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歴女&乙女ゲー&高校日本史の関係

このところ録りためていたビデオを見る時間がなく、やっと「薄桜鬼」の第2シリーズを見始めた。
オープニングの映像から察するに、どうやら雪村千鶴ちゃんは土方歳三が五稜郭で戦死する場面に立ちあうというラストになりそうだ。

アニメ版の薄桜鬼は史実の描写が非常に正確でリアルなので、男が見ても面白い。
最近、女の子向け、あるいは女の子に受けているアニメ、マンガ、ライトノベルなどで幕末から戦前を舞台にした物が増えた気がする。

最近の物で言えば「おとめ妖怪ざくろ」「戦国BASARA」「閃光のナイトレイド」などがある。
また2年ぐらい前から「歴女」なる若い女性がマスコミをにぎわせてもいる。
この歴女は「歴史上の人物萌え」の意味だが、そういう女性が出現し増えて、しかる後にマスコミが取り上げた、という順序のはずだから、実際の「歴女」の出現時期はもっと前のはずだ。

しかし、なぜここ数年で歴女が大量に出現したのだろうか?
薄桜鬼の人気が気になったのでいろいろ調べてみたら、面白い時間的相関関係が浮かんできた。まあ、我輩の個人的な仮説に過ぎないが。

我輩の世代の高校時代には高校課程でも「社会科」があって、普通科高校の場合文系理系を問わず2年生まで、世界史、日本史、世界地理、日本地理の4科目が必修だった。
現在高校に「社会科」という教科はなく、「歴史地理」と「公民」に分かれている。

そして、ここがポイントなのだが、1994年度に入学した高校生から日本史が必修でなくなっている。
そして高校で日本史を全く履修しなかった人が高卒の半分ぐらいになるそうである。

1994年度に高1だった女性は現在30歳か31歳。上限でこの年齢だから、二十代女性という歴女の年齢層と、高校で日本史を習わなかった世代が一致する。

つまり、高校で日本史を習った事がない女性が増えた結果、歴女が出現したのではないか?というのが我輩の仮説である。

乙女ゲーが好きなだけなら、舞台設定なんて他にいくらでもバリエーションがある。
歴史物の乙女ゲーの場合、登場人物であるイケメンのヒーローの最期を簡単に知る事ができるという点はむしろマイナスのはずだ。

真田幸村であれ土方歳三であれ、それが実在の人物である以上、何年にどこでどういう死に方をしたか、Wikipedia あたりで調べればすぐに分かる。
言って見れば先が読めてしまうわけで、本来なら実在の人物をキャラにした「歴史物」と「乙女ゲー」は相性が悪いはずなのだ。

にも関わらず「歴史物の乙女ゲー」が受けているという現象はなぜ起きるのか?
学校で日本史をやらなかったから、さらに言えば「勉強」としての日本史という呪縛から解放された世代の女の子が社会人になって経済的な余裕ができた時に「歴女化」するのではないだろうか?

日本史は特定の人物や集団の目線から見ると意外と面白い。
学校の日本史は客観的な視点からしか歴史を見ないから、はっきり言って面白くはない。
また暗記する項目数が多く覚える漢字の量も多いので、昔から大学受験の選択科目としては敬遠されてきた。

しかし日本人が日本で生活している以上、日本史と無縁ではいられない。
日本史が高校まで必修だった時代は、何となく分かった気になっているから興味がわかなかった。
しかし高校レベルで何も習っていない女性が増えた結果、偶然触れた日本史の何かがかえって新鮮に感じられてハマってしまった。これが歴女の誕生ではないだろうか?

男性の歴史好きは昔からいた。特に戦国武将に感情移入するサラリーマンというのは多かったし、その手のビジネス書などもあった。

ただ男性と女性の違いは感情移入の対象が違う。男性は織田信長、徳川家康のような「勝ち組」に感情移入する人が多いのに対し、歴女の感情移入の対象は「負け組」か「歴史の表舞台に立てなかった人物」である傾向が強い。

新撰組や真田幸村は歴史的には滅んだ敗者であるし、伊達正宗も既に徳川の天下が確定した頃に世に出た人物であり歴史の表舞台には立てなかった。
やはり男と女では歴史を見る視線が違うのだろうか?

