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南スーダンPKOと憲法第9条

いよいよ自衛隊が南スーダンでのPKOに派遣される。
だが、今回のPKOはおかしい。
国連PKOに参加して国際社会の一員としての義務を果たす、という国策を続けるつもりなら、いいかげん憲法第9条の改正を真剣に考えるべきである。

そもそもPKOというのは「重武装した戦闘集団を抑止力として送り込む」という事である。
例えば、日本でも警察官は拳銃を携行している。
これからコンビニ強盗や通り魔事件を引き起こそうと思っている人間が、警官の姿を見たらひるんで逃げ出す。
よほどトチ狂った犯罪者でない限り、拳銃で撃たれて死にたくはないからだ。

こういう効果を「犯罪に対する抑止力」と言う。
これと同じ事をもっと大規模なスケールで行うのが本来の国連PKOである。
主権国家ではあるが、自前でこういう抑止力を持てない国に国連が各国の軍隊を送り込み、その国が自分で治安維持が出来るようになるまで、その役目を代行させる。

つまりPKOは「武装警察」が本来の任務なのであって、停戦合意に違反して戦闘行動を取る集団に対しては、警察官が武器を振り回す犯罪者に発砲するように、大規模な武力で鎮圧する。
少なくとも、その気になれば可能な武装した軍隊が常駐する事によって、そんな気を起させないようにする。

陸上自衛隊が初めて本格的に展開したカンボジアでのPKOはまさにこのパターンだった。
だが、今回の南スーダンでのPKOには「紛争当事者」が存在していない。
南スーダンはスーダンからの独立を世界的に承認されている、れっきとした独立国家であり、南スーダン内部で内戦が起きているわけでもない。

だがスーダンとの間で国境線が確定していない地域があり、また油田の権利を巡ってスーダンと南スーダンの間で紛争の種が残っている地域がある。
ここで小規模な武力衝突が起きる危険が高い。
そこで国連は日本を含むPKO参加国に対して「抑止力としての武装集団」を派遣してくれ、と要請したのだ。

しかし自衛隊が南スーダンで何をやるかと言えば、スーダンとの国境線から遠く離れた南部の首都で道路などのインフラ整備をするのだと言う。
自衛隊にはるかアフリカまで行って「土建屋をやって来い」と言っているわけで、国連も他の参加国も内心では「日本は危険な任務から逃げてばっかり」とムカついているかもしれない。

長年の内戦で疲弊して、つい最近独立したばかりの南スーダンの国造りを助ける、というのは正しい姿勢だが、それを自衛隊のPKOとして実施するのはおかしい。
日本にはJICAなどの海外支援機関は複数あるし、道路や橋の建設なんてのは民間のゼネコンに発注すべき仕事だ。

ただし現地は日本の基準で見ると治安が悪く、武装した犯罪集団がうようよしている可能性があるので、民間人の安全が確保できない。
そこで武装した自衛隊が一緒に常駐し、抑止力として機能し、万一の時は武器を使用してでも武装犯罪集団を撃退する。

今回の南スーダンの場合、これが本来あるべき形だ。
だが、ここで自衛隊が「武装警察」として実際に交戦すると、たとえ相手が私的犯罪者集団であっても、憲法第9条違反と非難される事を恐れた。
それで自衛隊に対して直接土建屋をやって来い、という話になったわけだろう。

国連も内心では「いやあ、日本に頼んだのは本当はそういう事じゃないんだけどな」と思っているだろう。

憲法第9条第2項が空文化している事は中学生でも理解できるだろう。
自衛隊が日本の国境の外へ一歩も出ない事を前提に出来た冷戦時代はそれでもよかったが、国連PKOに参加する事を前提にする今の時代に、いつまでも自衛隊を法的に宙ぶらりんの状態にしておくのは、かえって危険だ。

またアメリカの言いなりになって、イラクに自衛隊を人道支援とは言え派遣したり、インド洋で多国籍軍に補給をしたりしたが、こっちの方が憲法9条違反だった可能性が高い。
なぜならイラク戦争は、国連が軍事攻撃の正当性を認めなかったから、米国が一部の同盟国と「多国籍軍」を組んで、国連の意思を無視して始めた戦争だったからだ。

憲法9条の精神を守ると言うのなら、「多国籍軍」にはいかなる協力もしてはいけない。
米国に対しては「自衛隊の協力が欲しいなら、何がなんでも国連のお墨付きをもらって下さい。そうでないと、我が国は協力したくても出来ないんです」という態度を取るべきだ。
そうすれば日本が米国の暴走に対するブレーキ役を果たしていると、国連や諸外国に認識させる事も可能になる。

憲法第9条第1項は侵略戦争、国益のための戦争を放棄した内容だから、これはこのまま残せばいい。
だが、戦力の放棄を定めた第2項は、自衛隊が既に存在するという現実に合わせて改正するべきだ。

新しい第2項は、日本の国土の専守防衛のために自衛隊の存在を明記し、国連の要請がある場合に限り「国際武装警察」としての自衛隊の武器の使用を認める内容にするべきだろう。

アバター
2012/01/11 14:20
外国から見たら 自衛隊は 明らかな軍隊ですね
だけど 日本政府は 軍隊ではないと言い張ってる
権力を握れば 黒も白だと言えるようになるのね
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2012/01/11 00:27
しかしながら第9条改正を反対する平和ボケた意見は
絶えることがないですね。。。
自衛隊の存在の定義も第9条により不明瞭ですし……
他国から見ても、平然と国の最高法規を無視し、
組織された自衛隊は奇異に見えるのでは?
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2012/01/10 20:26
どこだったか忘れたけど、自衛隊は自分たちが被害に遭わないためにも、駐屯地に閉じこもったまんまだそうです。
被害はイヤだけどじゃあ、なんのために行ってるのかわからないですね。
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2012/01/10 01:21
日本国憲法(抜粋)
第2章 戦争の放棄 
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

いや、第1項から改正しないとPKOの違憲状態は解消されないでしょう。
「国連による派遣」なら「国際紛争を解決する手段」に該当しないというのは、「自衛隊」を「軍隊」と呼ばないのと同じくらい無理があります。

その辺の定義が曖昧だからイラク戦争の時も派兵できたのでしょう。

私は国連絶対主義ではないので国連の判断がいつも正しいとは思っていませんが、イラク戦争に関していえば、あれにお墨付きを与えなかった判断は間違えていないでしょう。
しかし日本とイギリスはアメリカに積極的に同調した。
イギリスの事情は忘れましたが、日本のは「北朝鮮対策」の側面があったことは否定できないはず。
「破壊兵器所持の疑いでイラクに攻め込むんなら核開発している北朝鮮もどうにかしてくれるだろう」みたいな。
もちろん事実はそうならなかったわけですが。
日本が他国の軍隊をあてにする限り、日本の運命は他国次第になるというよい教訓でしょう。
アバター
2012/01/09 19:18
そうですね〜(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン


憲法9条の精神を守ると言うのなら、「多国籍軍」にはいかなる協力もしてはいけない。
米国に対しては「自衛隊の協力が欲しいなら、何がなんでも国連のお墨付きをもらって下さい。そうでないと、我が国は協力したくても出来ないんです」という態度を取るべきだ。
そうすれば日本が米国の暴走に対するブレーキ役を果たしていると、国連や諸外国に認識させる事も可能になる。

この部分納得です↑




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