Nicotto Town



亡霊社会主義の台頭?

我輩はSNS機能もある、とある小説投稿サイトを利用している。最近そのサイトの仕様変更に伴ってユーザーの「炎上」が起きているのだが、一つ面白い、そしてある意味怖い、風潮を感じている。

そのサイトはユーザー登録しなくても作品を読む事はできるし、登録も無料。ニコッとタウンと同じで有料アイテムを買わなければ一切無料で利用できる。だが、課金アイテムへの規制が厳しくなったのと、出版社などとのタイアップが本格化しているため、仕様を相次いで変更している。

おそらくはガラケー専用サイトから、PC,スマホユーザーに軸足を移しているのだろうと思う。
それに不満な古くからのユーザーが運営の伝言板を炎上させているわけだが、我輩としては目を疑うような書き込みが目立った。

曰く「金儲け優先なのか?」
「課金ユーザー優遇はけしからん」
「金になりそうなクリエイター(小説などの投稿者)をひいきしている」

念のため言っておくと、そのサイトの運営会社はれっきとした民間営利企業である。NPOとかが社会貢献のために運営しているサイトではない。

民間企業が金儲けを第一に考えるのは当たり前である。課金ユーザーが一円も使わないユーザーより優遇されるのも当たり前。ニコッとタウンで言えば、課金していないユーザーにも白ガチャ、黒ガチャを無料でやらせろと言うようなものだ。

金になりそうなクリエイターをひいき、という話に至っては、ある都市伝説を想起させる。
小学校の運動会の徒競走で、最後は全員並んで手をつないでゴールインさせる、というやつだ。これ実際には都市伝説らしいが、行き過ぎた平等第一主義がはびこる日本の教育界では、あってもおかしくないイメージがあるから広まった話だろう。

そしてこういう「企業批判」というのは、戦後左翼、社会主義、共産主義の専売特許だった。時代遅れの老人の口から出た言葉なら我輩も驚かないが、かのサイトでそういう書き込みをしているのは、明らかに「若者」と思っていい世代である。

中国でも毛沢東への崇拝が、若者の間で流行しているという。ほとんど新興宗教まがいの活動をやっている集団もあるという。
社会主義の復活のように、表向きは見える。

だが日本でも中国でも、社会主義崇拝のような言動をしているのは、おそらく貧困層、少なくとも教育程度の低い若者である。
自分を従来の価値観では「負け組」だと思っている、あるいは「格差社会の犠牲者」だと思っている、そんなタイプの若者が社会主義的価値観に回帰しているように見える。

これはある意味当然の現象かもしれない。ソビエト連邦が健在だった時代、社会主義諸国は国民に対して、西側自由主義諸国の国民は、一握りの金持ちだけが贅沢な生活を満喫し、大多数の庶民は人間らしい暮らしもできない貧困の中にあえいでいるという内容のプロパガンダをやっていた。

しかし冷戦時代の現実は、それこそが社会主義国家の本当の姿であり、資本主義がうまく機能していた日本を含む西側先進国では、庶民でも「中ぐらいの生活水準」はがんばれば容易に手に入った。少なくとも「我が国はそういう社会である」という国民的コンセンサスがあった。

しかしソ連が崩壊し、共産主義が過去の遺物になり、社会主義革命の脅威が消滅した事によって、企業は労働者を堂々と使い捨てにできる様になった。
いわゆる小泉改革の負の部分で、低賃金労働者という層を一旦人為的に作り出し、企業の人件費コストを下げて国際競争力を上げ、そして徐々に富を一般国民に還流させるという首相時代の小泉氏が描いたシナリオが最悪の方向へ迷走した。

最初は派遣などの非正規雇用で、それからがんばっていつか正社員になり、企業の発展とともに労働者もいつか再び豊かになる。これが小泉氏の描いたシナリオだったはずだ。

しかし実際には、非正規雇用のまま使い捨てにする、という路線が2008年のリーマンショックによって顕在化し、固定され、今の日本はかつて社会主義国家のプロパガンダが言っていたような国になってしまっている。

だから自分の将来に夢も希望も持てない若者が社会主義に再び傾倒しているとしても不思議はない。
だが問題は、その「社会主義」はもはや政治思想ではないという事実である。

