核融合発電を誰も語らないのか?
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- 2014/01/22 22:29:50
東京都知事選で原子力発電の是非が争点になりそうだと言う。
東京は日本最大、世界でも有数の電力の大消費地だから、原発が一基もない東京の知事を選ぶ争点になってよい、という主張は分からないでもない。
しかし福島県の人たちからは、「原発がないから好き勝手言えるんだろ?」と見えているかもしれない。
ただ、条件付きではあれ原発再稼働賛成派、即時脱原発派、双方に不満がある。
それは「ポスト原子力発電」について都知事選の候補者が何も語らない事だ。
仮に安全と判断された原発を必要最低限使い続けるとしても、未来永劫原発に頼るというわけにはいくまい。
ウラン資源も化石燃料と同じく有限であり、地球上の資源はいつかは枯渇する。
また高レベル放射性廃棄物である使用済み核燃料が世界中でどんどん増えていくと、いつかは最終処分場さえ足りなくなる。
我輩はある時点までは原発を「つなぎ」として使うべきという論者である。
どの時点かと言うと、核融合発電が実用化されるまで、である。
核融合発電はもうSFではない。
ITERという実験炉を国際共同プロジェクトとしてフランスに建設する計画が既に動き出している。
現在の原子力発電は、ウラン、プルトニウムなどの原子番号が非常に大きい、いわゆる重い原子核が割れる時に放出する熱で水を沸騰させ、高圧蒸気にしてタービンを回して発電する。
乱暴に言えば原子爆弾と同じメカニズムだ。このエネルギー放出を一瞬でドカンとやると原爆、ドカンといかないようにじわじわと取り出すと原発になる。
核融合発電は、これも乱暴に言えば、水素爆弾のメカニズムである。
大量の核融合をいっぺんにドカンと起こすと水爆、ほんの少しずつ起こすと核融合発電炉になる。
核融合は太陽などの恒星の内部で起きている反応である。
太陽の中心部は数億度もの高熱ととてつもない高圧で、原子核同士がくっついてしまう。
生まれたばかりの若い恒星の内部では、水素の原子核である陽子が4個ずつ、本来なら素粒子間で働く反発力を打ち破ってくっつけられて、2個の陽子と2個の中性子から成る重い原子に変身させられる。
この場合、陽子のうち2個は電子と合体して中性子に変化すると考えられる。
出来上がった原子核はヘリウムである。
こういう風に小さな原子核同士がくっついて一つになる現象を核融合と言う。
この核融合のプロセスで膨大なエネルギーが放出され、光と熱になる。
恒星が何十億年も輝き続けていられるのは、核融合反応のおかげである。
この核融合を地球上で人工的に起こし、その熱エネルギーで発電しようというのが核融合発電だ。
「核」と名前につくから原発と似たような物というイメージがあるかもしれないが、核分裂エネルギーを利用する現在の原子力とはかなり違う。
まず、「使用済み核燃料」という物は発生しない。
核融合の燃料は、水素の同位体である重水素と三重水素。
通常の水素原子は陽子1個と電子1個から成る宇宙で一番単純な元素だが、一定の割合で陽子1、中性子1、電子1から成る変わり種が存在する。これが重水素。
さらに中性子がもう1個入っている水素原子もあり、これが三重水素。
重水素同士、あるいは重水素と三重水素を融合させると太陽の内部と同じ反応が起こり、熱などの膨大なエネルギーを吐き出してヘリウムに変わる。
核融合発電の使用済み燃料はこのヘリウムであり、放射能を帯びない無害な元素である。
そもそも地球の大気の中に天然に存在するありふれた物質だ。
核融合発電が実用化すると、向こう数千年、あるいは数万年、人類はエネルギーに不自由しないと言われている。
ただし放射性廃棄物が全く出ないわけでもない。
重水素と三重水素の融合だと、反応の後で中性子が1個余る。
これは高速中性子として炉心から飛び出すので、炉の周囲の何らかの壁で遮蔽しないといけない。
一定期間核融合を行った炉の本体や周囲の機器、遮蔽壁は中性子を吸収するため、長い間にはそれを構成する原子の一定割合が放射性元素に変わる。
廃炉にする時、この物質は高レベル放射性廃棄物になると推定される。
もう一つの利点は反応の暴走が起きない事。
福島第一原発の事故で分かったが、原子力発電の燃料は、発電をストップしてもそう簡単に冷えてくれない。
冷やし続けるためだけの電力供給が不可欠で、福島第一はこの電力供給が止まってしまったために、核燃料が高温で溶けてしまい、あの大惨事を招いた。
核融合発電も反応が起きる中心部は数億度の高温になるが、機器への電力供給が何かの事故でストップすると、核融合反応も自然に止まる。
たとえて言うなら、核融合反応を起こすための電気ストーブみたいな物で、間違ってコンセントを抜いてしまえば、反応も止まってしまう。
炉自体は相当な高温だが、これは自らは発熱しないので、原子力の使用済み燃料に比べればはるかに早く冷える。
もちろん課題も多く、まず核融合反応を起こすには別の方法で炉心の温度を最低でも一億度ぐらいまで上げておく必要がある。
これをどうやって実現するか。レーザー光線の集中照射などが検討されている。
また反応の前後の水素ガスとヘリウムガスは同じく一億度程度の高温になっている。
これが直接炉の壁に触れたら、どんな頑丈な金属でも溶けて穴が開いてしまう。
これを避けるために、反応中のガス原子は電子をはぎ取られた「プラズマ」という状態にしておかないといけない。
プラズマはプラスに帯電しているので、外部からプラスの電荷をかけて反発させ、炉の壁から離れた空中に浮かせた状態を保つ必要がある。
他にも炉心をどんな金属で造ればいいのか、とか、様々な克服すべき課題はある。
核融合発電が実用化するのは早くても50年後とか言われている。
ただし、それは研究に注ぎ込む予算、研究者の数、その他の研究資源が現状のままなら、という話。
ITERは国際共同プロジェクトなので、日本だって参加はしている。
脱原発派の「最終処分場をどうするんだ?」という主張には我輩もうなずかざるを得ない。
しかし有限であり、現在でさえ国際紛争の火種に成りやすい石油に未来永劫依存するのか?
