Nicotto Town



他人事でないNZ地震

ニュージーランド第二の都市、クライストチャーチが大地震に見舞われ悲惨な事になっている。
ニュージーランドと言うと羊の国というのどかなイメージがあるが、実は日本列島と同じ地質学的な特徴を持っている。

「プレートテクトニクス」という地球物理学の理論がある。
地球の表面は計15枚ほどの「プレート」と呼ばれる巨大な岩盤で覆われていて、これが一年に数ミリとか数センチ程度常に動いているのだ。

Wikipedia に分かりやすい図があるので、これを見るとよく分かる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Plates_tect2_ja.svg

日本列島もニュージーランドもプレートの境界線上に位置している。
そしてプレートの境界に近いほど地震が多いのである。

地震は大まかに三つのタイプに分けられる。

第一は火山性地震。これはイメージしやすいだろう。
火山がドッカーンと噴火すれば周りの地面は大きく震える。

第二が「プレート境界型」とか「海溝性」とか呼ばれるタイプ。
日本の場合、太平洋プレートが東側からユーラシアプレートの下に潜り込んでいる。
日本列島はユーラシアプレートの端にあり、このプレートは常にじわっと上に押し上げられるか、あるいは端っこが境界の下に引っ張られている。

そしてその力のひずみがある程度溜まると、ユーラシアプレートの端がプルっと震える。
地球サイズでは「プルッ」でも、人間のサイズでは「大地震」である。
1923年の関東大震災もこのタイプだったと言われている。

プレートの一部が全体的に震えるから非常に広い範囲を地震の震動が襲う。
ただ、岩盤の非常に深い所で「プルッ」が起きるから、震源は地下数百キロと深く、かつ一度大地震が起きてエネルギーが放出されると、次の「プルッ」まで、数十年とか数百年とかの時間がかかる。

このため、過去に起きた地震の間隔からある程度周期性が割り出せる。
最近、南海地震や東南海地震が近いから用心するように、と政府が言っているが、なぜそんな事が分かるのかと言うと、この第二のタイプの地震なら周期があるからだ。

第三のタイプが「断層型」とか「直下型」と呼ばれる地震で、震源の深さがわずか数キロ程度と極めて浅いという特徴がある。
今回のクライストチャーチの地震もこれだったようだ。
1995年の阪神・淡路大震災もこのタイプだった。

プレートの境界の近くには、地下の深い所に「断層」と呼ばれるいわばひび割れみたいな物が存在する事が多い。
境界からやや離れた場所でも、常に巨大な岩盤同士の押し合いへし合いの圧力を受けているから、その割れ目に圧力が蓄積していく。

このエネルギーが岩盤が耐えられる限界を越えると、断層の両端がズルッとずれて、その結果巨大な振動が起きる。
震源の位置が非常に浅いため、マグニチュードの数字が同じなら、この直下型の方が揺れが大きく、当然被害も甚大になる。

こういう点で日本とニュージーランドは非常によく似た地質学的構造を持っているのである。
他人事ではないと同時に、日本の耐震技術などをニュージーランドに提供できないだろうか?とも思う。

この直下型のやっかいな点は、現代の科学技術を以てしても予測が不可能だという事だ。
ひょっとしたらある程度の周期があるのかもしれないが、地震の研究そのものの歴史が短いから、何千年もさかのぼって直下型地震の発生だけを調べるのは無理だ。

火山の噴火にもある程度の周期があるらしいのだが、世界的には体系だった記録が少なく、あまり詳しい事は分かっていない。

が、日本では非常にユニークな方法で千年以上火山噴火の記録をたどる事ができる。
日本には火山が多いが、その多くの麓には名前に「浅間神社(せんげんじんじゃ)」とつく小さな神社がある。

かつて地震を神の祟りと考えていた頃、どこかで火山が一定以上の規模の噴火をすると、時の朝廷が各地の「浅間神社」のご祭神に「官位」を献上する、という風習があった。
貴族と同じように「主一位」とか「従二位」とか、そういう官位のランクが火山にもあったわけだ。

最初は一番下のランクだろうが、周期的に大噴火を繰り返す火山だと段々官位のランクが上がって行く。
神社の方では、畏れ多くも天皇から頂いたご祭神の「昇進通知」だから、その記録は大事に後世に伝えられる。

明治になって科学的な地震研究が始まった時、この全国各地の浅間神社の記録を調べたそうである。
それによって、どこの火山がいつ大噴火したか、かなり詳しく分かるらしい。

千年も前まで火山の噴火の記録を正確にたどる事ができる国は、世界広しといえど日本ぐらいだそうである。

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2011/02/27 18:00
浅間神社ってどっかで見ました。
これまで大災害にあったことはないけど東海地震には警戒。

日本人はかなり災害の記録をしっかりのこしてますね。日本の津波記録で300年以上前のペルー大地震が証明されてるそうです。
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2011/02/23 23:21
火山の記録だけではなく、意外なところでは演劇の記録なども日本は細かく残っています。
私達が常識だと思っていることも外国ではなかなかないものが多いので、技術移転なども難しいです。
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2011/02/23 05:49
何故、リビアが混乱しているこの時期に・・・

フランスが200回程、核実験した場所の近くで
巨大地震が発生したのだろう?
http://www.youtube.com/watch?v=1xRzpNp6i58
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2011/02/22 23:52
ここに来ると、賢くなります(^^) 詳しい説明ありがとうございます。
大震災 一刻も早い救出を願っています。
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2011/02/22 22:20
皇統が今に到るまで続いている恩恵がそんなところにもあったんですね。
日本で古代や中世に易姓革命が起きていたらそのような記録は処分されていた可能性も高いですから。

それはさておき。

昔の貴族はよく日記を残していたので、大きな噴火などは日記で触れられていることも多いようです。
幕府の公式記録にも富士山や浅間山の記録がありますし。
こういった記録類も活用されているのでしょうね。

断層は、過去の地震については専門家が見ればある程度わかるらしいですよ。
ずれた部分とその上に堆積した層を観察しているらしいです。
さすがに何年に発生したかまではわからないでしょうけど。
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2011/02/22 22:19
神社の神官の方の書いた、和紙に書かれた古文書。
地震情報が書かれているのですね。
九州の新燃岳の時にも江戸時代の記録、ニュースで見ました。

地震は怖いです。
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2011/02/22 22:09
うひゃーーすごいですね。。

地震は、防ぎようが無い分、、対策が大事ですね。。
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2011/02/22 21:47
地学専攻してたのに縦読みしてしまった…(´Д`;)
ニュージーランドも環太平洋造山帯だということでしょうか…
北半球に高い山が多いので、どうも北半球でものを考えがちですが
NZも立派に造山帯なんですね。




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