Nicotto Town



アジア安全保障ダイアモンド

プリンセス・プリンセスの歌ではないが、言われてみればこれは確かに「ダイアモンドだね~」な話である。
何のダイアモンドかというと「アジアにおける安全保障」の、なのである。

何のこっちゃ?と思う人が多いだろうが、安倍晋三総理大臣が「プロジェクト・シンジケート」という海外では有名なニュースメディアに寄稿した英語の論文のタイトルである。
原題は「Asia's Democratic Security Diamond」
直訳すると「アジアの民主主義国家の安全保障のダイアモンド」

この論文で安倍首相は日本、米国、インド、オーストラリアでダイアモンド型の安全保障ネットワークを形成し、マレーシア、シンガポールなどのアジア諸国にも参加を呼び掛けるという構想だ。

ここに名前が挙げられている国家の共通点は「民主主義国家である」事。
自由と民主主義という共通した価値観を共有するこれらの国で一致団結して、アジアの安全保障を図ろうという事だ。

原文は英語だが、読んでみたい人は下記へ。

http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe

英語はちょっと、という人には、とあるブロガーが日本語訳を載せてくれている。

http://kennkenngakugaku.blogspot.jp/2013/01/blog-post_10.html?spref=tw

安倍さんというと経済政策のアベノミクスばかりが国内では騒がれているが、現在日本は外交、特に安全保障の面でかなり苦しいところにいる。
外交政策はどうなのか?という点がいまいち不明確だったが、海外では英語の論文を発表して、こういう呼びかけをしていたわけだ。

この論文中ではさすがに露骨にそうは言っていないが、民主主義国家であるが故の安全保障連合だというのなら、どの国から守るための安全保障なのかは、当然中国だろう。
中国との「良好な関係は大事」みたいな部分もあるから、中国包囲網の呼び掛けというわけでもないだろうが、日本の総理大臣としては相当思い切った言い方だ。

現在中国はやや減速したとは言え、経済成長著しい成長期の国家。そしてそれ故に、ちょっとヤンチャな国になっている。
日本とアメリカは経済規模では世界1位と3位とは言え、既に先進国化して久しく、中国のような経済成長は望むべくもない。

そこで中国の次に経済大国化すると言われているインドとも連携しようという構想だ。
人口規模においては「世界最大の民主主義国家」であるインドを仲間にして中国をけん制しようというわけで、現在のアジアの国際情勢においてはかなり現実主義的な考えだ。

安倍首相は右翼、タカ派と言われているが、単なる強硬派なのではなく、けっこうしたたかな外交を考えているようだ。

今の中国は第二次大戦直前の日本に似ている面がある。
当時の日本はアジアで最初に近代化した経済大国という自己像に酔ってしまい、大陸に領土的野心を持ったために、当時の大国のほとんどを敵に回して悲惨な結末を迎えた。
今の中国は日本だけでなく、南シナ海に面する東南アジア諸国とも領土紛争を起こしている。

ミャンマーのような長年の親中国の国でさえ、中国の影響が強くなりすぎる事を恐れて、欧米側に傾きつつある。
このままでは中国は「アジアの孤立した大国」になりかねない。
その中国が最悪の形で暴発したら、戦前の大日本帝国が起こした災厄の比ではない。

そこで諸外国に民主主義国家同士の連携を呼びかけ、それを英語で海外のメディアに直接発信するとは、侮れない政治家だ。

しかし、尖閣諸島購入を発表した当時の石原慎太郎氏といい、今回の安倍首相の論文といい、どうして最初に外国で発表するのだろうか?
自分の国のマスコミを信用していない、という事でなければいいのだが。

アバター
2013/01/24 08:15
いつも勉強させてもらってます^^

ニュースで体育科の話ばかりやってますけど、こういうことを(TPPや外交など)取り上げて、
国民にしっかり情報提供と議論の機会を与えてほしいもんです。

海外にいたほうが日本の近況が分かるというのは悲しいですね。
アバター
2013/01/20 19:18
長期的に見ればインドの方が安定要素が多いですし、遠交近攻という古来からの外交手段を踏襲した理にかなった方法だと思います。

中国は先の大戦の日本ではなく、清末の状態に似ているのではと思ってみたり。
改革派がいるのだけど体制派が大きくて、なまじっか図体が大きいために身動きが取れないみたいな。
軍閥が割拠するようになったら、それはそれで面倒なのだけど・・・

日本の右派といわれる政治家は国内マスコミをあてにしていないと思われます。
かといってマスコミ以外にチェック機能を果たすところがあるのかと考えると、これもこれも危ない状態だなぁと思ってみたりもします。
アバター
2013/01/20 12:00
ブログ広場からお邪魔します。
なるほど理にかなった戦略だと思います。
中国のポテンシャルは、このままだと減速して、ナショナリズムの台頭が進むか。
もしくは反政府運動が大きくなりそうです。
これからはインドの方が経済的に成長するでしょうから。

自国のマスコミが信用できないのは・・・^^;
アバター
2013/01/20 11:40
とても大切な情報をありがとうございます!

邦訳を読む限り、現在執るべき外交戦略として至極妥当な考えだと感じました。

マスコミはセンセーショナルなものにしか飛びつかない商業主義に毒されています。
このような冷静な外交政策には無反応なのがそれを証明していると思います。




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.