズ』など、秘密結社が沢山あるそうな・・・
http://www.youtube.com/watch?v=fDoFxlj7wAo

元首相の鳩山由紀夫のスタンフォード大学出身者は
大体、こんな感じの人達らしい・・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E5%A4%A7%E5%AD%A6#.E8.91.97.E5.90.8D.E3.81.AA.E5.8D.92.E6.A5.AD.E7.94.9F
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2010/08/25 00:01
私も日本でいうところの「奨学金」で大学に行って返済完了してほっとしている口ですが、返還されないお金が多いというのは困ったことではあります。
就職氷河期やリストラにあって返還したくてもできないのか、返済できる収入はあるけど返済する気がないのかどちらかによって対応も変えざるを得ないでしょうが、滞納者には法的に督促を促す(返済の無理な人は猶予または免除)制度を作らないと、確信犯で踏み倒す人のために後輩が迷惑するということになりかねません。

アメリカでいうところの奨学金は「あなたのように優秀な人であれば、将来後輩のために出資できるような人材になれるでしょう」という発想ですから、一種の投資でもありますね。
成功すればもらった奨学金以上のお金を寄付するでしょうし、失敗すれば一銭も帰ってこないという見方をするとすればですが。
日本でそれっぽいことって松下政経塾みたいなことですかね。
あれも賛否両論あるのでしょうけど。
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2010/08/24 21:10
同感です。。。

条件は満たしていても、、奨学金=学生向け無利子ローン、、借りれない方、、たくさんいます。。

そして、、利子も含め、、この不況下に、返済が、、困難というのも、、頷けます。。

本当の富裕層が、いないのですね、、パトロン気質というか、、そういう懐の深さが、、無い、、

俄成金が、、多いのか、、、お金はあるのに、、心が、、貧相な、、、感じ、、、

残念な事です。。教育に対する考え方も、、、なんだかなぁーって、、、思います。。




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