Nicotto Town



ピスコなるペルーの酒

久々に外食してペルー料理店へ行って来た。
お目当ては「ピスコ」というペルーの酒である。

最近ペルー大使館の通商部や在日ペルー商業関係団体がしきりにこの酒を宣伝しているので、飲んでみたくなった。
もちろん初めて飲む酒で、つい最近まで聞いた事もなかった。

簡単に言うと、ブドウを原料にした蒸留酒で、いわばペルー式ブランデーである。
だがヨーロッパのブランデーと違って、無色透明。口当たりも水のようにさらりとしている。
一見焼酎かウォッカみたいに見えるが、舌触りは非常に柔らかく、ほんのかすかにだが果物の甘い風味が感じられる。

アルコール度数は42度前後とかなり強い酒で、普通はカクテルなどにして割って飲む物らしい。
我輩は筋金入りののんべえだし、原酒の味を知りたかったのでストレートで飲んで見た。
口当たりと喉ごしは柔らかいのだが、胃に入った瞬間腹の内側がカーッと熱くなる。
これから寒い時期にはいいかもしれない。

さて、なぜ今日本でピスコなのか不思議に思っていたのだが、そのレストランで謎が解けた。
忘れていたが、昨年11月に日本とペルーは二国間自由貿易協定を合意している。
実際に発効するのはもう少し先のようだが、ペルー側としては今のうちから自国の名産品を売り込んでおこうという事らしい。

この協定が発効した場合、両国が輸入する特定の品目の関税が10年かけて徐々に低くなり、最終的にはゼロかそれに近くなる。
そしてペルーから日本への輸出品の多くは鉱業製品と農産物になる見込みだ。
だから日本の農業にとってはあまりいい話ではない。

ペルーとしては、農産物の宣伝を大々的に日本でやりたいところだろう。
が今、日本の農業は震災と福島原発事故のおかげで危機的状況である。
日本の農業関係者を刺激したくないし、よその国の不幸につけ込んでいるかのような印象は避けたい。

そこで売り込み第一弾として、抵抗の少ないピスコを選んだというところではないだろうか?

ペルーはトウモロコシとジャガイモの生産大国である。
今でも日本は家畜の飼料用トウモロコシは大半が輸入だから、この点では日本の農家への打撃は少ないかもしれない。

ジャガイモに関しても、ペルーにはインカ帝国時代から栽培されている、日本人が見た事も聞いた事もないような珍しい品種が多数あるらしい。
今日そのレストランで食べた料理にも、初めて知ったイモ類が多く使われていた。
そういう物が大量に輸入されるとしても共存は不可能ではないだろう。

日本では南米料理や食材の知名度はいまいちだ。
日本人が南米の物だと思っているのは実は大半がメキシコの物で、しかもアメリカのテキサス州で人気の TexMex という分野の食べ物であるケースが多い。

ペルーは西に海岸平野、中央にアンデスの高原地帯、東にアマゾンに近い亜熱帯と非常に気候のバラエティに富んだ国で、それぞれの地域の食文化も多彩だ。
ほとんどの日本人が聞いた事もない珍しい食材、料理はまだまだあるだろう。

日本人がそれを受け入れて、お得意の日本風にアレンジをすれば、全く新しい食べ物が生まれる可能性もある。

貿易自由化が日本の農業に打撃を与える危険があるのは確かだし、東北の農業はしばらくは保護が必要かもしれない。
しかしいつまでも政府の保護をあてにして、何もかも今まで通りの農業を、というわけにはいかないだろう。

未知の品種の農産物を、知恵と工夫で迎え撃ってやる、という程度の気概は農家も持つべきではないだろうか?
少なくとも、ただちに日本の農業と競合しない、新しい味がペルーから入って来るのは文句なしにいい事である。

ピスコを飲みながらそんな事を考えていた。
ただ口当たりがいいので強い割にはするする入ってしまう酒で、帰り道にはてきめんに千鳥足になってしまった。
この点だけはご注意を。

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2011/09/28 15:38
こんにちは。
南米料理は食べた記憶がなく、私もイメージが浮かびません。
ピスコ、美味しそうですね。

仰るように日本の農業も新しい生産物を考えるくらいのことをしなければ
数十年後が心配です。中途半端な兼業を温存して大規模農業への転換を阻んでいるのも
票田としてしか見ていない政治家の怠慢ではないでしょうか。
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2011/09/28 08:09
ピスコ……
ペルーについての調べ物をしているときに名前だけ見かけていました。
そういうお酒だったんですか。
スピリッツ系が好きなので、ぜひ味見してみたいものです♪

今までとは違う関係を常に開拓していく必要がある貿易。
また新しい道が切り開かれていくのかもしれませんね。
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2011/09/27 23:19
ピスコと聞いて一番に「名探偵コナン」を連想した私って・・・

それはともかく。

度数は違いますが口当たりの良い冷酒みたいなものですね。
簡単にいくらでも飲めて、後から足にくる辺りが。
少なくともごり押しで売り出されて味はたいしたことのない某国のお酒よりは美味しそうです。

いも類は今でも多種多様に共存しているのだから、違った品種が入ってくるのもいいかもしれない。
とうもろこしは飼料用ならおっしゃるように輸入品が多いのだから、輸入先がアメリカからペルーになっても問題なさそう。

・・・だから、アメリカは日本の貿易自由化を推し進めようと考えているのかな?




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