Nicotto Town



消費税より外交軽視が怖い

日本の政界は消費税増税法案の是非一色だが、野田政権の問題点は外交軽視が過ぎるという事の方だ。
消費税も国内的には極めて重要な話だから、それ以外の課題の優先順位が下がるのは仕方ないが、だからと言って外交や他の案件は「どうでもいい」という態度では困る。

外国の首脳に一番あきれられたのは今月18,19日にメキシコで開かれたG20サミットだ。
野田首相は18日だけ出席し、19日の本番の会合はすっぽかしてそそくさと帰国してしまった。
目立った首脳会談は議長国メキシコとロシアのみ。
TPP参加を表明していながら、日本が参加できるかどうかの鍵を握るアメリカのオバマ大統領とは廊下で数分の立ち話のみ。

これは消費税法案の衆議院本会議での採決が当初21日に予定されていたため、それに間に合うように帰国したという事だったが、蓋を開けてみたら何のことはない、採決はずるずると26日まで延期。
これではG20サミットを途中で抜け出した事の言い訳にはならなくなった。

次に呆れるというか腹立たしいのは、中国がらみの案件とそれ以外の案件のあまりにもあからさまなスピード感の差。

たとえば原子力規制庁は今年4月には発足しているはずだったのに、これもずるずる遅れて未だに設置法案さえ通っていない。
原発再稼働には新しい規制官庁が不可欠と言っておきながら、原子力規制庁が発足もしていないうちから大飯原発の再稼働を決定した。

福島県をはじめ東日本大震災の被災地の復興計画ののろさは言うまでもあるまい。
特に福島県双葉郡に関しては、国の責任で除染して早期帰還という話から、帰還困難地域の設定、果ては国が土地を買い上げて事実上の帰還不可能地域を設定するという話が後から次々に出てきている。
これでは原発事故の直撃を受けた地域の復興は計画すら立てられない。

それに引き替え、中国との円元直接取り引きは、昨年の12月に中国から提案を受け、今年の6月には早速為替市場が開設されている。
この間わずか半年。
被災地、原発事故対応の遅さに比べて、このスピード感の差は何なんだ?

民主党はもともと中国べったりの親中派が多いが、「中国と仲良くしておけば他の事はどうでもいい」というのなら、それは外交とは言えない。
特に中国とは尖閣諸島を巡って紛争を抱えているのだから、うまく付き合いつつも要所要所でけん制するというアプローチが必要なはずで、そのためにも中国以外の国との外交はより重要になっているはずだ。

民主党のスローガンは「脱官僚依存(政治主導)」と「脱原発依存」が今の柱だが、これはあくまで「べったり依存するのはやめよう」という話で、官僚や原発が「まったく要りません」という事ではないはず。

民主党の安保、外交政策は基本的には「脱アメリカ依存」だが、これも同じことで、あくまで「アメリカにべったり依存するのはやめて少しは自立しましょう」という話でなければならない。
しかし民主党の一連の外交を見ていると「アメリカに依存するのはやめて中国に依存しましょう」という姿勢に思えてならない。

アメリカべったりから中国べったりに変わればいいんかい?という疑問を禁じ得ない。
確かに自民党主導政権下の日本政府は「うちはアメリカの植民地か?」と言いたくなる有様だったが、では中国の植民地同然になれば日本はよくなるのか?

日本が目指すべきは、世界の大国とうまくバランスを取って時には手を組み、時には対立しながら自立を果たす事だろう。
よしんば大国の植民地同然の地位に甘んじるしかないとするなら、曲がりなりにも民主主義国家の植民地と一党独裁国家の植民地、どっちがマシか?
その答は明らかなはずだと思うが。

どうも政治家に限らず日本人全体が未だに冷戦時代の思考パターンで世界情勢を見ている気がする。
冷戦時代は政治、経済、軍事、外交すべての面でアメリカ・西ヨーロッパ同盟 VS ソ連(ロシア)・中国同盟の対立構造だった。

それぞれの大親分であるアメリカにフランスが、ソ連に中国がかみつくという西側、東側双方にそれなりの内部対立はあったが、基本的には両陣営内部の利害はすべての面で一致していた。
日本は西側陣営の一員であり、国家の防衛をアメリカに依存していたから、アメリカ追随でよかった。

だが今の時代はそう単純ではない。
冷戦体制が崩壊し、共産主義の脅威がなくなった結果、アメリカが世界唯一の超大国になり、それがヨーロッパとの摩擦を生んだ。
ヨーロッパ諸国はEUを結成し、さらに共通通貨ユーロを誕生させてアメリカの経済覇権に挑戦した。

東側陣営はソ連が解体されロシアは帝政時代の領土に逆戻り、そのまま衰退するかに見えたが、原油価格の急騰で一定の復活を果たした。
中国は1990年代から驚異の経済成長を遂げて今や日本を抜いて世界第2位の経済大国。

