Nicotto Town



民間の軍事専門家の育成を

中国の軍拡と、最近の日本敵視政策のあおりで、日本国内で中国脅威論が盛り上がっている。
確かに尖閣諸島を巡って対立の火種を抱えているから、用心するに越した事はないが、問題は日本人全体が戦後「軍事オンチ」になっている傾向である。

自衛隊、防衛省にはもちろん専門家がいるだろうが、民間人は全くの素人か、ミリタリーオタクに二極化している。
そして一般の国民、有権者が軍事に無知という状況は、戦争を避けるためという面でも非常に危なっかしい。

太平洋戦争後期がいい例で、既に時代遅れの兵器になっていたにも関わらず、戦艦大和があるから大丈夫という誤った認識を一般国民が持っていたために、戦争の大局を見誤り、戦争終結のタイミングを逃して、悲惨な敗戦の仕方を選んでしまった。

中国の空母はかつて旧ソ連で作りかけて、ソ連崩壊でほったらかしになっていた「ワリャーグ」という空母を改修した物だ。現在は「遼寧」という艦名になって配備されている。

空母遼寧の性能については諸説あって、一度に展開できる艦載機の数もはっきりしていない。
だが確実に言える事は「あくまで練習用の空母でしかない」という点だ。

遼寧の飛行甲板は先端がスキーのジャンプ台のように斜め上に盛り上がっている。
あれは西側諸国では「軽空母」と呼ばれる艦種に特有の構造で、かつて英国がフォークランド紛争時に派遣した軽空母も同じ構造だった。

空母というから米海軍の空母と互角と考える日本人が多いが、遼寧は米軍のスーパーキャリア型空母とは性能が段違いに低いはずだ。

米海軍の原子力空母は飛行甲板の長さが三百メートル以上あり、戦艦大和より大きい。
しかしこれでも、ジェット戦闘機の離発着には十分ではないのだ。
まず発艦が一番難しい。現代のジェット戦闘機がフル装備したら、とても三百メートルでは滑走距離が足りない。

そこで米軍のスーパーキャリア型空母は飛行甲板の下に「カタパルト」という構造を持っている。
簡単に言えば吹き矢か空気銃の銃身のようなパイプが飛行甲板の下にあって、高圧蒸気で筒型の物体を前にはじき出す。

この物体から飛行甲板表面に鉤のような部品が突き出ていて、これで戦闘機の機体を後ろから引っかける。
戦闘機はエンジンを全開にし、かつこのカタパルトで前方にものすごい勢いで押し出される。

この仕組みによって総重量数トンにもなるジェット戦闘機がわずか三百メートルの距離で確実に飛び立てるわけだ。

この蒸気式カタパルトを製造できるのは米国だけで、製造方法などは米国の軍事機密。
相当に関係の深い軍事同盟国にしかカタパルトの製造技術は供与していない。

当然、中国の空母遼寧はカタパルトを持っていない。だからスキージャンプ型の構造になっている。
発進する艦載機は斜め上方向に飛び立つことで、滑走距離の不足を補うわけだ。

この結果、空母遼寧の飛行甲板は複雑な立体構造になり、駐機や着艦のためのスペースが、米海軍の空母に比べて限られる。
空母遼寧は図体は米国のスーパーキャリア並みだが、実際に運用できる艦載機の数は半分にも満たないのではないか、と言う西側の軍事専門家もいる。

次に着艦だが、これも米国とロシアしか持っていない技術が必要だ。
ジェット戦闘機を確実に停止させるには三百メートルでは到底足りない。
そこで米軍の空母には「アレスティングワイヤー」という物が装備されている。

早い話が極太のワイヤーロープで、空母に搭載されるジェット機は機体の後方下から鉤型のフックを下ろした状態で飛行甲板にアプローチする。
米国の空母の場合、この極太ワイヤーロープが距離を開けて、三本か四本張ってあり、着艦する戦闘機は自分のフックをこのロープに引っかけて強制的に機体を停止させる。

しかし発艦時よりは軽くなったと言っても、やはり数トンもの機体をつなぎとめるには、そんじょそこらのワイヤーロープとは違う。
そう簡単に製造できるワイヤーロープではないから、これまでのところ米国かロシアから買うしかなかった。

