Nicotto Town



日本企業が韓国企業に負ける理由

「イデオット・プロット」という言葉がある。英語で書くと「idiot plot」。
直訳すると「間抜けな筋書き」。
小説や映画のストーリーなどで、読者、観客にあっさり先を読まれてしまう、出来の悪い筋立ての事だ。

舞台での芝居なら、新作のはずなのに観客は簡単に先が読めてしまってうんざりしながら見ているのに、脚本家だけが「どうだ、傑作だろ?」と誇らしげに客席をながめている、という状況だ。

これは日常生活でもよくある話である。
家族や友人同士ならいいが、職場で起こると迷惑この上ない。
我輩の職場にも、そういうのがいて困っていた。

週に一回、3つの英文の案件を選びださねばならないのだが、ダメ出しをしないと気が済まない奴がいるのだ。
最初なぜ駄目なのかを聞いても「とにかく駄目」とかで理由を言わない。
そこで一旦無視して自分だけで進める事にした。

するとギャーギャー言ってきたので、理由を言わせるように仕向けたら、書類の内容を全く理解できていなかったのだ。
複雑な内容の英文を理解できないわけだ。

もともと我輩の部署より格上の部署から左遷されてきた奴なのだが、本人もそれを自覚していて、我輩の部署を馬鹿にする事でプライドを保っているような男だ。
だから我輩のような昔からの部員には威張り散らさないと気が済まない、という厄介な相手だ。

それで仕事が出来るのなら我慢もするが、もう十年ぐらい今の職場にいるのに、出来る仕事の方を数え上げた方が早い。
本人もそれを自覚しているのだが、仕事を覚える気は全然なく、無理やりにでもダメ出しをして自分を偉く見せようとする。

こっちはそんな猿芝居とっくの昔から見破っているのだが、当の本人は自分の芝居が通用していると信じて疑わない。
まさにイデオット・プロットそのものである。

こういう時に頼りになるのは、飲み屋の顔なじみの知り合いである。
我輩は小さな企業の管理職の人たちが集まる酒場を数軒、行きつけの店にしていて、そこで教わった知恵でサラリーマン人生の危機を何度乗り越えたか数え切れない。

さて絶妙な対策を教わった。
相手は内容とは関係なくダメ出しをしたいのだから、させてやればいい、という事だ。
我輩が「これは使える!」と思った案件がA、B、Cの三つあるとする。
もう一つ「あ、これはビミョーに駄目だな」と思う第四の案件Dを用意しておく。

そしてAとBとDを提出して、Cは手元に隠しておく。
相手は嬉々として「Dは駄目だ」と言ってくるから、それを引っ込めて本来のCを代わりに出す。
するとあっさりOKが出るわけだ。

わざわざ使えない案件を用意するなんて労力の無駄だろうと思うかもしれないが、最初からOKの物を出すと、その数倍の余計な手間がかかるから、差し引きでは大変な労力の節約になる。
既に2回試して、2回ともドンピシャリ成功している。
似たような困ったちゃんの上司、先輩に悩まされている人は一度お試しあれ。

これはその酒場の知り合いもやっている事で、やはりなんでもかんでも一度はダメ出しをしないと気が済まない親会社からの天下りの役員がいるそうだ。
が、こっちの手間暇は我輩の比ではない。

販売促進の企画書とかを作る際、まず本来提出する物を作った後、その役員にダメ出しをさせてやるための、不具合のある企画書をわざわざ別に作るのだそうだ。
それもあまりあからさまな物ではまずいから、その無能な役員でも指摘出来るような不具合を数人がかりで考えて、図やグラフまで入れるという念の入れよう。

そんな事してたら本来の業務に支障が出ないのか?と訊いたら「出るに決まってるだろ。そのためだけに夜中まで残業する事もしょっちゅうだよ」だそうだ。
そして最後に彼が吐き捨てるように言った言葉が印象的だった。

「こんな事やってて韓国メーカーに勝てるわきゃねえんだよ!」
お互い社名などは知らないが、家電かエレクトロニクス機器メーカーの子会社なのだろう。

韓国は儒教社会で長幼の序にうるさいというイメージがあるが、ビジネスの世界は別である。
一つには徴兵制があるからだ。
軍隊では作戦行動中は、年長者のメンツのために不合理、非合理と分かり切っている事は絶対やらない。文字通り命に関わるからだ。

だから少なくともサムスンやLGのような一流企業では、合理性が最優先。
年長者のメンツなどにこだわらない。メンツをつぶしたら仕事以外の事で埋め合わせする。
そういう企業文化であり、この点で日本企業とは対照的だ。


最近日本企業が韓国企業にしてやられる事が増え、その原因がいろいろ分析されているが、案外本当の原因は、上記のような馬鹿げた事をやるか、やらないか、その差ではないだろうか?

いずれにしてもサラリーマンたる者、持つべきものは異業種の飲み屋友達である。

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2011/08/29 18:09
idiot plotについて調べてたら、ひとりよがりで、論理破綻した脚本やブログのことと書いてあった
典型的なidiot plotも照会されていたので、参考にしてみるといい
>>http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=154272&aid=31487292
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2011/08/26 08:45
最後のオチに笑ってしまいました。
なるほど、そういうのもあるかもしれませんね。
問題児をなかなか首に出来ない所が、日本企業の弱い所かもしれません。
高度経済成長とバブル経済の負の遺産と言うか、
経済規模と同時に企業が拡大していく中、
それほど優秀でない人材にも管理職のポストが割り当てられていました。
そしてそういう人に限って希望退職を募ったときに手を挙げないし。
(他でやっていく自信がないのでしょうか)
本当の経営危機で肩たたきが始まったときに、ようやく首に出来そうな感じでしょうか。

企業は企業そのものにもメンツがあって、
その守り方がおかしな事になっているのですよね、日本は。

韓国企業の強さは、大規模設備投資と言う博打に勝ち続けてるイメージですね、私の中では。
もっとも、マーケティングに労力と資金を投資するから勝てるのですが。
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2011/08/26 01:28
確かに日本の会社には余計な手間が多いのかもしれませんね。
(官公庁も多分似たようなもの。)

ただ、韓国企業の場合、別の側面もあるとか。

まず、正規雇用が日本以上に少ない。
そして法人税が明らかに安い。(しかも一部未納状態とか)

それでも大きな問題にならないのは、企業が寡占状態だから。
日本のように同業他社が多くあると一社を取り締まっても社会的影響は限定的ですが、少ない(かつ大きい)となると影響は甚大で余程のことがない限りフリーパス。

寡占状態になっているのは、韓国は一度通貨危機を経験しているから。
組織強化を図らなければ危機を脱することはできなかったのでしょう。

そんなわけで、寡占状態の会社を目指して受験戦争を戦い抜く韓国の仕事事情がうらやましいかというと微妙なところもあります。
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2011/08/25 23:43
なるほど。
昔を思い出す。
会社を残そうとするなら、その上司をクビにするしかない。
昔、チャンスがあった。
しかし、上司にも子供がいるとお思い、殺らなかった。
その甘さが、自分を苦しめてきた。
殺るしかないな。




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