インターネット上に一般のユーザーが簡単に写真や動画をアップロード出来るようになって久しいが、案の定その影の部分が出てきたようだ。最近それを実感出来るような話が二つあった。

一つはAKB４８の研究生、西川七海ちゃんが突然クビになった件。
どうやら男の子と一緒に撮ったプリクラの画像がネットに流出して話題になったのが原因らしく、２５日付で解雇処分にされたとのこと。

ネット上にあったその画像を見てみたが、別に抱き合ったりして映っているわけではなく、１６歳の女の子なら彼氏でなくてもクラスメートとそういうプリクラぐらい撮る事はあるだろうと思えるような物だった。
解雇処分は厳し過ぎるような気もするが、まあアイドルの見習いという立場である以上、やはり普通の女の子と同じようにはいかないのだろう。

もう一つは浜松市役所の女性職員がネットのエッチなサイトでチャットレディーをやって、ウェッブカメラで自分のヌードをネット中継もする、という副業で２００万以上を稼いでいたという話。

これもばれなきゃよくある話だろうが、この女性、そのサイトを通じて知り合った男性とリアルの世界でも交際してしまい、別れ話のこじれで男性が市役所に密告したらしい。
公務員のアルバイト自体が法律違反だし、アルバイトの内容が内容だけに厳しい処分を受けたらしい。即クビにはならなかったが、まあ引き続き公務員を続けるわけにはいかなくなるだろう。

どっちも自業自得と言えばそれまでだし、特に市役所の女性の場合３２歳というれっきとした大人なんだから同情の余地はないが、共通するのはネット上に素人でも簡単に画像をアップロード出来るという時代の産物だという事だ。

アイドルのイケナイ写真などというのは、ついこの前まで写真週刊誌などのマスコミ、つまりその道のプロの手にかからないと、不特定多数の一般人の目に触れる事はなかった。
西川七海ちゃんの場合プリクラだから、誰かが印刷されたその画像をスキャナーで読み込むなりケータイのカメラでコピーするなりしてネットに上げたのだろう。

こんな事がプロのカメラマンでもマスコミの記者でもない、その辺の一般人に簡単に出来てしまうのが今のネットの世界だ。
うっかり道端でファンから「一緒の写真をお願いします」と言われても、うかうか応じられない。
これはアイドルにとってもファンにとっても、悩ましい問題だ。

市役所の女性の場合でも、そんないかがわしいアルバイトをやろうという気があっても、昔はなかなかそんな仕事にありつくチャンスは無かった。
それだけ稼げたという事は、お年の割にはナイスバディだったのだろうが、ネット動画が専門的な知識のある人にしか扱えなかった時代なら、それなりに怪しい場所で怪しい人物と直接接触を持たないと自分のヌードを売り物にする事など不可能だった。

ところが今は自宅にいながら、そんな画像を自分のパソコンから簡単にアップロード出来てしまう。
いかがわしいアルバイトの敷居が恐ろしく低くなっているのだ。
今回は公務員という事で新聞記事になる程の騒ぎになったが、おそらくは氷山の一角で、未成年の女の子が大金に目がくらんでやってしまう危険性は非常に高い。
自宅の自分の部屋を閉め切ってやっていたら、家族にも気付かれずにやる事は可能だからだ。

さらに問題なのは、画像をアップロードする側にそういう意図が全く無い場合にも、一般人のプライバシーを偶然に侵害してしまうケースが考えられる事だ。

例えば、写真やビデオ好きの素人が街角の風景を撮影して自分のサイトに公開しているケースが珍しくない。これ自体には何の違法性も、他人のプライバシーを暴いてやろうなどという意図も無い。

だが、街角の風景だとそこを歩いている人が映っている可能性は高い。
それがネット上にアップされると、その人に無断でその人がいつ、どこにいたか、という情報を不特定多数の目にさらしてしまう事になる。

例えば「今日は千葉方面のお得意回りをしてきます」と言って出て行った社員が、新宿の繁華街の風景に中にいる写真なり動画なりを同僚や上司に偶然見つけられる可能性がある。

浮気相手とのデートのシーンを偶然カミさんに見られる危険。学校さぼってどこかで遊んでいるシーンを親に見つかる危険。いろいろ考えられる。Google のストリートビューが裁判沙汰にまでなっているのも、こういう危惧からだろう。

素人でもネットで画像が扱えるというのは、芸術的才能のある無名の人に思わぬチャンスをもたらすなどプラスの面も多いが、便利な道具には必ず影の部分がある。
それがそろそろ顕在化してきているのではないだろうか？