歴史的には瓦解したとは言え、昔の社会主義はあくまで「社会の矛盾をこうすれば解決できる」という処方箋の役割を果たしていた。
それが資本主義国家でも「革命を起こされるぐらいなら」という資本家の妥協を引き出し、日本の国民皆保険のような福祉政策の充実につながったというプラスの面も持っていた。

だが今の日本の若者の社会主義への傾倒は、単に「持てる者への攻撃」の道具にしかなっていない。
もし自分がどんな些細な事柄ででもいいから「勝ち組」になる、あるいはその希望が出てきたら、すぐに放り捨てる「社会主義的理屈」でしかないように見える。

こういう「社会主義」は国家、社会の改革、改善には絶対つながらない。ましてや「革命」など起きない。
勝ち組か負け組かが人生の早い段階で、下手すればどんな家庭に生まれたかで、決まってしまって敗者復活が不可能な世の中。
そういうイメージを若者が持ってしまっている、それ故の「社会主義懐古」なら、極めて危険な兆候と言える。

だからと言って今さら社会主義思想の復活でもあるまい。ヨーロッパではそれに対する解答として「社会民主主義」がある程度の政治的影響力をつけ、北欧諸国ではそれに基づいた「福祉国家モデル」が今はそれなりにうまく機能している。

日本では民主党主流派と、離党した小沢一郎氏の政治理念がそれを手本にしているが、日本型社会民主主義とはとても言えない、「決められない政治」に堕してしまっている。
これに反撃しようというのが新自由主義を唱える日本維新の会などの新興政党なのだが、方向性はかつての小泉改革と同じである。

親が裕福か貧乏かで自分の将来が決まり、自力での逆転は不可能。
そういうイメージを若者の頭から払拭するような政治改革、経済改革が今こそ必要である。
もし第三極と言われる政党が新自由主義で政権を取ったとしても、その結果格差社会がますます悪化したら、日本は遠からずギリシャ化する。

国家に甘ったれるという形での社会民主主義でもなく、弱肉強食の新自由主義でもない、「第三の道」を早く見出さないと、この国の若者には本当に未来がなくなる。

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2012/11/07 07:25
はつきり言って震災復興予算が岩手と福島が0円と言う事態で国が何かしてくれるなんて夢想!
何かあっても国はなにもしない。←コレで福島に帰れって言うのは不当!
世界中で若者は蟻族化してるし~
下にカキコしていらっしゃるmeianさんのお話しを読んで考えると
オバマさんが勝ってボルガーに経済が移ると自由経済は終了ですよね。
金融にこれ以上の公的資金を入れないタメと金融の独占化を止めるタメに~
アメリカのメガ金融は解体されるし~
5年後には日本の金融だって解体でしょ・・・
本当に若い世代への10年計画を立てて欲しいけど・・・政治屋さんには無理そう・・・orz
あっ・・・結構ぅ~0円ユーザーってお金持ちが多いですよwww
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2012/11/05 20:21
貧しさではなく豊かさを分け合える社会になってほしいですね。
「不公平だ!」とネットで不満ぶちまけるのはサイトだけでなくその人の生活の中に不満があって八つ当たりしてるような気がします。
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2012/11/05 17:47
将来への展望が見えないことが若者の焦燥感を生みだしていると思います。
英知を集めて国際社会の中での日本の寄って立つところを考究し、日本再生10年計画みたいなものを
若い世代に具体的に明示する必要があるのではないでしょうか。
ネットの炎上は日頃の鬱憤の憂さ晴らしに過ぎないので、仰るように革命につながるエネルギーは
内包していないですね。一応お腹を満たすことが出来て何がしかのゲームに興じることが出来る…、
将来は別として、現状は絶望には程遠い状態と言えるかもしれません。
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2012/11/04 07:54
政治家は国民の程度の象徴です。
派手なパフォーマンスに毎回騙されているようなら結果も甘受しなければならないのでは。
若者向けの政治が行われないのは政治家の年齢というよりも若者が投票という権利を行使しないからだと思う。
誰でも票を入れてくれる人に合わせた政治をするに決まってるもの。
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2012/11/04 03:50
ボンボン育ちや二世議員では、、到底無理なような気がします。

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2012/11/03 22:08
威勢のいいキャッチフレーズとしての改革ではなく、真に国民生活、特に未来のある若者にとって意味のある構造改革が望まれます。でもいったい誰がやってくれるのでしょう。




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