Nicotto Town



日本農業は生き残れるか?

新聞などで総選挙の話題が出始めたが、民主党が公約の目玉の一つとして掲げている「個別農家への直接補償」とは何なのか、有権者にはあまりよく理解されていないようである。

こと食料の事である限り、農業に縁の無い都市住民にもおおいに関係の深い話である。民主党ももう少し分かりやすく説明して欲しいものだ。

大雑把に言うと、日本の農業は戦後一貫して外国産の安い農産物の輸入に押されて衰退してきた。
最初はアメリカからの小麦粉の流入で国内の小麦生産が激減した。これが大豆、野菜、乳製品、畜産品へと広がって行き、現在ではカロリーベースで自給率が4割を切るところまで農産物を輸入に頼っている。

一方主食である米は常に不足気味で、需要に生産が追いついたのは1960年代。
つまり国民全員が毎日三度三度白いお米のご飯を食べられるだけの量を生産できるようになった。

ところが皮肉な事に、この頃から日本は経済の高度成長期に入ったため、食生活が豊かになり、また日常生活での力仕事も減ったため、主食である米の消費量が減り始めた。現在では一人当たりの米の年間消費量はおそらく昔の半分ぐらいになっているだろう。

他の農産物が輸入品によって壊滅的打撃を受けてきたので、主食である米だけはなんとか国内自給を死守しようというのが、日本政府の一貫した政策だった。

戦後も長らく米の流通は政府が完全にコントロールしており、いわゆる食料管理体制下で、小売価格より高い値段で政府が農家から買い取っていた。
売れば売るほど損が出るが、これは政府の出費、つまり税金で補填していた。いわゆる「食管赤字問題」である。

これを解決すべく導入されたのが「自主流通米」で、自信とやる気のある農家は政府を通さず直接商社や卸売り業者に米を売れるようになった。
やがて食糧管理体制自体が廃止され、現在では表向き、米の流通は自由化されている。

しかし日本の米農家にとって脅威は残った。一つは米価の下落、もう一つは圧倒的に安価な輸入米。

需要が年々減少してきたから、普通なら米価も下がって行くはずだ。しかし農家保護のため歴代の自民党政権はいわゆる「減反政策」を執ってきた。
全ての農家に米の作付け面積を減らしてもらい、需要を超える生産をさせない事を事実上強制して、供給を人為的に減らす事で米価を高いままに維持してきた。

これは本来農家自身が経営判断としてやるべき事だが、政府主導で全国一律にやってきたため、いろんな弊害を引き起こした。
最大の問題は、農家の自主性が失われ、後継者が育たなくなった。専業農家の高齢化率は驚くほど高く、かつ農業の跡継ぎがいない、という話はよく聞く。

また米価を経済原則に反してまで高く誘導するという事は、日本産の米の国際競争力がますます失われる。安い外国産米に太刀打ち出来る農家がいつまで経っても育たない。

一方、外国からは「日本は輸出で儲けてばかりで不公平だ。米も輸入しろ」という批判が高まり、ついにウルグァイ・ラウンドという国際貿易協定で部分的な米の輸入自由化をせざるを得なくなった。

ただし現在は米の関税率は実に770%以上。米を輸入して日本で売ろうとすると元値の9倍近い値段になってしまうから、事実上輸入をシャットアウトしているのと変わらない。

この高い関税を外国に認めてもらう条件として、毎年「ミニマム・アクセス」と呼ばれる一定量の米を政府が輸入している。
もともと国内では米が余っている所へ、現在では年間77万トンもの米を輸入している。
しかも、これまた農家の保護のために輸入米は、備蓄や海外への食糧援助にだけ使い、国内市場に流通させない、という方針を採っている。

いろんな意味で自民党の米政策は無理が来ている。
そこで民主党がそれに変わる農業政策として出してきたのが、個別農家への直接補償というわけだ。

簡単に言えば、減反などの人為的な需給調整を止めて米価も市場の原理に任せる。
ただし放っておくと米農家が全滅するおそれがあるので、米価がある基準を下回った時に、農家の減った分の収入を税金で補填する、という仕組みだ。

これは西ヨーロッパで行われている農業保護政策と同じで、小規模農家や経営センスの無い農家は淘汰されるが、その分大規模農家の競争力が上がり、結局は国内農業の再生につながるという事だ。

規模ややる気に関係なく、米を市場競争から隔離して農家を一律に保護しようとしたのが自民党の減反政策。
それに対して、米農家といえども市場競争にさらして、生き残れる農家にだけ直接税金をつぎ込んで保護すべき、というのが民主党の提案している政策という事になる。

もっと注目されていい争点ではないだろうか?

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2009/08/03 22:10
もっと地産地消を推進するのも一計かとおもっています。
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2009/07/25 17:24
今朝、ニュースサイト見ていて、ちょうどこのブログの記事を思い出したところでした。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090725-OYT1T00045.htm

「麦や大豆などの基幹農産物」についても補償の対象になるんですね。
コメのような過剰作物に上限を設ける一方、不足がちな作物については、目標を超えて
生産量を増やすほど補償を手厚くするというのが面白いと思いました。

朝三暮四に陥らずにうまく機能すればいいですけど。
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2009/07/25 10:06
まじなブログに感動しました。

オリジナルカロリーは多くの計算方法があります。
畜産、養鶏など統べてを含めた自給率は1割を割ったと思います。
(最近はデータ見てませんので?)

日本の農業は博打でしょう?
典型がキャベツ、白菜などの葉物。
政府が最低価格を保証しないとこの傾向は強まるのではないかと愚考しています。
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2009/07/22 16:11
中国人は、自分の作った野菜を絶対に食べない。
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2009/07/21 16:24
私も社会の授業で、自給率やったけど、
4割って・・・いろんな意味ですごい数字だよねww
最近は食品の安全も危ないから頑張ってほしいよね☆
ファイト麻生さん!!((爆笑
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2009/07/21 07:21
農業をついでいけない理由に、相続税も絡んでいるような気がするんですけど、
私の知り合いは、相続税払えなくて、何枚か手放しましたよ。

あ・・・それと、今、米の価格が上がっているそうです。農家の人から、買っているんですが、今年は、おまけしておくね~~~て。ε=Σ( ̄ )ホッ。
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2009/07/20 17:08
江戸時代から続く、難しい問題ですね。
ほったらかしにしておくと
又、髪型をモヒカンにしないといけないし・・・。

米に限らず、塩・ナス科植物・麻も注目してみてもイイかも。
世界の歴史の中でこれらが
「国家運営」として、どう扱われてきたか。




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