Nicotto Town



VISTAの時代は来るか?

と言ってもパソコンのOSの話ではない。
世界経済の発展の中心が移り始めた兆しが出て来たのではないか?という意味である。
日本企業にとっては「ポスト中国」の時代とも言えるだろう。

現在「新興国」と呼ばれる経済発展著しい国は、たいていの場合「BRICs」を指している。
Brazil (ブラジル)
Russia (ロシア)
India (インド)
China (中国)
の頭文字をつないで、英語で語呂がいいように複数を表わす小文字のsをくっつけた言葉だ。

中国経済の絶好調ぶりは日本中どこでも実感出来るだろう。
しかし日本企業が心配してきた中国リスクが顕在化してきたのではないか、と思える報道が最近目立つようになってきた。

一つは上海を中心とする東部沿岸地域の賃金水準が上昇してきて、日本の製造業にとって魅力だった「安い人件費」という構図が当てはまらなくなりつつある事だ。
ユニクロが工場をバングラデッシュに移した事は有名だろう。
「払う給料が少ないから中国へ」という状況がいつまで通用するか分からなくなっている。

もう一つは「民族資本が形成されないのではないか」という不安だ。
日本でも山奥の土地を中国人が買いあさっているという話を聞くが、水源の買収というような目的よりも、いざという時のために日本の土地を買っておこう、という中国人富裕層がけっこういるらしい。

中国は経済は日本以上に資本主義化しているが、建前上は未だに社会主義国家であり、土地の私的所有が完全に認められていない。
今中国でマイホームを買っても、それは土地の「使用権」を買えるに過ぎない。期限は70年というケースが多い。

つまり日本と違って、一度大金を払って不動産を買っても、孫の代にはまた同程度あるいはそれ以上の大金を払って買い直す必要がある事になる。
また都市再開発などで、問答無用で立ち退かされる事も多く起きている。

だから中国でビジネスで成功してそこそこ金持ちになった人たちは、その金を持って外国に移住するか、老後の用心のために外国の不動産にその財産をつぎ込んでしまう。
本来、中国人の金で中国人が企業を設立し、中国の民族資本が形成されなければいけないのだが、そういう展開にならないんじゃないか?という惧れが出て来たわけだ。

ロシアはもともとソ連の崩壊に伴って通貨ルーブルが紙くず同然になり、その結果外国から見てのコストが安くなり、新興国として再出発した。
だがロシア経済は石油、天然ガスなどの天然資源への依存度が高いままで、軍需産業以外は自前の製造業が充分育っていない。

ブラジルとインドは中国に比べて半周遅れといったところだが、いつかは賃金水準が上がって「人件費が安いから魅力」というだけではやっていけなくなる。

BRICsがそうなった時に次に「世界の工場」としての地位を引き継ぐ可能性の高い国というのが、VISTAなのだ。
Vietnam (ベトナム)
Indonesia (インドネシア)
South Africa (南アフリカ共和国)
Turkey (トルコ)
Argentina (アルゼンチン)
の頭文字である。

「世界の工場」としての新興国になるにはいくつかの条件がある。
まず、賃金水準が低く、通貨が先進国から見て非常に安い事。
国内情勢が比較的安定していて大規模な内戦や内乱の心配が少ない事。
人口がそこそこ多く、かつ若年人口の割合が高い事。
識字率があまりにも低くないなど、最低限の教育水準が整っている事。

これに合致する国として日本の経済シンクタンクが上記の5カ国を選び、VISTAと名付けた。
BRICsがそこそこ豊かになり、賃金水準が上がって、低価格品の大量生産では儲からない場所になった時、その役目を引き継いで次の時代の「新興国」として台頭してくる国の候補なのである。

日本にとって「ポスト中国」として重要なのはベトナムだと思う。
というのはベトナムには世界でも有数のレアアースの鉱床があり、既に日本企業も参加して鉱山の開発を始めている。

現在日本はレアアースの輸入の8割から9割を中国に依存している。
だが、一国だけに依存しているといかに危険か、は尖閣諸島の問題で日本人も思い知ったはずだ。

また中国も工業のハイテク化を狙っているから、これまでのようにレアアースを安く売ってくれなくなる事は明らかだ。

またベトナムはVISTAの中でも日本企業誘致に非常に熱心である。
ほとんど一年中日本のどこかで、ベトナム政府肝いりの日本企業向けの説明会などが開かれている。

日本の輸出品の市場としてのBRICs、特に中国の重要性はまだ当分は変わらないだろうが、今から「ポストBRICs」の時代を考えておく事も同じぐらい大事である。

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2011/09/22 23:56
成程、一歩先を見る発想ですね。
とても参考になりました。
特に民族資本が育たない惧れ、というお話はなかなか気がつかないところです。

中国とはこちらも冷静に、打算的に付き合わないと泣きを見ますね。
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2011/09/22 22:15
うちの相棒(夫)の会社の外注先も、最初は上海だったのが、
人件費が上がったので大連へ、次は・・・と、どんどん移動してるらしいです。

中国でバブルが崩壊したら、ちょっと怖いことになりそうですね。
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2011/09/20 01:53
とりあえず日本経済の安定を考えるならひとつの国に偏重するのは好ましくないかと。
アメリカ国債を今以上に引き受けて価値を目減りさせるのもどうかと思うし、かといって中国はリスクが多すぎる。
賃金問題もそうですが、中国国内で販売するのに技術公開をしなければならないというのは日本にとって長期的メリットはないはず。
ならば日本は特定の国家ではなく、中国の周辺国家(朝鮮半島ではなく)と提携を結ぶのが得策だろうと。
遠交近攻ということで。

朝鮮半島は北は経済的に言わずもがなですが、南も通貨がちょっとやばい。
日本で外資を稼ぐ程度では追いつかないと思う。
南北統一して北のレアメタルを南の資本で開発するというのが半島の理想だと思うけど、中国が絶対許容しないだろうしね~
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2011/09/20 01:02
今日、バーニーズニューヨークに行ってきた。
びっくりしたのが、日本では30万ほどで売られている、エルメスのバッグ。
これが、殆ど同じ形で、メードインジャパンで3万円なのだ。
これを、百貨店で売っても売れないのだろうか?
そう、なんか騙されてるだけじゃない?
結局、良い物が欲しいアメリカ人は、メードインジャパンを買うって事じゃないかな・・・
だから、世界の一流品は、メードインジャパンなんだよね。
VISTAはBRICSの為の工場。
VISTAから、一流品は出てこないよ。
日本が安心とまでは言い切らないけど、物を見る目の確かなアメリカ人は日本を買い叩くために引き合いに出してるだけだと思うよ。
新車のフィットなんて、300万円(5万ドル)でも売れるはずだよ!
弱気過ぎるよ!
だから、VISTAもBRICSもおもちゃまでなんだって・・・




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