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護衛艦いずもの本当の脅威

海上自衛隊の最新型護衛艦「いずも」が就役し、海外、特に中国と韓国のネット住人の間で議論がかまびすしい。
だが、「いずも脅威論」のいずれもが的外れである。

「事実上の空母だ」という指摘と、その大きさばかりが注目されているが、軍艦と言うのは大きさと強さが正比例するわけではない事は、第二次大戦中の戦艦大和と武蔵によって証明済みのはずだ。

まず空母かどうかという点では、「ヘリ空母」である。自衛隊は憲法9条との関連で「軍艦」とは言えないので、「ヘリ搭載護衛艦」と呼んでいる。
いずもの海上自衛隊での型式は「DDH」。しかし、ヘリを搭載できるが、形は駆逐艦である「はるな型」「しらね型」も同様にDDHである。

ヘリ空母と言っても、搭載するのは輸送用などを除けば、対潜哨戒ヘリだけだ。
また、同じヘリ空母であるひゅうが型と違って、ミサイルなどの攻撃用兵器を全く装備しておらず、「他国を攻撃するための艦」として使うには役者不足である。

全長248メートルという大きさにしても、旧日本海軍の艦艇と比較するのは時代錯誤でしかない。
戦艦大和(全長263メートル)に次ぐ、戦後最大の日本の自衛隊の艦という事で物議を醸しているが、横須賀を母港とする米海軍第七艦隊の空母USSジョージ・ワシントンは全長333メートル。

理論上は垂直離着陸が可能なF35B型戦闘機を搭載する予定で建造中の英国の軽空母「クイーン・エリザベス」でさえ全長は284メートル。
ちなみに旧日本海軍の主力空母だった「加賀」は全長238.5メートル。
ただし、当時搭載していた戦闘機はゼロ戦のような軽いプロペラ機だったから、この程度の大きさでもなんとかなった。

炭素素材などを多く使って随分軽くなったと言われているF35でさえ、本体重量は推定13トン前後。
ゼロ戦はフル装備時でも3トン強だったというから、現代の戦闘機は文字通りけた違いに重いのだ。

いずもで固定翼機を運用できるとしたら垂直離着陸可能なF35Bしかないが、ヘリでさえ最大14機しか搭載出来ないいずも型が、F35Bを何機積めるだろうか?
中国や韓国本土を「侵略」するには、あまりにも能力不足である。

したがって日本がいずも型のヘリ空母を持ったからと言って、外国攻撃が可能になったなどと言う議論は、多少の軍事知識がある人間にとってはお笑い種でしかないのだ。

それが証拠に、いずもの建造時に多少騒いでいた中国の政府と人民解放軍は、今回の就役にあたって、これと言った反応を示していない。
いずもがステルス戦闘機を積んで、中国大陸本土に侵攻してくるなどと言う話を現役の軍人がしたら、知能程度を疑われる事を、あちらも分かっているからだろう。

だが、中国にとって、いずも型が脅威ではないかと言うと、別な意味で脅威足り得る。
それはいずも型が、島嶼防衛のための強襲揚陸艦としての機能を持っている可能性があるからだ。

一番艦いずもの映像は既に国内のマスコミが何度も流しているが、いずもの最大の特徴は、ヘリ空母でありながら、舷側に上から下へ下ろすタイプのドアが付いている事だ。
今のところ右舷しか我輩は確認していないが、左舷にも付いているなら、兵員輸送車や装甲車などを相当迅速に離島などへ展開させる事が出来そうだ。

いずもは陸上自衛隊の73式トラックなら50台収納可能と言われている。
そして73式トラックは一度に22名の自衛隊員を輸送できる。
もし尖閣諸島などの離島が外国の軍によって占拠された場合、いずもは単純計算で1,100人の武装した陸上自衛隊員をそこへ運ぶ事が出来る。

港湾施設がない島でも、73式トラック程度の重量なら運搬用ホバークラフトが既にある。
車が走れる桟橋がある場所なら、カーフェリーと同じ様に、舷側のドアを桟橋に渡して、艦内から直接輸送車や装甲車を渡らせる事が可能と推測される。

つまりどこかの国が変な気を起こして、日本のどこかの島を武力で占領した場合、いずもを中心とする奪回部隊が約千人の陸上自衛隊員と、必要とあれば、多連装ロケットランチャーなどを一度で運んで来てしまえるわけだ。

いずも型が軍事的な脅威であるとすれば、日本の領土である島嶼を力ずくで奪おうと考える勢力にとって、重大な脅威なのだ。
その脅威に直面したくないなら、あちらさんが変な気を起こさないのが一番である。

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2015/04/05 00:15
人間とは、自らの得た知識と慣習で発想する生き物らしいですから。
よその国の島をどさくさにまぎれて占拠した国々にとっては驚異的に映るのでしょう。

戦闘って装備も大切だけど、統率とか士気も大切ですよね。
戦後の自衛隊への扱いはお世辞にも士気を高めてきたとは思えないけど、現場は今どんな感じなんだろう。




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