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東風21Dは軍事史を塗り替えるか?

一部の海外メディアの報道によると、中国の新型ミサイルが完成に近づいているそうである。
「東風」という名のシリーズで、タイプは大型、小型いろいろあるのだが、東風21という型の最新式で、米軍はDF-21Dと呼んでいる。

さては超強力な核ミサイル?と思いがちだが、報道されている限りでは通常弾頭らしい。
つまり核兵器ではなく、普通の爆薬を積んだミサイルという事だ。
だが、この東風21-D、戦争の歴史を塗り替えるかもしれない。

何がすごいのかと言うと、この新型ミサイル、「空母殺し」の兵器と言われているからだ。
射程は1500キロぐらいというから、中国本土からはるか遠くにいる空母を、ピンポイントで狙い撃ちする事を目的に開発されている、というのだ。

現在、世界の軍事バランスは「1対1でアメリカと戦争して勝てる国はない」という前提で成り立っている。
そしてアメリカが強いのは、巨大空母を10隻以上も持っている、世界で唯一の国だからである。

空母は動く空軍基地みたいな物で、アメリカからどんなに遠い、たとえ地球の裏側へでも、一隻あたり50機、60機といった戦闘機や爆撃機を運べる。

ユーゴスラビア紛争やイラク戦争で典型的だったように、冷戦後の戦争は、まず航空機やミサイルで敵の軍事施設や兵器を破壊し、相手が攻撃手段をあらかた失ったところで、陸上部隊を突入させ一気に制圧する、というのが定石だ。

アメリカは巨大空母を持っているがゆえに、世界中のどこでもこれが可能だ。
だから現在、アメリカとタイマンを張れる国はないわけだ。

だが、米海軍の空母を無力化できたらどうか?上記の戦争の定石を覆す事ができる。
中国の新型ミサイルは明らかにこれを狙っての事だと思う。

空母の最大の弱点は、空母自身にはほとんど武器がない、という点である。
側面に機銃がある程度だろう。
敵の戦闘艦や戦闘機やミサイルに襲われたら、空母は自分では身を守れない。

そこでアメリカが開発したのがイージス艦である。
イージスとは元はギリシャ語の「アイギス」という言葉で、「盾」を意味する。
敵の戦闘機やミサイルを剣や矢にたとえれば、それから空母を守る盾がイージス艦である。

日本の海上自衛隊は空母を持っていないが、日本が攻撃される時は真っ先に戦闘機、爆撃機、ミサイルなどが飛んで来るはずだから、それを叩き落すために海上自衛隊もイージス艦を持っている。

なんだ、じゃあ、中国の新型ミサイルが出来ても大丈夫じゃん・・・と思うのは早計である。
中国がイージス艦の存在を知らないはずはない。ならば、東風21-Dは、イージス艦でさえ防ぎようのない対空母兵器であるはずだ。

上記の報道によれば、東風21-Dは弾道ミサイルであるらしい。
千キロ以上も遠くから狙う場合、いくら空母がでかいと言っても、豆粒ほどの標的だ。
それを狙うなら巡航ミサイルが一番確実だが、巡航ミサイルではイージス艦に叩き落されてしまう。

ここからは想像の域を出ないが、東風21-Dはまず成層圏近くまで高く飛び上がり、それから弾頭部分がセンサーで空母の位置を補足しながら、ほぼ垂直に落下してくる、というタイプではないだろうか。

イージス艦の迎撃システムは航空機であれ、ミサイルであれ、横向きに飛んで来る物を叩き落す、という前提で作られている。
成層圏あたりから垂直に落ちてくる物体のスピードは、これまでのミサイルの比ではない。
イージス艦といえども迎撃不能、出来たとしても間に合わない、という可能性がある。

また、上空で小さな爆弾に分かれて雨あられと降って来る、クラスター爆弾のような多弾頭ミサイルなら、一発必中でなくてもいい。
空母を無力化するには沈没させる必要はない。飛行甲板に大穴を一つでも開ければ、どんな強力な戦闘機も発進できなくなって、宝の持ち腐れになる。

もし東風21-Dが本当に「空母殺し」で完成すれば、戦争の歴史が変わる。
現在の戦争の定石が通用しなくなるからだ。
すると、次なる必殺の新兵器が必要とされる。

そういう事は歴史上何度も起きている。
ナポレオンの頃までは、戦争と言えば、広い平野で歩兵や騎兵の大群が直接ぶつかりあうものだった。

機関銃や射程の長い大砲が普及するにつれ、塹壕戦が定石になった。
人間がすっぽり隠れられる深い穴を何十キロにもわたって掘り、そこに身を潜めつつ敵の進軍を食い止める。

塹壕を突破するために、手榴弾、毒ガスなどの新兵器が開発され、最後にイギリスが戦車を発明して、塹壕戦を過去の戦術にした。

砲艦の数を軍縮条約で減らされた日本は、空母から大量の航空機を発進させて艦隊を空から攻撃するという新戦法を編み出した。
これが真珠湾攻撃であった。

もっとも海軍の上層部が戦艦大和のような大艦巨砲にこだわったため、お株をアメリカに奪われて太平洋戦争では惨敗したが。

それ以来の「空母こそ力」の定石を、東風21-Dは変えるのだろうか?

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2010/12/31 17:34
潜水艦の力、情報戦も最近の戦争の一面ですよね。
最後の一手が核である以上、国益は領土・覇権争いから経済戦争での勝利に
移行しつつあり
通常の軍事力はその手段の一つに地位を後退させている気がします。
(侵略・防衛の道具から、政治・経済的地位確保の道具へ。)


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2010/12/30 21:32
沖縄の米軍が抜けると沖縄の学生さんは思っていません。
沖縄じたい米軍が抜ければフィリピンの二の舞なので・・・
それは沖縄の学生さんは良くわかっています。
沖縄の学生さんはバイトも米軍でしていますし~
米軍基地を順公務員と言っていて~
米基地に就職するための予備校がけっこうアルって聞きました♪
沖縄の学生さんの多くが基地の存続を望んでるから空母殺しが生まれても・・・・
沖縄に居る米軍は安泰だと思ってます♪
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2010/12/29 08:34
沖縄に基地を持つ米軍は中国に対しては空母を使うまでもないような気もしますが。
(これが米軍が沖縄に駐留している意味だと思うし、中国が沖縄基地反対運動を扇動させている要因のひとつでもあると思う。)
「空母殺し」が有効になるためには、空母でないと戦闘機を配備できない地域で戦闘を行う必要がありますが、米軍はそういった意味でも同盟国を持っていて抜かりがなさそうです。

また戦後の開発では潜水艦の技術向上も見逃せませんね。
中国が日本の海洋戦力で最も警戒しているのは他でもない潜水艦だと思います。




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