中国の遼寧にこのアレスティングワイヤーが装備されているのかどうか、現時点では不明である。
もしないのなら、本格的に武装したジェット戦闘機を運用する事はできないはずだ。

遼寧に搭載される戦闘機は殲滅15型(J-15)が有力視されている。
これは旧ソ連の「スホーイ」というシリーズの流れを引く、ロシアのSu-27を空母搭載用に改造したSu-33、通称「シーフランカー」の国産改良型である。

J-15を搭載するならアレスティングワイヤーは必要不可欠。
最近開発されたという噂の中国の国産新型ステルス機「J-31」を搭載するとしても、同じ事のはずだ。

米国がアレスティングワイヤーを中国に売るはずはないし、ロシアも旧ソ連の空母を勝手に中国が買って改造したという経緯から、この技術を供与したとは考えにくい。
ならば中国が独自にアレスティングワイヤーを開発したという事でなければならないが、中国の工業技術で可能なのか?という疑問は残っている。

もしアレスティングワイヤーを装備していないなら、空母遼寧は戦闘機を発艦させる事は出来ても、着艦させられない艦という事になる。

こう考えると、遼寧はあくまで将来本格的な国産空母を運用する時のための、練習用の空母と考えられる。

最近日本企業が米国主導の次世代ステルス戦闘機F-35の製造に部分的に参加できる見通しになったと報じられた。
まあ、やらないよりはましだが、日本の防衛産業にとっては「とりあえず一息つける」という程度の存続策に過ぎないだろう。

武器輸出三原則と憲法第九条との関係で可能かどうかは分からないが、日本が軍事技術開発に参画したいなら、もっと有力な分野がある。
米国が目指している新型の空母用カタパルトの開発である。

現在の蒸気式カタパルトは巨大かつ荒っぽい装置なので、メンテナンスの手間と費用が莫大になる。
そこで米国は「電磁誘導式カタパルト」の開発を目指している。

高圧蒸気の代わりにリニアモーターの原理を使って、飛行甲板の下の押し出し装置を動かそうという計画だ。
戦闘機側にも強力な電磁石を搭載できる様になれば、筒型の押し出し装置すら不要になる。

これは日本が開発済みのリニアモーター新幹線の原理そのものである。
米国は軍事予算の大幅な縮小を余儀なくされていて、主力戦闘機でさえ、F-22を最後に単独での開発をやめてしまっている。

空母のカタパルトを電磁誘導式にできれば革命的な技術開発になるが、米国はリニアモーターの技術の蓄積は乏しい。
リニア新幹線を実用化している日本が協力すれば米国は助かるはずだ。

また中国もリニアモーター式の鉄道を既に実用化しているので、次の本格的な国産空母には一足飛びに電磁誘導式カタパルトを装備しようと計画している可能性が高い。
米国の開発計画に協力する事は、日本にとっても中国に先を越される事を防ぐ、という効果もある。

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2012/11/13 01:14
軍備は戦争を防ぐための威嚇でもあるし、戦争になった場合の対抗手段でもある。
しかし、戦争は外交の一手段であるという事実からすると、昨今の政治体制では危なっかしいことこの上ない。
何らかの衝突があったとして適切に対応できるかというと・・・

日本が兵器開発に貢献できるようになるには、全体的な危機管理意識が上がらないと難しいのでは。
「こいつらうっかりしゃべるかもしれない」って相手に機密事項話す馬鹿はいませんから。

ロシアは空母のエンジンをはずして引き渡したくらいだから、着陸用の技術供与したとは考えにくくないですか。
あの空母は「うちも空母持ってるんだよ」以上の意味は薄いと思われます。
(今後はおっしゃるとおりわかりませんが。)

今頃尖閣周辺には日本の潜水艦が潜航してるんでしょうね。
でないと領海からチマチマ逃げていく中国側の動きが理解できない。
フィリピン相手ではもっと大胆でしたからねぇ。
アメリカは日本が本気で相手するくらいの気でないと関与して来ないでしょう。
そう考えると現場の方々の静かな努力の積み重ねには頭が下がります。
(政治もその万分の一でも汲み取れればよいのだけど。)
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2012/11/11 18:34
どんな技術でも、、やはり。。。

できれば、、平和利用目的に、、なるといいのですが、、、

戦争だけは、避けたいものです




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