Nicotto Town



SMバー問題の真のツッコミどころ

就任したばかりの宮沢洋一経済産業大臣の政治活動費に「SMバー」への支出が記載されていた事が、マスコミを賑わせている。
海外メディアまでが取り上げるに至っては、笑ってばかりもいられないのだが、ネットの書き込みだけでなく、マスコミも相変わらずツッコミのピントが外れている。

まずその店が公安委員会の営業許可を持っているかどうかを真っ先に調べるべきだろう。
下着姿の女性がいる店という事で、海外メディアの中には売春宿と決めつけている記事もあるが、この場合広島県公安員会の営業許可を受けていれば、少なくとも違法ではない。

普通、無届け営業の店なら領収書は出さないし、出す場合は架空の店名で切るから、領収書を添付できたのなら、違法営業の店ではないだろう。
だが政治活動の必要経費として、政治資金報告書に堂々と記載したというのは、とんだミスとしか言いようがない。

(念のため書いておくが、我輩はそんな店には決して行った事はない。)

宮沢氏は自分は参加しなかったと言っているが、本人がその場にいたかどうかは問題ではない。
問題は誰が誰と行って、支払いをどうしたのか、という点の方だ。
支出金額が1万8千円ちょっとという事だから、おそらく二人分だと思われる。
実際にプレーさせてくれるSMクラブだったら、一人分でもこの数倍は行くからだ。

(繰り返すが、決して行った事があるわけではない)

店そのものはいわゆる「フェティッシュバー」なのだろうと思う。
プレーをさせるわけではなく、あくまでSMをイメージした内装や女の子のコスプレで、そういう趣味の雰囲気を演出するタイプのバーで、その程度の物は東京にも数えきれない程ある。

だが、もし同行者が地元の後援者、つまり有権者だったとすると、たとえ事務所のスタッフが勝手に行った支出だとしても、有権者への「寄付行為」に該当し、公職選挙法にもろに抵触する可能性がある。

前任の小渕優子氏が辞任を余儀なくされたのは、観劇会の収支が合わない点で、まさにこの「寄付行為」に該当するのではないかという点を直ちに否定しきれなかったからだ。
構図は全く同じであるのに、SMバーだとここが追及されないのは何故なのか?

そもそも普通のホステスバーであっても、風俗営業法で規制される業態の飲食店なら、政治資金報告書という、誰でもインターネットで閲覧できる書類に記載すべきかどうかは慎重に判断するのが常識だろう。


宮沢氏が言うように、事務所の関係者が勝手に紛れ込ませたという話が本当だとしても、それならそれで、政治家の秘書やスタッフの質が相当劣化しているのではないだろうか。
故意に紛れ込ませたとしたら、自分の遊興費をボスにつけ回したというわけだから、大臣はむしろ被害者であろう。

それでも事務所のスタッフは地元の人間だろうから、以前なら誰かが「まずい!」と気づいたはずだ。
SMバーと言っても、普通のバーと見分けがつかない店名だから、見過ごしたのだろうか。

(くどいようだが、決して行った事があるわけではない)

そういう地元の事情をよく知らないスタッフが国会議員の政治資金の収支をコントロールしているのは非常に危なっかしい。
これは近年、自民党と民主党の議席数がシーソーの様に大幅に上下したため、議員の秘書が経験不足なのではないか。
最悪の場合、政敵の秘書に自分の手下を送り込んで、スキャンダルになりそうな領収書を紛れ込ませるなんて事も可能性としてはあるからだ。

さらに言うなら、日本の有権者の「たかり根性」が、長引く不況で再燃してきたのではないかという危惧もある。
55年体制下では、飲み食い、物見遊山はもちろん、子供や親戚の就職斡旋まで地元選出の議員に嘆願する例は珍しくもなかった。

自民党の大物議員だと、そういう公私混同な嘆願を受け付ける専門の秘書まで雇っていたそうだ。
そういうあからさまな利益誘導はほんのふた昔前まであって、有権者側がそれを当然だと思っていた。

