Nicotto Town



「良いお年を」の続きは?

さて大みそかである。
「良いお年を」というのが決まり文句になっているが、実はこの後の言葉が、我輩の祖父母の世代では現代と微妙に異なっていた。

現在ではこの続きは「お迎え下さい」であろう。
だが、少なくとも九州の一部の、我輩の祖父母の世代は「良いお年を」を「良いお年をお取り下さい」という意味で使っていたように記憶している。

「数え年」という言葉を、もう今の若い人たちは知らないかもしれない。
明治の初めに今の太陽暦が導入される以前、つまり旧暦の時代、年は元旦に一つ重ねるものと考えられていた。

だから、旧暦の12月30日(旧暦では一年の最後の日である)に生まれた人の場合、生後二日目にはもう「一歳」になってしまう。
これを「数え年で一歳」と表現した。

明治以降も我輩の祖父母の世代まではこの風習が残っていて、祖母が我輩を知り合いに紹介する時、我輩の年齢を、たとえば「満で十歳、数えで十一です」などと言っていたのを記憶している。
つまり元旦から誕生日までの間は、数え年が満年齢より常に一つ多かったわけだ。

我輩の故郷の農村部では「年取り餅」という物もあった。
中に小豆の黒アンを詰めた単なるモチなのだが、除夜の鐘が聞こえ始めると、子供にこれを一個ずつ食べさせる。

これも、元旦が来て一つ年を取る、という昔の観念の名残だろう。
子どもがまた一つ年を取るという事は、無事育っているという事でもあるので、子供の死亡率が高かった昔は、そのお祝いの意味もあったのだろう。

ちなみに生まれた日付で誕生日を祝うという現在では当たり前の風習も、せいぜい明治以後の事である。

なぜなら、上記の風習に加えて、旧暦では生まれた日付で何かを祝うのは、ちょっと都合が悪かったからだ。
旧暦は月が地球を回る公転周期をもとに一カ月の長さを決める。
月の公転周期は約29.5日と半端なので、これかける12で、一年は354日になる。

が、知っての通り、地球が太陽の周りを一周する周期は365日と4分の1である。
だから旧暦をそのまま適用すると、月日と実際の季節が大幅にずれてしまう。
そこで太陰太陽暦では「閏月(うるうづき)」を挿入した。

これは約3年に一回、同じ月を二回繰り返すということである。
たとえば、1月、2月の次に「閏2月」という月があり、その年は13カ月ある。
しかも閏月が何月になるかは毎回違っていた。1月以外は全て閏月があり得た。

だからたとえば、9月15日に生まれた人の場合、十数年に一回ぐらい、誕生日が一年に二度来てしまう。
これは同様の暦法を使っていた中国や韓国でも同様で、生まれた日付で誕生日を祝うようになったのはここ半世紀ほどの事である。

そんなややこしい暦を誰が作っていたのか?
遅くとも平安時代には朝廷のお役所として「陰陽寮(おんみょうりょう)」というものがあった。
ここが太陽や星の位置を観測して、毎年の暦を作っていた。

だが、陰陽道は科学的な天体観測の部分と、占星術や呪術などのオカルト的な要素がごっちゃになっていた。
政治の実権が武士の幕府に移り、貴族社会が沈滞してくると、そのオカルトの部分が肥大してきた。

陰陽道を仕事にする貴族の一族が占い、呪術などのオカルトに特化していった。
それが最近マンガやアニメにもよく登場する「陰陽師(おんみょうじ)」である。
特に江戸時代初期、徳川幕府が「天文方」という役所を設立して、暦の製作を陰陽寮から奪ってしまうと、陰陽師は完全にオカルト専門になった。

さて、子供の頃の刷り込みというのは恐ろしいもので、今でも我輩「良いお年を」の後に無意識に「お取り下さい」と言ってしまう事がある。

しかも、なぜか、それを口走る相手が女性で、なおかつその時点で19歳とか29歳とか39歳の女性だったりする。

というわけで、ニコッとタウンのみなさんも良いお年をお取り・・・・・・
いや、だから、そうじゃなくて・・・・・・
良いお年をお迎え下さい。

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2011/01/03 01:53
暦は江戸時代でも発行元により二種類あったらしいです。
日食とか特別な時にその正確性を競ったとか。

うちの祖母は12月末くらいに生まれたらしいですが誕生日は1月1日になっていました。
昔は出生届も鷹揚だったのですね。
数日で1歳というのは就学などを考えたらしんどいという事情もあったのでしょう。
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2011/01/01 17:16
お迎えください、しか思いついていませんでした。
なるほどねー。暦を抑えるのが権力とも聞いたような。
庶民にはわけわからん世界だったのかしら。
さて。新年も明けました。よいお年でありますように。
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2011/01/01 04:09
あはっ。☆おもしろい。^^
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2010/12/31 23:27
あはは、、、

はい(^^)V

1月生まれの私は、、太陰暦でも年1回の、誕生日ですね。。

重ねるごとに、、味わい深く、、成りにけり屋の、、人生かな。。。

明日からも、ブログ楽しみにしております。。

良いお年を、、お重ね下さい。。
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2010/12/31 22:53
もし、女性に口走るのなら
「良いお年を 重ねて…」に
なさって下さいマセ。
歳は取る物ではなく、
重ねる物ですから。
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2010/12/31 21:29
そうなんですか なるほどね^^ 今は、もうちょっと違うニュアンスですもんね^^

良いお年をお迎えくださいませ^^




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