Nicotto Town



国家のライフサイクル

我輩が愛読しているメルマガに「ロシア政治経済(RPE)」というのがある。
この著者の持論の一つとして「国家にも人間と同じようなライフサイクルがあって、これから逃れられる国はない」というのがある。

尖閣諸島沖で中国の漁船船長が逮捕された件への報復として中国が露骨な報復措置を取り、政府が圧力に負けてこの船長を釈放してしまった。
これを「腰抜け」と非難するのはたやすいが、中国と日本の関係をこのライフサイクル論で考えると、事の本質を理解しやすい。

国家は経済的には、テイクオフ期、成長前期、成長後期、成熟期、衰退期というサイクルをたどる。
日本の戦後で言うと、第二次世界大戦に敗北して衰退期の国家になり、世界的に見て貧しい農業国家の状態になった。

1950年の朝鮮戦争勃発で米軍から大量の注文が入り、工業が復活し始めた。これが戦後日本のテイクオフだと見るのが一般的である。
そして1960年代に完全に成長期に入った。これが戦後日本の黄金時代でもある。

しかし1973年の第一次オイルショックで世界不況の余波を日本も受け、年10%近い高度成長の持続は不可能になり、3%前後の成長率を目指す成長後期に入った。
これが1980年代の終わりまで続く。

この間、日本からの輸出の増加に悲鳴を上げた西側先進国との間で1985年に「プラザ合意」という秘密協定を結び円高を容認。
それ以前は1米ドル=二百数十円だった円の価値が$1=150円以下まで急激に上がり、日本マネーが世界を席巻した。

そして1990年から1991年にかけていわゆる「バブル経済の崩壊」。その後はないに等しい低い経済成長率になり、日本は経済的には成熟期に入った。
これが現在まで続いている。既に人口が減少を始めているから、いずれ日本はゆるやかに衰退期に入り、また次のテイクオフの機会を待つ事になる。

このサイクルは各期の年数の長い短いはあれ、先進国が共通に経験してきた。
EUの主要メンバーは成熟期ないし衰退期の国家であり、アメリカも既に成熟期に入っている。

中国は経済的には1978年がテイクオフであった。
鄧小平がいわゆる「改革開放政策」を宣言した年である。
「社会主義市場経済」の名の下に事実上の資本主義化が行われ、中国は成長期に入る。
日本から見て大体30年遅れである。

だからこの30年の差がその後も続いたとすると、日本の高度成長の終えんにあたる時期が2003年ごろ。日本マネーが世界を席巻したバブル期にあたるのが2015年から2020年ごろまで、という事になる。

この仮定が正しければあと最低十年は中国の経済の絶頂期は続く。だが同時に中国もいつかは日本の後を追って成熟期に入るという事でもある。
その後中国の「世界の工場」としての地位と役割は他の国が取って代わるだろう。アジアでその候補になっているのがパキスタン、バングラデッシュ、ベトナム、インドネシアなどである。

つまり2020年まで中国の「経済覇権」を揺るがす事は不可能である。それは国家のライフサイクルの表れだからである。
人間が若々しさを長く保つ事は出来ても文字通りの「若返り」はできないのと同じように、成熟期に入っている日本が成長期の国家に逆戻りすることは不可能だ。

成長期の国家である中国と同じ土俵で対立しても勝ち目はない。
30代40代のベテランのプロスポーツ選手が10代20代の若手と張り合うためには経験から得たテクニックや駆け引きが必要になる。体力では若手には勝てるはずはないからだ。

今回中国が日本に使った報復措置や恫喝のテクニックを研究して将来の再発に備え、国連に問題を持ちこんで国際世論を味方につけて対抗する。
これが日本が将来の中国の脅威に対して取り得る現実的なやり方である。

中国も成熟期に入ると、経済発展で一党独裁を正当化するのが不可能になるから、国内での民主化要求などが激化して侵略的な対外政策には力を割けなくなる。
逆に国内の矛盾解消から国民の目をそらすために、どこかと戦争して、という選択に走る可能性もある。

その時に日本を戦争相手に選ばせないための用心は今からしておくに越した事はない。
成長期にあって怖いもの知らずの状態の中国と、後十年どうやってうまくやっていくか?
成熟国家としての日本の力量が問われる。

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2010/09/26 14:18
今日は(*^。^*)

お隣さんに、こんな国があって厄介です。
尖閣諸島の騒動でも日本政府が強気になれないのはもどかしいですね。
日本は中国経済にいかに依存してるかといことも分かりました。

今回の衝突されて以降ですが、中国側にマニュアルのようなものがあるようですね。
つまり、jokerさんも指摘されてる国民の不満を如何に外に向けるかということです。
戦争とまでは行かないまでも、反日の世論操作をしました。

分かったことは中国が尖閣諸島沖の天然資源を欲しがっていることです。
国連の言うことも聞く国ではないと思います。

時事の分かり易い解説ありがとうございました^^
 
 
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2010/09/26 12:01
おごれるものもひさしからず、じょうしゃひっすいのことわりをあらわす  ですね。

でもやはり日本国民としては、日本には末永く繁栄して欲しいと願うばかりです。
まだ手はあるはず。早くそれに気付いて政治家の皆さんー!!
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2010/09/26 09:28
国家のライフサイクルというのは確かに存在すると思います。
それでいうと、日本は西欧に対して周回遅れな状態だろうなと。

第一次大戦の時、ヨーロッパ戦線を体験しなかったために「濡れ手に粟」状態を体験。
欧米が戦争のあまりの悲惨さに極度の平和主義に振り切れている時に、「今ならやれる」とばかりに軍拡を企画して欧米の横槍で挫折。
世界大恐慌に至り、欧米が植民地囲い込みを図ってしまったため、独自の権益確保のため経済圏を構築しようとするが敗戦のため失敗。
今更ながらに近代戦争の悲惨さを知ったため極度の平和主義に振り切れているのが今の日本。

日本が今後どうすべきかについては第一次大戦後のヨーロッパの教訓に学ぶべきところが多いのでは。
当初弱小政党に過ぎなかったナチスを大きくした要因は何なのか。
平和主義でことは収まるものなのか。
答えはそこに書いてあると思います。
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2010/09/26 03:10
へーーおもしろいですねーー

ライフサイクル。。。

但し、、国家の性格っていう面で、、中国は年取ってもかなり,,狡猾なんじゃないかと///

日本は、、気弱なお人好しって感じで、、でもまぁ、、戦争だけは止めて頂きたいですね。。
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2010/09/25 23:09
面白いです。たぶんこのまま日本は老人国家になって、そのうち中国に養われるのではないかと思います。
今回、日本の国は、何をしたのかわからなかったので、せめて、積極的に開放して、恩を売っておけばよかったと思いました。。
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2010/09/25 22:30
ほうほう 面白い論ですね
このサイクルは国の大きさや経済力、執政の如何で間隔が伸びたりするのかな?
そーなると成長期間や成熟期間も延ばす努力がいるのでしょうね

ちなみに仕方ないとは思うけれど
中国船船長の釈放はもうちっと体面だけでも取れないものかと思います
いやぁ潔いと言えば潔いんだけどね




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