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日中バブルの違い

中国の温州、広州などの経済モデル都市で倒産や経営者の自殺、夜逃げが多発しているそうである。
いよいよ中国のバブルが弾けるのではないか、と言われているが、日本のバブル景気と同じものなのかどうかはよく分からない。
日本のバブル景気がなぜ起きたのか、ざっとおさらいしておく必要がある。

日本のバブルは1980年代後半に起こり、1990年から91年にかけて崩壊した。
中国のバブルとは発生の原因が異なる。
欧米諸国、特に米国は80年代非常に経済が不調で、日本の独り勝ちに対するいら立ちが先進5カ国の間で強まっていた。

そこで1985年、G5の財務大臣などが密かに米国で会合を開き、外国為替市場への協調介入によって円高に誘導するという秘密協定を結んだ。
これを「プラザ合意」と呼ぶ。

この結果、円の対米ドルレートは240円前後から一気に120円になった。
円高になって日本通貨の海外での価値が跳ね上がり、日本企業による外国の企業、資産の巨額な買収が世界中で話題になった。
だが、これらはたいてい失敗に終わって、バブル後に安値で手放さざるを得なくなり大損した。
現在まで成功例として存続しているのはソニーによる米国の映画会社コロムビア・ピクチャーズの買収ぐらいではないか?今のソニー・ピクチャーズ・エンターテインメントである。

今と同じように、極端な円高は輸出企業の売り上げを激減させた。
海外で同じ物を同じ値段で売っても、日本円に換えると半分になってしまうからだ。
輸出頼みだった日本経済は一旦不況になり、政府は大胆な金融緩和措置を取った。
当時は日本銀行が民間銀行に金を貸す際の利率である「公定歩合」を上げ下げする事で景気を調節していた。

この公定歩合が2.5%まで下がった。預金の利子も借金の利率も2~3%になった。
今の金利から見ると高いが、それ以前の時代には銀行の普通預金の利率が5%以上あったのだから、預金しても利息がないも同然というのが庶民の実感だった。

と同時に借金がしやすくなった。利子が当時の感覚としては取るに足りないレベルになったからだ。
ただ、これは銀行にとっては困った事だった。
金を貸してその利子が銀行の儲けなのだから、以前と同じ金額を貸し出しても儲けは大幅に減ってしまう。

そこで銀行は貸出の元本を無理やりにでも増やす、という戦略を取った。
ある中小企業の社長が一千万円借りに行ったら、銀行側から「どうせなら二千万借りてくれませんか?」と言われた、などという今では信じられない話が日本のあちこちで起きた。

さらに企業であれ個人であれ、一攫千金を狙っての投資が激増した。
後から考えれば「そんな無謀な」と思えるようなリゾート開発だの起業だのに、銀行がいくらでも貸してくれたからだ。
大都市では小規模な住宅や商店街の土地を買い上げて、巨大なマンションや商業ビルに建て替えれば大儲け出来ると言う事で、土地の買い占めが横行。

中には売りたくない人もいたわけだが、そういう所には暴力団が乗り込んで無理やり首を縦に振らせるという事例も横行。
これを「地上げ」と言い、一時は深刻な社会問題になった。

当然土地の値段は右肩上がりに急上昇し、大都市圏では普通のサラリーマンが通勤圏内にマイホームを持つ事は夢のまた夢になった。
大企業では「新幹線での通勤」というのを真剣に検討した程だ。

だが世間全体の金回りは異常に良くなるため、企業は黙っていても増収増益。
就職も空前の売り手市場。内定を出した大学生が他の企業の会社説明会に出席出来ないように、内定者全員を地方の高級リゾートホテルに連れて行って缶詰にする、なんて逸話まであった。

誰もがこの異常な好景気が永遠に続くかのような錯覚に陥ったため、庶民の株式投資だの会員権投資だのが過熱。
株価は史上最高まで上昇し、リゾートや高級ゴルフ場の会員権だのが数百万もの値段で飛ぶように売れた。

が、庶民が家を買えない状況に批判が高まり、政府も景気を抑えざるを得なくなり、まず土地関連の金融機関の融資の総額を一定以下にするよう強制する「総量規制」を実施。
これで銀行が土地に野放図に金を貸せなくなり、1990年に土地の値段が下がり始めた。

土地を担保にしている融資が多かったため、土地の値段が下がると万一借り手が返せなくなった場合の銀行の損が膨らむ。
案の定いいかげんな内容の新規事業が破たんし始め、大企業も新規プロジェクトや海外投資の失敗が表面化し、株価が続いて暴落した。

「含み益」と言って、値上がりし続ける土地や株を持っているから、いざとなればそれを売ればこれだけの金が出せる、という計算で経営していた企業や個人起業家が多かったのだが、これが一転して「含み損」になった。

先日発覚したオリンパスが隠していた損失もこの時期の物である。
かくして91年には地価も株価もさらに下落、空前の好景気は終わった。
これが日本のバブルの歴史である。

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2012/01/31 21:06
中国が日本と一番違うのは為替ルートが固定ルート同然というところ。
中国は内地の開発を遅らせることにより、経済的には既に大国でありながら「未だ発展途上国」と言い張る余地を残しているのかも。
為替ルートが中国のご意見次第ということはプラザ合意の再来はあまり可能性がない。

それから中国は軍事大国でもあるという違いもある。
あの国が混乱することのデメリットはバブル期の日本より大きいかも。

他にも日本より人口がけた違いに多いという点、土地が原則として共産党のもので借りているだけという点も違いとして指摘できるかもしれない。

中国経済がつぶれると欧米や日韓辺りの影響は大きそうなので、つぶさないように努力しているのかもしれない。
でもその分限界を超えた時の影響は大きくなってしまうかも。

経済は素人なので、妄想を書き連ねただけですが。




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