ロシアの大統領が親欧米のメドベージェフだった頃はロシアと中国は対立する事が多かったが、最近はシリアに対する国連安保理非難決議案を共同でブロックするなど、明らかにアメリカに対してロシア・中国同盟が復活している。
一方でロシア経済の過度の中国依存を避けるため、プーチン大統領は日本に秋波を送っている。
北方領土問題に関して、かつての「領土問題など存在しない。日本の言いがかり」という態度から「交渉はしてもいい」という態度に変化している事からもそれが分かる。

つまり、国際政治、経済、軍事のそれぞれの局面で、どこが味方でどこが敵なのか?という点がバラバラな時代なのだ。

日本の場合、中国は軍事的脅威で潜在的な敵だが、経済、貿易の面では中国敵視政策を取るのは自殺行為である。
軍事と経済を切り離してうまく中国と付き合わねばならず、したたかな外交が必要になる。
中国にべったり依存する政治をやると、尖閣諸島のみならず、沖縄まで中国の領土にされてしまいかねない。

対アメリカでも、国防を依存する今の状態から少しずつ脱却する必要はあるが、基本的には「民主主義国家同士の安全保障同盟関係」を完全に崩すのは危険だ。
一方で経済の面ではアメリカは日本をライバル視しており、この点では日米関係は潜在的な敵対関係にある。

対EUでは、アメリカのドル一極支配に対抗しうるユーロが崩壊の危機に瀕しており、これに日本がどう対応するかは非常に悩ましい。
ユーロ圏を支援すればアメリカの利害に反する事になり、かと言ってユーロが本当に崩壊したら自国の経済に大きな打撃になる。

中国元の国際化に協力して生き残りを図るのも手だが、アメリカがドルの世界基軸通貨としての地位をどこまで元に譲る事を許容するか?
ここを見誤るとアメリカとの関係が悪化して日本の安全保障にも悪影響が及ぶ。

こんな複雑な時代なのだから、軍事的に小国である日本が生き残るためには、政治、経済、軍事その他いろいろな面で、この分野ではこの国は味方、でもこっちの分野では敵、という巧みな使い分けが必要になる。

2008年のリーマンショック以降、アメリカの一極支配構造は崩れてきていて、今世界には絶対的な大親分がいない。
中ぐらいの親分が多数群雄割拠している状況で、その中で日本がそれなりの大国としての地位を保とうとするなら、多国間外交が今ほど重要な時代はない。
現政権の外交軽視はこの点で心配である。

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2012/06/27 09:25
おはようございます^^
ブログ広場からきました^^

民主党の人は言ってることがめちゃくちゃな人が多くて
もともとキライだったんですが
政権取ってからはキライところか
国民の敵認定です。
やってることがひどすぎると思います。
早く解散してもらいたい・・・。

政権の外交問題・・・半分くらいは認識してましたが
こうしてまとめてもらえると、なるほど・・・と思いました。

ありがとうございます^^

またブログを拝見させてもらいにきますので
よろしくお願いします^^
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2012/06/27 01:22
消費税の増税が可決されましたね。いつまで、民主党の時代が続くの?
誰がなっても同じかもしれないけれど、マニフェスト違反は、誤ればすむって、問題なのだろうか?

年収250万以下と500万~550万の収入の人の1年間の増税負担額がどこかに書いてありましたが、
250万以下の人は豆腐で、500万くらいの人は、牛ステーキ?そんなわけないじゃん。
同じ人間なんだから、同じものを欲しいと思い、同じものを食べたいジャン。そうすると、収入にかかわらず、増税負担額は同じじゃないの?って、思いました。で、低所得者を250万以下として守ろうとするなら、年収260万の人は?
生活保護の受給額の方がもう少しもらえてたりするんじゃない?
なんて、考えると、腹が立つ。

中国は、国民全体が労働意欲の塊のように見えるのよね。今の日本は面接していて思うが、ロクなのがいない。こんな日本に誰がした~。と、言いたくなるよ。(´Д`) =3 ハゥー

寝よう・・・おやすみなさい。
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2012/06/26 22:51
既に日本を大国だと思っている国が無いけど、
酷いのは福島の原発で何度もアメリカの養成を断って居る事。

更に三重県をはじめ多くの日本の企業がコンクリートポンプ車を提供すると
東電に電話して、一時は決まったのに其の後其れを保留にして3日も待たせた。

其の後に大々的にマスコミは中国のコンクリートポンプ車が提供された事を
ニュースで流した。

此れは東電の1社の判断でできるのかと言う事。

詰りあの原発を冷やさなければならない状態の中で
冷却を送らせてまで中国のポンプ車をニュースにしたと
言う事は日本国民の命よりも中国を優先させたと言う事。

此れは万死に値する行為だと思う。
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2012/06/26 12:52
なるほど。経済・通貨も外交も冷戦後の世界構造の中で複雑に絡み合っていますね。
各国に伍して生き残るにはしたたかな戦略が求められますが日本の現状はお粗末すぎますね。
政治家には必死に勉強して貰わなくてはなりません。




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