石油輸入で日本の国富が流出しているという再稼働賛成派の理屈は分かる。
だがウランもしょせんは有限な資源である。不足し始めた時どうするのか?
原発に関しては賛成派も反対派も、若者に対して「未来のビジョン」を提示できていないという点では似たり寄ったりだ。
東京が口火を切って、日本が先頭に立って、核融合発電の実用化を早めよう。
それまでは原発で行こう、あるいは、だから原発はやめよう。
それぐらいの夢を語れないのなら、誰が都知事選で当選しようと我輩は興味がない。
色々な事を知っておられる。
私は、学生時代化学の道を選択してきました。
そして、卒業後もわずかな時間でしたがその道を歩いておりました。
この世の、物理学・また化学生物の根源を追及するために。
しかし、勉強すればするほど根源がわからなくなってきてしまった事も確かです。
核融合発電。それができるのであれば素晴らしい事のようにも思えます。
しかしその前に、仕様済み核燃料の後片付けをどの様に進めるか。
それが、今現在の一番の問題だと思っております。
地球上・及び太陽系は決して無限では無く有限です。
あくまでも、無限の中の有限の一部分。
そう私は、解釈しております。
ブログを色々と読ませて頂きました。
きっと、私が周りから「宇宙人」と呼ばれるのはある意味普通(と言っていいのかわかりませんが)の人と考え方が飛んでいるからかも知れません。
異星人の存在も、UFO(実際に何度かこの目で見た事もあります)も信じております。
地球人だけが、唯一この無限の宇宙に存在するという考え方自体がタブーなのです。
地球に生物が存在しているのなら、もっと科学の進んだ宇宙のどこかに地球上よりももっと科学が進んでいる惑星があってもおかしくないと思っております。
すでに、異星人は地球にいて地球の地中エネルギーの研究をしているとの話もあります。
都知事選とは、ほど遠いコメントとなり申し訳ございませんでした。
いくつかの、ブログを読ませて頂きそのコメントの一部として書かせて頂きました。
ただ一つだけ忘れてはいけない事があります。
それは、唯一日本は太平洋戦争であの「原爆」を落とされ国だと言う事です。
一番「核」の怖さを知っているのは、日本だけであると言う事です。
確かにどこか違和感は感じます。
自然再生エネルギーを主にするのは
あの大震災のような自然災害の前には個人的には不安です。
台風や豪雪、落雷、鳥獣被害
冬場の雪国での暮らしを知る人なら皆そうではないでしょうか
それと日本が脱原発しても 他の国はそうしないようです。
それなら原発の恐ろしさを実際に知った日本こそが
核融合を含めた核技術をリードしていかなければならないのかもしれないですね。
政治家がこうなったのも「今すぐ何とか」って衆愚が増えてるからこそだと思うし。ただまあ、草の根で何とか出来るわけはないので、素晴らしい人が出て来るのを待ちわびるしか無いんですがな。悩ましいものだな。
もう選挙が始まりますし。
(私は有権者じゃないから関係ないかもしれませんが、都民もニコタには大勢いるでしょうから。)
原発争点といいながら「ではどうするのか」については「これから考える」状態なのでみなさん何も言ってないのと同じことなんですよね。
個人的な希望段階で公約と言われても困る。
今回の都知事選の悲劇は本命不在に尽きると思ってます。
それでも誰かが当選しなければならないんですから、候補者は責任ある発言を自分の言葉でやってもらいたいものです。