尖閣諸島での中国漁船と海上保安庁の巡視艇の衝突事故を巡って中国国内で反日的論調がエスカレートしている。
J-Casｔ の報道によると中国の有力紙が「日本は沖縄を不法占拠している。中国は琉球の日本からの独立を支援すべきだ」という記事を載せたそうだ。

確かに沖縄はかつて琉球王国と言う日本とは別の国家であり、かつ当時の中華帝国の朝貢国であったという歴史がある。
朝貢国というのは中国皇帝に毎年貢物を捧げて忠誠を誓い、その代わりに当時の東アジアの超大国であった中国の庇護を受ける権利を保証してもらう、という関係である。

江戸時代の初めに薩摩藩が琉球王国に武力進攻し事実上藩の植民地にした。
ただし、建前上は徳川幕府の支配権が及ばない外国として扱い、幕府が長崎での外国との貿易しか認めていなかった時代に薩摩藩は琉球王国を介して外国との貿易を行い、鎖国政策の抜け穴として琉球王国を利用した。

外様大名としては金があり、幕末から明治維新にかけて薩摩藩が討幕運動の中心として活躍できたのは琉球王国を経由して貿易で財力を蓄えていたからである。
だから明治維新が成功したのは沖縄のおかげだったという面も大きい。

明治維新後の廃藩置県の際、琉球は正式に大日本帝国の一部として「県」にされた。
これを「琉球処分」と言う。
だから中国が沖縄を「日本に無理や併合された国である」という屁理屈にも歴史的な根拠はあるわけだ。

もちろん今の日本本土や沖縄県にとっては馬鹿げた主張だが、これを逆手に取る方法もある。
中国の言うとおり、沖縄県に日本からの独立を宣言してもらい、中国の朝貢国に戻す。

そして中国の朝貢国になったからには、米軍基地返還などの外交的な難問は中国にアメリカと交渉して解決してもらう。
沖縄への経済援助や地域経済振興策も中国に中国政府の金でやってもらう。

そしてあらかた問題が解決した頃を見計らって、日本と独立沖縄国家とで連邦政府を作るのである。
中国は沖縄は独立国であるべきだ、と言っているのだから独立国である沖縄がどこの国と連邦政府を形成しようがそれは沖縄ないし琉球国民の勝手である。

香港は長らくイギリスの租借地であり中国という国家とは別物として扱われてきた。
しかし香港が中国に返還され正式に中華人民共和国の一部になった後でも、国際会議や国際的なスポーツ大会などで、香港は中国本土とは別に一票を持ったり選手団を参加させている。

「一国二制度」の建前を利用して事実上一つの国が国際社会では二票持っているという特権を享受しているわけだ。
こういう国相手には、相手の建前を最大限利用する、それが外交のテクニックである。

「分かりました。中国の仰せに従って沖縄を独立させましょう。ついては日本には外国としての沖縄を援助する力はありませんから、沖縄の経済発展については北京の方でよろしくお願いします。」

こう言って中国に「独立国」沖縄に莫大な援助をさせる。
で、沖縄がそれなりに発展した頃を見計らって沖縄で「国民投票」を実施する。
中国の省になりたいですか？それとも日本と連邦国家を組みますか？を選んでもらう。

一党独裁国家の中国の一部になるか？一応は民主主義国家である日本と連邦を組むか？
たぶん「独立国家沖縄」の過半数は後者を選ぶだろう。

そうなれば中国の金で開発された沖縄を、今度は沖縄「国民」自身の意志で日本に取り戻す事が出来る。
中国のように日本と沖縄国の二票を国際社会で行使する事も可能になる。

沖縄の人たちが中国の省になるという選択をしたとしても、薩摩藩の侵略、琉球処分、明治維新後も続いた沖縄への差別、第二次世界大戦末期の沖縄戦における事実上の見殺し、戦後のアメリカ統治の容認、そして日本返還後も米軍基地の負担を押し付けてきた事。

こういう歴史を考えれば、沖縄の人たちが中国の一部になるという選択をするのならヤマトンチューに文句は言えまい。
しかし沖縄が中国から独立した国家である事を選択したなら、「日本・琉球連邦国家」の創設もあながち夢ではない。

沖縄が経済的に自立する金は中国からたっぷりむしり取る。
この程度のしたたかさは、日本もいいかげん身につけるべきだと我輩は思うのだが、どうだろうか？