しかし、もしそうならけして悪い事ではない。歴史は常に勝者の視点からしか語られず、かつその語り手はほとんど男性であった。
女性の視点と敗者の視点を合体させて歴史を見る、という観点は現代になって初めて出て来たものではないだろうか?

高校で日本史が必修でなくなって、その分女性が自由に歴史を見る事ができるようになった。
歴史物乙女ゲーの隆盛がその一つの結果だというのなら、教育界にとっては皮肉と言うしかない。

高校で日本史の再必修化を、という意見、動きが出始めているが、もし我輩の仮説が正しければ、いいか悪いか、判断が難しい所である。

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2010/10/30 08:23
歴女って言う言葉に違和感を感じるのは・・・私だけでしょうか?
歴史って、武将時代のことだけで・・・男性の明度とかに対する『萌え』と同等かと?!

歴史を探究している職業をしているのは『ヲタク』で・・・というのはなんだか違うような気がする。
『萌え』の歴女は『ヲタク」の領域ではと思うのです・・・。

しかし。。。『ゆとり教育』で小学校で歴史を習うのは小学校6年生からなんですよ・・・
『国を愛する』とか『地域に愛着を持つ』とか色々言ってるけれど、自分の国の成り立ちとか歴史を知らないまま
愛着を持て、といわれても難ですね^^;;
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2010/10/29 18:23
>女性の視点と敗者の視点を合体させて歴史を見る、という観点は現代になって初めて出て来たものではないだろうか?


なるほど!!確かに確かに。。
昔から、影で武将を支えた内助の功な妻をクローズアップした本などはありましたけど、
これ↑は現代ならではですね。
興味深い。

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2010/10/29 07:14
そうですね
今の現役高校生の娘は日本史習っていないですね。
地理だけですね。
今のお子たちの勉強の仕方だと必修に入れる事は難しいかもしれないですね。
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2010/10/29 00:20
ああ、負け組の屈折が好きですね。孤独に耐えて、それでも上を向くとか。
ふむー。女性に多いのかしら。気になります。
歴史物は小説でもゲームでも、かっ飛んでるほうが好きです。鬼平とか。
史実ならパロディか。池波正太郎だったかな?小説で勉強した気になるなって言ったの。
勉強としたって、所詮、勝ち組が伝えたことが真実なので、後世で真実を定義しようとするのはどうかなと思います。
事実は事実ですが。
歴史の授業と関係があるのか、面白いですね。先入観は無いのかもしれませんね。
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2010/10/29 00:01
「歴女」という言葉があまり好きではないので、そっちは廃れてもいいかな~と個人的には思ってみたり。
個人に焦点を当てた歴史は確かに面白いですが、人間には必ず光も影もあるもの。
例えば、伊達政宗が東北の勇者となるまでに踏み台となった敗者も数多存在するわけだし、スペインへの使節が帰国後どのように遇されたかとか、徳川家康六男の没落に一枚噛んでいないわけがないといった辺りまで理解して、それでも好きと言っているのではないような気がしてしまうのです。
気のせいかな~

余談ですが、信長や龍馬が脚光を浴びたのも戦後のことで結構新しい話です。

信長の場合、彼の死後秀吉の時代は「秀吉を引き立てたという意味で偉い」レベルの扱いでしたし、江戸時代は「権現様」がダントツの一番で、信長は彼を討った光秀以下の扱いだったらしいです。
明治以降は「天皇を敬っていたと思われた」秀吉が再び脚光を浴びていました。
戦後、秀吉・家康の上に立ったことがある人物ということでようやく注目を集めることになりました。

隠れた人物を掘り出してきて、想像を膨らませて盛り上る才能というのは男性にもあるように思います。
司馬遼太郎が龍馬像を作り出したようにね。
虚像が一人歩きを始めると、その人に功を奪われてしまう本当の功労者がいたりしてややこしくもあるのですけど・・・
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2010/10/28 21:34
なるほど、たしかに。
勉強になりました。
ありがとうございます。




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