起きてはいけない事だが、日本の右翼団体やイカれた日本人による中国人への暴行、脅迫などがやはり起き始めた。
福岡では中国人観光客の団体が乗ったバスを右翼の街宣車が取り囲んで大騒ぎになった。

べつに中華人民共和国の方の中国人なら襲われてもいいとは言わないが、台湾から留学などで長期滞在している人たちは次の点に注意してほしい。

まず、日本では学校で「台湾は中国の一部」だと教えている。
ある程度以上の年配の日本人は、台湾が事実上は中華民国を名乗り、中華人民共和国とは別の国ないし政治的主体である事を知っているが、若い日本人は台湾人＝中華人民共和国の国民と思い込んでいる危険がある。

在日台湾人の人たちは外出の際には出来るだけ、パスポートなど自分が「中華民国」の国籍である事を証明出来る書類を持ち歩くようにしてほしい。
なるべく「台湾」という文字が書かれている物がいい。

ただし日本政府が台湾人に発行している外国人登録証や許可証などには「中華人民共和国台湾省」と書かれた物が多いはずだ。
日本人にからまれた時これを見せると逆効果になる。そういう表記の書類は出来るだけ外へは持ち歩かないか、日本人のいる場所では広げないようにした方がいい。

もし変な日本人にからまれたらとりあえずこう叫んでみる。
「わたしは台湾人です。中国人じゃありません！」
相手が平均的な知的レベルなら、これで助かるはずだ。

厄介なのは自分のうっぷん晴らしのために外国人をいじめて喜ぶタイプの暴漢だ。
こういう連中は尖閣諸島の話や日中関係など本心ではどうでもいい。
報道で中国が悪く言われているから、中国人をいじめて憂さ晴らしをする絶好のチャンスだ、という程度にしか考えていない。

からんで来たのがこのタイプだと思ったら「韓国人です」とか「シンガポール人です」と、とっさに嘘がつけるようになっておいて欲しい。
その手の連中はそう言われたら、本当はどこの国の人間か、まず区別はつかない。

もしこれを読んだ日本人の中にコンビニや居酒屋チェーンの店長さんがいたら、次の点を考えて欲しい。
コンビニや居酒屋には若い台湾人や中国人の店員さんが多い。多分アルバイトの留学生だろう。

この店員さんたちは胸に名前を書いた名札を付けている場合が、少なくとも東京では多い。
これを漢字表記でなく、カタカナ表記に変えておいた方がいい。
客に「おまえ中国人か？」とからまれたら、やはりとっさに韓国人やシンガポール人になりすまそう。そういう日本人はカタカナ表記ならまず区別は出来ない。

周りの日本人の人たちも台湾人の友人が中華人民共和国人と間違われて暴行を受けたり、いじめ嫌がらせに遭わないように気をつけてあげて欲しい。

台湾でも年配の人たちは日中戦争の影響を引きずっている人も少なくないが、十代、二十代の若者には日本びいきの人がたくさんいる。
戦争の歴史は歴史として、今の日本のポップカルチャー、ファッション、芸能人などに憧れて日本に来たという人が在日台湾人のほとんどのはずだ。

台湾ではそういう若者を指す「哈日（ハーリー）族」という言葉があるぐらいだ。「日本大好き族」みたいな意味だ。

今日現在まだフジタという日本の建設会社の社員が一人、中国に不当に拘束されたままだ。
もしこの人が無実の罪で処刑されたり、刑務所に放り込まれたりしたら、不況と生活苦でイライラしている日本人が多いから不測の事態が起こりかねない。

もちろんたとえ相手が中華人民共和国の中国人であろうと、個々の中国人に暴力をふるうのはもちろん、暴言、嫌がらせなどは絶対あってはいけない事だ。
だが、何かのきっかけで日本人が暴走してしまう危険は無視できない。

台湾の若い世代はアジアでは珍しく親日感情の強い人たちだ。その日本の地で台湾人が大けがをしたり、トラウマになるようなひどい目に遭う、そんな事態は絶対避けなければならない。

在日台湾人の人たち自身も細心の注意をし、周りの日本人もそんな事が万一にも起こらないように台湾から来た友人を守ってやって欲しい。