Nicotto Town



地球発、きずな経由、あなた行き

JAXA(宇宙航空研究開発機構)も粋な事を考えたものである。
2008年2月に打ち上げられた「きずな」という名の人工衛星があるのだが、この衛星を経由してクリスマス・イブに一斉にデコメを送信してくれる、というサービスをやるのだそうだ。

ただ、事前にJAXAのサイトにメルアドを登録しておく必要がある。
試してみたい人はここへ↓
http://www.satnavi.jaxa.jp/xmas2010/

もちろん、メルアド持っている人は普通の回線でメール送ればすむ話だが、クリスマス・イブに空からメールが降ってくる、という仕掛けは悪くはない。
恋人同士なんかだと、ロマンチックな気分になれるだろう。

日本の科学技術の水準はまだまだ捨てた物ではないのだが、理系の知識にうとい一般人には何がすごいのかよく分からない、という面も多い。
これが近年の若者の理科嫌い、理系離れの原因の一つだと思う。

満身創痍での奇跡の地球帰還を果たした探査機「はやぶさ」は国民的な人気になったが、ああいうドラマチックな成果は滅多にあるものではない。
常日頃から地味な成果を一般人にアピールしておくというのは大事な事だ。

この「きずな」という衛星、高速インターネット通信専用の衛星である。
が、計画されたのは光ファイバーが普及する前で、計画が遅れに遅れ、打ち上げられた時には既に日本各地で光ファイバーやADSLが珍しくもなくなっていた。

「今さらそんな衛星が必要なのか?」という声を押し切って打ち上げを強行したという経緯がある。
幸か不幸か、民主党が政権を取る前だったから打ち上げができた。
その後だったら十中八九、事業仕分けに引っかかっていただろう。

だから、このクリスマスのメールサービス、「税金の無駄遣い」という批判をあらかじめかわしておこうと言う下心もありそうだが、そうだとしても、発想は悪くない。
民間企業でもこういう事を思いつく所はそうはあるまい。

それに、不況と政府の財政難で光ファイバーの敷設がとん挫している地域だってたくさんある。
光ファイバーの恩恵を受けられそうにない地域が出て来た以上、この衛星、不必要とは言い切れなくなってきた。

また打ち上げ当時と変わった点がもう一つ。
スマートフォンの普及である。

2008年にはスマートフォンが何か知っている人の方が日本では少数派だったろうと思う。
もし現在のケータイがどんどんスマートフォンに置き換わっていけば、地上基地局経由の回線がパンクする危険もある。

もし「きずな」がスマートフォンの接続を担当する、あるいは地上局のバックアップに使えるなら、この衛星、無駄ではなかったことになる。

このクリスマス・メールのサービス自体はお遊びの域を出ないが、現在存在価値が疑問視されている計画や事業を存続させるための工夫としては、民間企業もその発想は見習うべきだろう。

アバター
2010/12/04 08:59
数十年後には土砂に埋もれて使用不能になるばかりか洪水の原因にすらなりかねない欠陥ダムの建設よりは、はるかに有意義な事業でしょうね。
願わくば未来もこの水準を保っていただきたいものです。
アバター
2010/12/03 22:36
ほーーなかなか粋なお話ですね。。

そういう柔軟なナイスアイディア、、大事だと思います。。




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