中国人船長逮捕の腹いせとして中国が拘束したフジタという建設会社の社員４人がまだ解放されない。
この人たち、日中戦争時に旧日本軍が残した毒ガスなどの化学兵器の処理のための、日本の費用で建設する処理工場の建設予定地を見に行って捕まったそうだ。

スパイ容疑という事だが、外交官や大使館付き武官ならともかく、一民間企業の社員が簡単に近づける場所にそんな大それた軍事機密があるはずがない。
船長逮捕の腹いせなのは明らかだが、問題は容疑が軍事施設へのスパイ行為だという点だ。中国では最高刑は死刑である。

つまりたった一人の中国人を逮捕した仕返しに４人もの日本人が無実の罪で処刑される可能性があるという事だ。
それに旧日本軍が残した物とはいえ、中国のためのプロジェクトに参加してる企業の社員である。

報復のため、あるいは人質だとしても、そんな理由で中国にいる日本人をわざわざ選ばなくてもよさそうなものだ。
野党もなぜこの点をもっと騒がないのだろう？

と言っても今の民主党政権を誕生させたのは日本人自身なのだから、政府を批判しているばかりでは事態はよくならない。
ここは日本人一人一人が行動に出るべきだ。

何をやれるかと言うと、可能な限り中国製品を買わないという行動を心がけることである。
これはもちろん我輩の発明ではない。インド独立の父、マハトマ・ガンジーが編み出した方法論である。

英国の植民地からの独立の機運が高まった当時、ガンジーは「非暴力、不服従」を唱え、インド国民に英国製の商品、英国資本の製品の不買運動を呼び掛けた。
当初はインドでも武装蜂起を唱える勢力からは「世間知らずの理想主義」と言われたし、実際の独立運動の政治レベルではそう簡単ではなかっただろう。

しかし一般民衆レベルで出来る事としてはガンジーの方が正解だった事は歴史が証明している。
ならば今の日本人もこの偉大なアジアの先人に学ばない手はない。

もちろん中国製品を１００％ボイコットする事は不可能だろうから、そこまで神経質にやることはない。
スーパーで中国産野菜と国産野菜があったら、少々高くても国産を選ぶ。中国で作った衣類と東南アジア製の衣類があったら後者を選ぶ。

多少家計には響くかもしれないが、その程度は我慢しよう。
また肩肘張らずにゲーム感覚で楽しんでやる方が長続きする。
例えばその日一日で何個中国製品を買わなかったかを友人同士で自慢し合うとか、そんな感じでいい。

商店経営者なら可能なら店の入り口に「中国人お断り。台湾人は歓迎」という張り紙をしてもいい。
台湾も尖閣諸島の領有権を主張しているから無条件に日本の味方ではないが「敵の敵は味方」程度の関係は今なら成り立つ。

もちろん本当に中国人客を締め出す必要はない。その張り紙見てもなお入ってくる中国人には「日本は法治国家だから売ってやらないとは言えないからいやいや売ってやる」という態度で接する。

法務省の統計によれば、日本には２００９年時点で６８万人以上の在日中国人がいる（台湾人を含む）。ただしこれはちゃんと外国人登録をしている人だけだから、不法滞在者を含めればもっと多いだろう。

フジタの社員が無事解放されないと在日同胞が肩身の狭い思いをするぞ、という事を北京政府に思い知らせるにはむしろ都合がいい数字だ。

もちろん今回の件は大多数の在日中国人には責任のない事で、彼らを苦しめるのは個人的には忍びないし申し訳ないと思う。
だが、何の罪もない日本国民が４人も殺されるのを防ぐためには心を鬼にするしかない。

ここで重要なのは、在日中国人や中国人観光旅行者に物理的な暴力や根拠のない差別は絶対してはいけないという点だ。
日本国内の中国関係施設に危険物を投げ込んだりした馬鹿が早くも出ているが、あれは愚の骨頂である。
日本にさらに言いがかりをつける絶好の口実を中国政府に与える事になるからだ。

暴力や嫌がらせは絶対行わず、ただ「日本人としてあなた達の政府がやった事は許せません」という態度を毅然として見せつける。
これがガンジーの「非暴力、不服従」の精神である。

もちろん中国人相手に商売しないと生活が成り立たない人たちが無理やり参加する必要はないし、周りの日本人もそういう人たちを責めたりしてはいけない。

これを少なくともフジタの社員４人全員が解放されるまで続けるのだ。
自国、自民族が他国、他民族に迫害、蹂躙された歴史があるからと言って、その子孫が他国、他民族に対して同じ仕打ちをしていいという理屈は成り立たない。

昔西欧や日本の帝国主義者が中国にやった事と、今の中国が日本や他の周辺諸国にやっている仕打ちと、どこが、何が違うのだろう？

子孫の代の日本人が漢民族の奴隷になる、そんな未来を望まない人たちはこういうささやかな行動に出て欲しい。

国民一人一人が「日本のガンジー」になって非暴力、不服従の精神で「赤い帝国主義」に立ち向かうべきである。