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新自由主義の躍進

今回の衆議院選挙は面白い結果になった。自民党の大勝、民主党の惨敗という面ばかりが強調されているが、比例代表の結果を見ると「新自由主義を唱える政党の大躍進」でもあったからだ。

具体的には日本維新の会とみんなの党の事である。みんなの党は8議席から18議席へと倍増。
維新の場合、選挙前の現有議席は11だが、これはその前から既に国会議員だった人たちが他の政党を離党して移籍してきた人数。
長年国会議員だった石原慎太郎氏も入れると12人が「旧来の国会議員」ということになる。今回獲得した議席が54だから、実に42人もの「党生え抜きのまっさらな新人」を誕生させた事になる。

小選挙区では地元の大阪府で19議席中12議席を占めた。面白いのは全国的には「自民党圧勝」なのに、大阪府では自民党は3議席しか獲得できなかった事。公明党の4議席にも負けている。
地元だからとはいえ、大阪府の小選挙区だけを見ると「維新の圧勝、自民は苦戦」だった。

比例代表の結果はもっと極端だ。
近畿ブロックでは29議席中10議席を維新が獲得。これはある程度予想されていた事だったが、他の全てのブロックで維新が議席を獲得している。

維新が小選挙区で獲得した議席は300のうち14。獲得率は4.6%。
比例代表では180のうち40議席。獲得率はなんと22%。
ついこの前まで「大阪限定のローカル政党」だった事を考えれば大躍進と言っていい。

この結果から推測できるのは、多くの有権者が小選挙区では自民党、公明党、すなわち「前の政権与党」を選んだが、まるっきり以前と同じになるのもどうか?という懸念から政党の名前で選ぶ比例代表では第三極を標榜する政党に投票したという事だ。

ここで問題なのは、有権者の過半数が「新自由主義」に賛成したのかどうか?という点だ。近年の政治の対立軸は複雑で分かり難いが、要は「新自由主義VS社会民主主義」の対立構造だったと考える事が出来るからだ。

たとえば年金などの社会保障を巡る対立は、「自助自立」を強調して切り詰めようとする自民党と、政府の負担を増やして手厚くしようとする民主党主流派の対立だった。
前者は新自由主義的、後者は社会民主主義的な主張である。

ただこの二つの用語、選挙ではお互いに「レッテル貼り」に終始してしまった感がある。
現在、イメージとしては新自由主義は部が悪い。なぜなら小泉純一郎氏が首相だった頃の政策で、これが今の格差社会を作った犯人という説が広まっているからだ。

新自由主義は障害、病気、高齢などの理由で働きたいのに働けない人たちへの社会福祉までは否定しないが、原則として政府の経済への関与は不正防止などの必要最低限にとどめ、個人も企業も競争させる事で経済を活性化しようという政治理念。

競争を奨励する政策だから、当然勝ち組と負け組が生じる。その結果としての格差は発生する。新自由主義は「結果としての格差」は問題視しない。
日本維新の会の橋下徹氏の考え方は「がんばらない人が貧乏になるのは自業自得」というもので、この点では新自由主義的。

新自由主義のメリットとしては税金や社会保険料などの負担が低下する傾向が強い事。
やる気のある現役世代にはメリットが多いが、もうがんばれない年金生活者などにはしんどい面もある。

これに対して、経済が資本主義である事は否定しないが、結果として生じる格差を政府が直接救済する仕組みを重視するのが社会民主主義。
ヨーロッパ諸国、特に北欧諸国がこの路線を取っている事は有名。民主党の議員はよくスウェーデンを政策のお手本として引き合いに出していた。

社会民主主義は競争を否定はしないが、負け組になった人には政府が生活費を支給するなど、社会主義の手法を多用する。
だから格差が小さく、低所得層でも生活レベルが高くなる。弱者、負け組にやさしい政治理念と言える。

欠点は高福祉を維持するために「高負担」にならざるを得ない事。具体的には税金や社会保険料の負担が大きい。スウェーデンなどは普通の中ぐらいのサラリーマンでも、給料の半分以上が税金や保険料で持って行かれる場合があるらしい。

さらに社会民主主義はよほど上手くやらないと「国民が政府に甘ったれて依存してしまう」という状態に陥る危険がある。
実際こうなってしまったのがギリシャ。国が財政破たんした後でもなお、この傾向が続いている。

新自由主義も社会民主主義もそれ自体が、いいの悪いの、正しいの間違っているのと言うのは神学論争にしかならない。
どちらの政策も一長一短があり、かつ100%新自由主義、100%社会民主主義という国はない。
どっちの政策の割合が大きいか小さいか、程度の問題に過ぎない。

さて、今回の維新の大躍進は国民が「新自由主義的な要素が強い政治」を望んだ結果なのだろうか?そう結論するのは早過ぎる気がする。
新自由主義は自民党にも論者が多いし、維新も社会保障を全否定しているわけではない。

そもそも新自由主義、社会民主主義という概念さえ理解できていない人たちがイメージだけで維新に投票したという可能性もあるからだ。
そういう意味では来年の参議院選挙が、果たして本当に国民が新自由主義的路線を望んでいるのかどうか、それを見極める試金石になりそうだ。

アバター
2012/12/17 16:40
ここまで理解しているかどうか。勢いに流された面もあると思います。
アバター
2012/12/17 14:35
なんだかなッテ感じの、選挙の結果、、

参院選の、裏工作も進んでいそうです

マスコミも、グルだと、、、どうしようもない気持ちに、なりますね





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