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遂に出現、H7N9

中国・上海市で世界初の鳥インフルエンザの人への感染が確認されたそうだ。
ウイルスの型は「H7N9」と言って、医学関係の専門家が最も恐れていた事態がとうとう現実に起こったという事になるらしい。

インフルエンザウイルスの中でもA型の物は、遺伝子のパターンが微妙に異なる亜型が多い。
ウイルスは宿主の細胞の表面に取りつくために、タンパク質で出来た突起のような構造を持っている。
インフルエンザのウイルスの場合、HA,NAと呼ばれる2種類の突起を持っていて、それぞれ16種類と9種類ある。

たとえばHAが1型、NAが9型のインフルエンザウイルスなら、その遺伝子型は「H1N9」という風に呼ばれる。
今回見つかったH7N9というのは、こういう意味である。

インフルエンザのウイルスは、遺伝子としてDNAではなくRNAを持つ。
気管支などの粘膜細胞に取りついて細胞膜に穴を開け、細胞の内部に自分のRNAを注入する。
そして宿主の細胞の中にある様々な物質を勝手に拝借して自分のコピーを大量に作り、最後は宿主の細胞膜を内側から食い破って外へ飛び出し、また別の細胞に侵入する。

これを繰り返されると宿主の動物の気管支の表面にある粘膜細胞が次々と壊れていき、咳や喉の痛みに襲われる。
これがいわゆる「風邪」であり、感染力や毒性が特に強い物がインフルエンザと呼ばれる。
細胞の破壊が喉から気管支の奥、肺の表面にまで達すると「肺炎」になり、命に関わる。

新型インフルエンザが発生する仕組みは、現在こういう説が有力である。
鳥に普通に感染していて、鳥は発症しないタイプのインフルエンザウイルスがある。
このインフルエンザは豚にも感染する。感染した豚は発症する場合としない場合がある。
つまりインフルエンザは鳥と豚にとってはありふれた感染症である。

だが豚が2種類以上の型(正確には亜型)のインフルエンザに同時に感染する事がある。
豚の同じ細胞に違う型のインフルエンザウイルスが同時に入り込んで増殖を始めた場合、2種類のウイルスの部品が同時に作られて混ざり合う。

この時、最初に入り込んだウイルスのHとNを決める因子が交換される事があり得る。
たとえば、最初にH1N1とH2N2のウイルスが同じ細胞に入り込んだとする。
ウイルスがコピーを作る過程で、H1とN2、H2とN1が結合してしまい、H1N1、H2N2に加えてH1N2、H2N1の亜型のウイルスが出来てしまうわけだ。

こういう事が起きやすいのは、家禽と豚が非常に近い所で大量に飼育されている土地だろうと言われている。
中国南部の農村がまさにそういう環境にある。
人と豚と鴨などの家禽が一つ屋根の下で生活しているような農村もあるらしい。

16×9だから理論的には144のインフルエンザの亜型があり得る事になる。
もちろんこの全ての型が歴史上確認されているわけではない。
また全ての亜型のインフルエンザウイルスが人に感染するわけでもない。

未発見のインフルエンザウイルスの中で、人に感染する可能性が高いと言われてきたのが今回発見されたH7N9という亜型であったわけだ。
これが何故怖いのかというと、歴史上この亜型のインフルエンザに感染した事がある人類は存在してこなかった。

つまり人類の誰も、H7N9型インフルエンザに対する免疫を持っていないという事だ。
人に感染するのなら、HA,NA因子以外にも何か変異が起きているかもしれず、もしそうならH7N9に効くワクチンも治療薬も現存しない。

だから予防が事実上不可能であり、人に感染した時の毒性が極めて強い場合、人間自身の免疫力でウイルスを撃退する以外に治療する方法もない。
もし1930年代のスペイン風邪のような世界的な大流行になれば、万単位の死者が出る可能性もある。

医学関係者がH7N9の出現を恐れていた理由はこれである。
たいていのインフルエンザは免疫を持っている大人が少なからずいるし、亜型の種類が分かればワクチンを用意できる。
だが人に感染するH7N9には、こういう対抗策が全くない。

不思議なのは、なぜこの最初の致命的な感染が上海という超近代都市で起きたのか、という事だ。
少し前、上海に注ぐ川に、上流で捨てられたらしい豚の死骸が一万も発見されて大騒ぎになった。

養豚場で病気で死んだ豚を、川にそのまま投棄する行為は以前からあったというが、今年川の下流に流れ着いた死骸の数は例年の数倍だそうだ。
それだけ多くの豚が今年は死んだという事だろうが、ではその死因は?
病気だとしたら、その豚は何の病気で死んだのか?

一番考えたくない怖い可能性は、豚にも人にも感染し死亡率の高いH7N9型インフルエンザだったという事である。
豚と家禽と人が常に接触している農村部でインフルエンザウイルスの遺伝子組み換えが起こり、H7N9型が発生し、川に投棄された豚の死骸がウイルスを上海市内に運んでしまったのではないか?

今日本と中国の間では毎日のように人が大量に行き来している。
もしH7N9が強い感染力を持つなら、日本に入り来んで来るのは時間の問題だ。
この新型インフルエンザ、日本人にとって決して対岸の火事ではない。

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2013/04/02 21:17
現代ではあっという間に病気が世界一周しますね。
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2013/04/01 03:54
中国にしては早い段階の公表でしたね。
感染症への対応が改善されたと見るべきなんでしょうか。

当初豚インフルエンザと言われていたものは感染が広がると意外に重篤化することが少なかったため現在では通常のインフルと同じ対応となっていますが、こちらはどうなんでしょうね。

おっしゃるように上海で感染例があった以上、日本に来る可能性は当然検討されてしかるべきです。
通常のインフルエンザ罹患もピークを過ぎているとはいっても続いていますし、花粉症の季節でもありますから鼻やのどの粘膜がやられている人もいるはず。
いつも以上に人ごみの中では自己防衛していくしかなさそうですね。
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2013/03/31 23:37
うは〜\(◎o◎)/!

それでなくても、、日本人の免疫力は、低下してるはずですな(;´∀`)

内部被曝で、、、、医療関係者の叡智を、、発揮していただきたいものです。




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