野田首相の中国訪問中の発言が波紋を呼んでいる。
それもアメリカとユーロ圏においてである。
欧米のメディア発らしい記事で英語だが、とんでもない反応が載っていた。
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http://newsfeedresearcher.com/data/articles_b53_2/china-yuan-currency.html

長い記事なので全部読まなくてもいいが、見出しはこういう意味である。
「米国、日本と中国を通貨問題で批判」
だいぶ下に太い文字でこういう英文まである。
「The Japan-China FX deal will be cast as an effort by the world's second and third largest economies to undermine the international dominance of the USD.」

この一文、「日中の為替合意は、世界第２位と第３位の経済大国が米ドルの国際基軸通貨の地位に終焉をもたらそうとする試みになる」という意味だ。

野田首相が温家宝・中国首相との会談で、日本と中国の貿易では直接日本円と中国元の間で代金決済をしましょう、と発言した事への欧米各国の反応なのだ。
アメリカをキレさせる気か？！

これが親中国派で、かつTPP反対派が言ったのならまだ分かる。
だが野田首相は、TPP加盟に向けて協議を開始した張本人ではなかったか？
日米安保体制についても堅持する方針ではなかったか？

米国の経済力の最大の源泉は、米ドルが世界基軸通貨である事だ。
日本と中国、あるいは世界中のA国B国間の貿易代金の決済はまだほとんどが米ドル建てで行われている。
いわば米ドルは事実上の世界共通通貨なわけで米国はこのドルの地位を何とか守ろうと必死だ。

もし世界第２位の中国と第３位の日本の間の決済を、円・元で直接行うという事になったら、それは事実上の「米ドルはずし」である。
少なくとも、米国とユーロ圏の主要国はそう解釈したのだ。

これじゃ衰えたりとはいえまだ世界第１位の経済、軍事大国である米国と、右手で握手しながら左手でぶん殴ったようなものだ。
普天間の問題がこじれている時に、何をやってくれるんだ！
経済的に追い詰められている今の米国を本気でキレさせたら、日本に対してだって、何をやらかすか分からないぞ！

経済の面では米国を見限って中国と接近しようとしているのか？
一方でTPPに参加したいと米国に表明したという事は、「ドル経済圏」の一員であり続けます、という意思表明だったはずではないのか？

こんな絶対に両立しない、矛盾した国際公約を掲げて外交をする馬鹿がどこにいる？
少なくとも、上記の記事のような事が真意ではなかったというなら、すぐにそれを諸外国に発信しろ！
外務省は在外公館を通じて火消しを急げ！
日本を「二枚舌外交の国」にする気か？！

これを大々的に報じない日本のマスコミもマスコミだ。
早々と正月モードに入っている場合じゃないぞ。