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新新冷戦?イベント資本主義vs開発独裁連合

ロンドン五輪が順調に話題になっているが、一方でシリア情勢をはじめ戦争の影が濃くなってきている。
世界は再び2陣営に分かれての対立構造、いわば新しい冷戦構造に入ろうとしているのではないだろうか?

2000年代以降の夏季五輪の開催地を見てみると面白い法則性がある。
2000年シドニー(オーストラリア)
2004年アテネ(ギリシャ)
2008年北京(中国)
2012年ロンドン(英国)
2016年リオデジャネイロ(ブラジル)

経済新興国→既存の先進国→新興国→先進国
というサイクルになっている。
もしこれが意図的な物なら、2020年の開催地は先進国になるわけで、東京都の誘致もあながち的外れではないのかもしれない。

1964年の東京五輪がそうだったように、オリンピックを開催するという事は新興国にとっては国威発揚、国際社会での存在感の増大という狙いがある。
一方先進国での五輪開催は現在では経済波及効果がもっとも重視される。
つまり五輪という世界的なイベントを開催する事で国の経済を再活性化しようという意図だ。

逆に言えば、既存の先進国はそういうイベントに頼らないと経済が回らない状態に陥っているとも解釈できる。
2008年のリーマンショック以後の世界不況で米国、EU諸国の経済はガタガタ。
五輪開催で一時をしのいでも、ギリシャのように国家破産の危機に直面する危険がある。

一方で反米的な経済新興国は開発独裁の性格を強めている。
開発独裁とは、経済発展を最優先するために人権、環境保護などを多分に犠牲にし、その目的のために事実上の独裁政治を行う事である。
選挙の制度はあっても見せかけだけの場合も多い。

かつての東南アジア諸国、特にフィリピン、タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどが開発独裁の典型だった。
その後経済発展が軌道に乗った国は徐々に民主化したが、中東、アフリカなどには経済がいつまで経ってもテイクオフできず、独裁体制だけが残ってしまっている国も多い。

冷戦時代には欧米先進国は表では「民主化を」と言いながら、それが共産主義陣営に対抗するカードとして使えるのなら、開発独裁体制を容認、黙認した。
日本とシンガポールは面白い相似性がある。
公正な選挙の結果として開発独裁が成立したという点だ。

開発独裁だが表向きは選挙で政府、指導者を選んでいる国は多い。
アラブの春で打倒されたエジプトのムバラク政権もそうだった。
だが、そもそも現権力者に都合のいい人間しか立候補できないとか、投票結果が公然と改ざんされるなどの、見せかけだけの民主主義だったケースが多い。

日本とシンガポールは、まあ政権の利益誘導は多かったし、野党候補を当選させた地域は補助金とかを減らして兵糧攻めにするなど、完全に「公正な選挙」だったとは言わない。
とはいえ他の国ほど露骨な不正選挙はなく、それでも特定の政党が長年与党として君臨し、経済成長最優先政策を取る事が出来た。

本来ある程度まで経済が発展すれば自然と民主化するはずで、実際韓国は軍事独裁政権下で「先進国一歩手前」と言われるまで豊かになった時に民主化した。
だがこの法則があてはまらないのが中国。

GDPでは世界第2位の経済大国になったにも関わらず、一党独裁が崩れる様子がない。
人口規模が違うとは言っても、開発独裁→経済発展→民主化という構図が全く当てはまらないのだ。

中国に関してもう一つ不気味なのは、経済があれだけ発展したにも関わらず、人民解放軍の影響力が弱まるどころか逆に増している点だ。
開発独裁国家はたいていの場合軍隊の政治的影響力が強い。
独裁者、独裁政権の指導層が一番恐れるのは民衆の大規模蜂起である。

民主主義国家ならたとえ大失政をやらかしたとしても政権が交代すれば民衆の不満は解消される。
大失敗やらかした政治家も「私たちを政権につけたのは、あなたたち国民でしょ」という逃げ場がある。

だが独裁政権では失敗した時の言い訳がない。
民衆も武力蜂起しか政権交代を起こす手段がない。
これがリビアやエジプトで実際に起きた事であり、シリアではそれが現在進行中なのだ。