この悪しき風習が一旦途絶えたのは1990年代になって、細川連立政権が出来て自民党が二年近く下野してからだ。
その後自民党は政権を奪回したが、それは長年の宿敵であった日本社会党と連立を組んでの事だったため、さすがに露骨な利益誘導はしにくかったのだろう。

この間に法的規制が厳しくなった事もあり、有権者もあからさまなたかり行為はやらなくなった。
だが近年、特に2008年のリーマンショックの不況以来、概して庶民の懐が冷え切って、「ただ酒」の誘惑に自制心が効かなくなってきているような気がする。

SMバーではたとえ緊縛ショーをやっていても、その場で事に至れるわけではなし、公安委員会の許可を受けている店なら、下着姿以上はご法度だ。
この一線を越えると一発で営業許可を取り消されるから、無理に変な事すると屈強なバーテンに取り押さえられる。

(しつこいようだが、決して行った事があるわけでは……)

この手の話は、時間の経過とともに「社会通念上許容できる範囲」が変わるので、一時の騒ぎで済ませない方がいい。

たとえば出現したばかりの頃の「メイドバー」だったら、出入りしただけで眉をひそめられただろうが、これだけ認知された現在となっては、国会議員がメイドバーで懇談会を開いた場合、どう評価するべきだろうか?

「クールジャパンの現場視察でした」と言えば、少なくとも立派な言い訳には、今ならなりそうだ。

あるいは、ホステスバーでの飲み会が政治活動として認められるのなら、女性議員が女性の支援者だけとホストクラブに行った場合、政治資金の許容できる支出の範囲と言えるのかどうか?

ボーダーラインは刻々変わるのだから、「今はどうか?」という点を政治家の秘書やスタッフは常に考えるべきだろう。

もちろん、いずれにしても、SMバーはアウトだ。行くのは勝手だが、それぐらい自腹で払えよ、という話だ。
仮に秘書が勝手にやった事なら、横領にあたるから、宮沢大臣は他の政治家のためにも一罰百戒で、その秘書を刑事告発した方がいい。

我輩も若いころ、職場の大先輩に繰り返し「ただ酒の味だけは覚えるな」と言われたものだ。
こういう矜持を完全になくしてしまったら、この国は終わりである。

なお、今回のこのブログの内容、うちのカミさんにはくれぐれもご内密に。
シーーーーッ!

アバター
2014/10/24 21:00
↓私もそう思いました。
本人が、行ってないのなら、行ってないことにしておきましょう。

ただ酒の味を思えると、やっぱり、繰り返すのかな?

それが、ちょっと怖いですね。

私は、o(〃^▽^〃)oあははっ♪

よく奢って、頂きましたけど、そういう時代でしたから…。

今も、変りませんけど…。

政治家さんたちのランチって、安くても10,000円くらいだとか…。

あのさ、一生懸命働いてる私たちから、少ないお給料なのに、いっぱい吸い上げて、それですか?

100円のおにぎりを値引き価格で、購入できたとき、めっちゃ喜んでる庶民をこういう人たちは、

馬鹿にしてるんでしょうね。

経営者側の立場として、領収書を管理しておりますが、まー、時々、これなに?と、思うことはありますし、許可は、いたしません。

我が社の領収書は、ダブルチェックされています。
アバター
2014/10/23 22:52
お詳しいのですね。
行かれたことがあるのですか?
(とあえて突っ込んでみる。)

それはさておき。
政治資金の問題は確かに軽くはありませんが、景気対策や外交問題、防衛に関する諸々等を脇に置いて議論するほどの価値があるかといえば疑問です。

ましてやうちわなんて・・・
形式的な問題はあるんでしょうが、あれをもらって「贈与されたから選挙の時には入れたげないと」って思う有権者いるんですかね。
大半は「チラシよりあおぐのに便利」程度の認識しかなかったんじゃないですか。

物事には優先順位というものがあると思うのですが。




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.