Nicotto Town



北朝鮮の真の危機的状況

北朝鮮の衛星打ち上げ用ロケット、ないしは長距離弾道ミサイルの打ち上げは失敗に終わった。
さあ、事態を取り繕うためにすぐに核実験やるぞ、いやまた韓国の島を砲撃するぞ、という事を周辺各国は心配しているが、その辺は日本政府も想定済みだろうから別の角度から心配してみよう。

そもそも金正恩の指導者デビューに、ロケットによる衛星打ち上げを、仮にそれが本当だったとしても、持ち出すこと自体が腑に落ちない。
先代・金正日の「遺訓」だから、という点ばかりが強調されているが、本来なら正恩氏が指導者として成すべき「偉業」は北朝鮮の「経済大国化」のはずだったからだ。

金正日存命中に北朝鮮指導部が描いていた「革命の歴史」はこうだったからだ。
まず正恩氏の祖父である初代指導者、金日成が「主体思想」なる北朝鮮独自の社会主義思想に基づいて日本帝国主義から祖国を解放。その後朝鮮半島の北半分を「政治大国」に育てた。

ちなみに北朝鮮では、国民がどこまで信じているかどうかはともかく、アメリカとその傀儡政権である韓国、そして米帝国主義の手先である日本が結託して、北朝鮮を侵略すべく画策中という話になっている。
北朝鮮は今でも米韓日の悪の連合軍と「戦争中」である事になっている。

革命第2段階が2代目の金正日による「軍事大国化」。正恩氏が引き継ぐと言われている「先軍政治」というのは、米韓日との祖国防衛戦争に勝利するために、国力の全てを軍事最優先で使う事を意味する。
まあ、実態は権力維持のための「軍隊、軍人のえこひいき」なのだろうが、金正日の時代に北朝鮮は核兵器も開発したし、それを遠くまで運ぶためのミサイルも開発した。

宇宙開発の面でも、1998年と2009年にそれぞれ「光明星1号、2号」という名の人工衛星を成功裏に打ち上げたことになっている。
この時使われた、北朝鮮が宇宙ロケットと言っている物体を、他国、少なくと日本、米国、韓国は長距離弾道ミサイル「テポドン1号、2号」と呼んでいる。

今回失敗した「宇宙ロケット銀河3」はテポドン2号の改良型らしい。
ただ、テポドンだろうがオイドンだろうが何でもいいが、どうして正恩氏のデビューを飾るのが変わり映えのしない人工衛星打ち上げだったのか?
ここが一番気になる。

本来3代目である正恩氏の役割は、祖父による政治大国化、父による軍事大国化に続く「祖国の経済大国化」であったはずなのだ。
もちろん政治大国化も軍事大国化も虚構と言えば虚構に過ぎない。
だが少なくとも正恩氏が後継者に内定した段階で言われていた「強盛国家への大門」とは経済大国化のスタートだったはずなのだ。

金正日時代の「強盛大国」のイメージは「国民全員が瓦屋根の家に住み、毎日白米のご飯と肉入りのスープを食べられる」という物だった。
裏を返せば、北朝鮮にはその程度の事すら高嶺の花である国民が多数いるという事だ。

だから正恩氏の新しい指導者としてのデビューを飾るのは、経済大国をイメージさせる物でなければならなかったはずだ。
たとえそれが日本人や韓国人の目から見たらお笑いでしかないとしても、国民向けにはそういうイメージを与える必要があったはず。

正恩氏のデビュー、しかも建国の父金日成の生誕100周年の行事が、なぜ金正日時代に何度もやった「衛星打ち上げ」や「ミサイル発射」でなければならなかったのか?
「経済大国化」を、たとえ国民自身が信じていない虚構であっても、印象付けられるような方法がなかったとしか考えられない。

上記のように北朝鮮は指導者の代替わり毎に革命の新しい段階に突入している、というシナリオに沿って動いてきた劇場型国家である。
新世代の指導者である正恩氏のデビューに、先代の時代に使い古してきたミサイル発射ないしは衛星打ち上げというのでは、あまりにも芸がない。

北朝鮮では食糧などの生活必需品は国家による配給制であり、これが独裁体制を支える最大の支柱と言われてきた。
党や金王朝に逆らえば食糧を絶たれるのは文字通り死活問題。

だが、これで人民をコントロール出来るのは、普段は配給がちゃんと行き渡っている事が大前提だ。
北朝鮮では2000年代から地方で配給が止まり始め、数年前に配給の優先権を保証されている首都平壌の住民数を減らすために、平壌の市域を縮小までしている。

近年は先軍政治で最優遇されているはずの軍隊でさえ、末端の部隊には食糧すら十分な配給が来なくなっているとも聞く。
平時の配給が滞っているなら、配給制度を通じた支配は不可能になる。

北朝鮮の体制崩壊に関して、金日成が死去した時もそう言われたが、もったじゃないか、という識者もいる。
だが、3代目のお披露目が経済大国化の予兆ではなく、先代の二番煎じだったという点にもっと注意を払うべきだろう。

金日成が死去した1994年とは、北朝鮮の内情はもう変わってしまっているのかも知れない。
もちろん悪い意味で……

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2012/04/16 22:11
北朝鮮も、韓国も、冷戦が終わったことと
自分達の政治の方法が変わったことに
気がついていないと思われます。

北と南がいがみ合って、どちらかにボスがついて、
どちらかが不利になるとボスのメンツが傷つくので
不利な方のボスが援助する。

その構図は中国やロシアが西側の経済体制に
組み込まれた時点で、終了しております。

中国が貧しい時代なら、ともかく、
堂々の経済大国になった現在、隣国が貧しく、
その隣国が自分をアテにしている、というのは
迷惑じゃないかな、とおもいます。

アメリカが北朝鮮を叩いても、中国は以前のように
抗議しないでしょう。
一方、アメリカはイランなどのように石油の
とれない場所に税金つぎ込む必要なし、と考え
ていると思います。

触れたくない、関わりたくない、それが今後の
朝鮮半島周辺国(北朝鮮南朝鮮に隣接する国)の
政治指針と思われます。







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2012/04/15 08:43
たぶん、金正日の死を悼むセレモニーは長期になると思うですよ。
中国は北を引き取れませんよ。リスクと人間が多すぎるし・・・
本当は中国が統治してしまう方法が良いと思うですが・・・
統一するとリスクが大きくって、利益が薄いからなぁ~
中国は良いトコ取りが好きだから。
韓国はリスクが大きすぎて本当は統一する気無いし~
なら、日本はどうしたら良いのかなぁ~
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2012/04/14 23:55
今晩は。
もはや断末魔国家といっていい状態のように思えます。国民の不満を抑えるためには
軍隊の維持が最優先、そのためには食糧援助を約束したアメリカをも敵視せざるを得ないほど
国内統治に危機感を感じているのでは?
どこの国の指導者でも同じだと思いますが、国民を不幸な状態に陥らせた指導者は国民からの
断罪が怖いから、民主化などもってのほか!
国際社会にとってもいい解決策が見当たらないので、真綿で首を絞めるようなことしかできませんね。
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2012/04/14 23:22
北朝鮮が内部崩壊しても 難民が流失して周辺各国は大打撃ですからね。
在日朝鮮人とかが北朝鮮に行っても将軍様をたたえる北朝鮮国民の常識には付いていけないらしい。
東西ドイツの統合どころじゃない摩擦が生まれるでしょうね。




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