FX選定に見る国防計画の変化
- カテゴリ:ニュース
- 2011/09/27 13:48:05
自衛隊の次期主力戦闘機、いわゆるFXを何にするかで、国は候補を3つに絞ったと報道されている。
アメリカ主導で9カ国で共同開発しているF-35。通称ライトニングⅡ。
米軍のFA-18の改良型であるFA-18EとFA-18F。
EU5カ国とサウジアラビアが共同開発したユーロファイター、通称タイフーン。
これを見ると日本の仮想敵国が明らかに中国にシフトしている事が分かる。
F-35とユーロファイターはステルス戦闘機。
新型FA-18はステルス性能はないが、対地対艦攻撃能力を強化したタイプ。
また自衛隊は米軍のグローバルホークという無人ジェット偵察機を2016年に導入する事を計画している。
福島原発事故発生直後、放射線レベルを測定するため米軍が独自に福島第一原発上空に飛ばしたアレである。
この航空戦力の布陣は、中国の空母艦隊と中国独自開発のステルス戦闘機、殲20(J-20)を意識したものと思われる。
自衛隊の兵器と部隊配置は、冷戦時代にソ連軍が海を越えて侵攻してくる事態を想定していた。
現在でも全体としてはその尻尾を引きずっている。
自衛隊の主力戦闘機は米国製のF-15イーグルと、F-16を三菱重工が独自に改良したF-2である。
どちらも対地対艦攻撃は出来るが、どちらかと言うと敵の戦闘機や爆撃機を空中戦で迎撃する事を主眼に置いている。
冷戦時代のシナリオでは、ソ連軍はまず大量の戦闘機と爆撃機を日本に侵入させ、その後戦車、装甲車、歩兵の大部隊を乗せた輸送艦が多数、戦闘艦艇に守られて日本海沿岸に到達する事を狙って来るとされていた。
まず航空自衛隊の戦闘機がソ連機を迎撃し、向かって来るソ連艦隊をミサイルで攻撃。
次に駆け付けた駆逐艦(自衛隊用語では「護衛艦」)が海上で迎撃。
それでも討ち漏らしたソ連地上部隊を日本海沿岸で陸上自衛隊の戦車部隊が迎え撃つ。
おおむねこういうシナリオであった。
だが冷戦が終わりソ連が崩壊すると、ロシアと全面戦争になる危険性はほぼ無くなった。
北方領土の問題はあっても、今のロシアが日本を侵略して得になる事はない。
また米軍が日本に駐留している以上、アメリカと直接交戦する力はもうロシアにはない。
現在日本への大規模な武力侵攻をやる可能性があるとしたら、中国である。
今はまだそれだけの軍事力がないから尖閣諸島にも軍艦を派遣したりはしていないが、J-20の後継機が量産され国産空母の数がそろえば、どう出るか分からない。
米軍基地がある沖縄本島に手出しは出来ないとしても、それ以西の南西諸島に侵攻、占領し中国の領土であると宣言してしまうというシナリオを、国防関係者は考えているはずだ。
自衛隊が次期戦闘機を必要としているのはF-2戦闘機の一部が老朽化して交換時期が来ているためだが、単純に侵入してきた他国の航空機を迎撃するだけなら米軍が既に実用化しているF-22ステルス戦闘機でいいはずだ。
現在FXの候補になっているのは対地対艦攻撃能力の高い物ばかりである。
J-20と戦闘機同士の空中戦、いわゆるドッグファイトを行うだけなら空戦性能重視のF-22の方が有利である。
ステルス機と言っても全くレーダーに映らないわけではない。
昔の戦闘機なら100キロの距離で探知出来たが、ステルス機は30キロぐらいまで近くに来ないとレーダーに映らない。ステルスというのはそういう事だ。
だから日本本土に侵入して来るのなら、いくらステルス機でも領空外で探知出来る。
だが、広大な海域に多数の小さな島が点在している南西諸島だと、侵入されても気づかない危険が高い。
J-20が沖縄本島以西の島の制空権を握り、そこへ中国の空母艦隊が乗り込んできたら自衛隊はどう反撃すべきか?
空母は一隻だけで行動することはない。
防空用のミサイル駆逐艦、対地攻撃用のミサイル巡洋艦、海中防御のための攻撃型潜水艦が周りを固めて艦隊を組んでやって来る。
J-20の迎撃はイージス艦に任せ、自衛隊のFX戦闘機は直接遭遇するJ-20と戦いつつ、対艦ミサイルで空母艦隊を攻撃、既に占領された島がある場合、対地ミサイルで敵の地上部隊を殲滅する。
また空母艦隊を早く発見するために、J-20に追撃されても素早く逃げられる無人ジェット機であるグローバルホークが必要。
おそらくこれが現在の自衛隊の日本有事のシナリオではないだろうか。
もちろん個人的には中国と戦争などして欲しくない。
そうならないように外交努力を尽くすべき、というのはその通りである。
だが1%でも可能性があるのなら、それに備えて戦略を立てるのが防衛省、自衛隊の仕事であり、紛争を避けるべしという話とは別の問題である。
ついでに日本のマスコミはF-35を十把一絡げにし過ぎる。
F-35はA,B,Cという3つの型があって、ほんとに同型機と言っていいのか?と思うぐらい機能が違う。
F-35Bはなんと超音速垂直離着陸戦闘機である。
その大きさ、能力を見て、戦争に勝てると国民は思った。
しかし、アメリカには負けたけど、アジアを制したよね。
戦闘機は、純国産で行くべきだ。
素っ裸にされてからでは、遅いのだよ・・・
「うちの国は軍備をしていません」などと言ってみたところで鴨にされるのがオチですから。
永世中立国を名乗りながら国民皆兵であるスイスなどがよい例です。
日本が仮想敵国を中国とするのは正しい判断ではないかと。
また、相手がある程度脅威を感じる装備でなければ配備する意味もなかろうと思います。
第一この情勢で日本が戦争起こしても勝てる訳有りませんまた被爆か原爆投下核使われるのがオチです。