独裁政権が民衆蜂起で失脚した場合、指導者や支配階層は良くて亡命、悪ければ処刑される。
独裁政権の指導層にはこれが悪夢で、その場合味方になってくれるのは軍隊しかない。
そこで軍の上層部を日頃から優遇し飼いならすが、その結果軍の政治的影響力が増大し、軍事政権になってしまう場合も多かった。

冷戦時代の中国では人民解放軍の政治的影響力はそれほどでもなかった。
これは毛沢東が事実上の内乱である「文化大革命」を発動した時、人民解放軍を手駒に使わず、紅衛兵という私兵集団を新しく組織しなければならなかった事でも分かる。
毛沢東は独裁者だったが、その時の中国自体は軍事政権ではなかったのだ。

ところが鄧小平以降の中国は、経済の資本主義化を進めて開発独裁に転じ、政府の指導者が人民解放軍に頼る度合が強くなっている。
その結果軍のやり過ぎを止められなくなってきている。

この中国が中心になって設立したのが上海協力機構(SCO)という国際同盟で、最初は中国とロシア、あと旧ソ連の民族共和国がいくつか集まって、欧米からの圧力に対抗しようという趣旨だった。

ところがインドとイランがオブザーバーとして加盟したあたりから軍事同盟の性格が増してきた。
つまり米国を中心とする北大西洋条約機構(NATO)の対抗勢力になりつつあるわけだ。

シリアに対する国連安保理事会の制裁決議をSCO加盟国が否決するなど、中国は「開発独裁国家」の盟主になりつつある。
ロシアもプーチンが大統領に復帰して以来、開発独裁的政治手法を強めており、今後世界中の開発独裁国家が中国、ロシアと手を組んで、既存の先進国と対立する構図になる可能性がある。

既存の先進国とはあらかたがNATO加盟国とその友邦であるから、軍事の面から言えば世界がNATO陣営とSCO陣営の二つに分かれて対立する事になる。
こうなると中国は世界中の多くの貧しい途上国を味方につける事によって国際社会での民主化要求圧力に対抗し、開発独裁体制を維持できる。

しかし中国が開発独裁を維持するという事は、国内的には人民解放軍の政治的影響力、発言権がさらに増大し、経済規模世界第2位の軍事政権になってしまう危険もある。
中国国内の民衆の不満を制御しきれなくなった時、軍事政権化した中国が海外に活路を求める可能性もある。

そして米国、EUなどの「イベントに頼らなければ経済が回らない」状態の先進国は、その中国と真正面から敵対する力を失いつつある。
中国が開発独裁を維持するには、石油などのエネルギー資源と将来の食糧生産、水資源がいつかは不足する。

その時に中国が軍事力で奪いにかかり、他の開発独裁国家が呼応したら第3次世界大戦になりかねない。

イベント資本主義国家連合VS開発独裁連合。
これが今の時代の「新新冷戦」とも言うべき構造なのかもしれない。

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2012/07/31 16:01
中国がいつまでも民主化をしないのには中国がとても
巨大な多民族国家であることが起因していると思われます。
合衆国と違い中国は民族同士での調和はあまりなされていませんし
なにより歴史的に見ても民族間では隔たりがあるのは目に見えてますし……

現在は漢民族が主に中国を支配してますが(決して全部が全部漢民族支配とは言いませんが)
かわりに他の民族には自治区という形で国から離反することをとどめています。
民主化などしてしまえば中国はバラバラになる可能性も多分に含んでいると思います(´・ω・`)
(あるいは中国という「権力」のためにバラバラにならないかもしれませんが、、、
              そこらへんは、しがない高校生の想像力と知識の限界でしょうか……^^;)
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2012/07/31 03:38
本当はこんな風に国際情勢語れないといけないのに すごい知識ですよね~~@@

今回のオリンピック 英国も決して経済状態豊ではないのに 国の威信を見せつけるように

立派な開会式でしたよね~ とにかく 世界経済落ち着くといいですね~~ なんて

他人事のように語っている私なのです
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2012/07/30 19:47
( ;∀;)、( ;∀;)

原発だけでも大変で、、その上に食糧危機、、異常気象、、天変地異、、、

更に、、戦争、、、中国が、、日本国内で、、いろいろ、買い占めてるのも、、気になります。。。。




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