妖女伝説
- カテゴリ:マンガ
- 2009/11/21 14:30:43
好きなマンガと言えば数え切れない程あるのだが、星野之宣(ほしの ゆきのぶ)という漫画家の「妖女伝説」を挙げておく。
もともとSF作品が専門の漫画家だったが、1980年代になってからいわゆる伝奇風の作品を散発的に発表した。
歴史上、あるいは伝説や神話に登場する女性をモチーフにして、人間の深い業を描くといった内容で、やがて「妖女伝説」というタイトルの短編集にまとめられた。
我輩が持っているのは集英社版の2巻セットで、復刻版もあるようだが、現在では入手しにくいかもしれない。
作品のタイトルを挙げておくと
第1巻
「砂漠の女王(前編)」
「砂漠の女王(後編)」
「蜃気楼 ― ファタ・モルガーナ」
第2巻
「ローレライの歌」
「カーミラの永い眠り」
「月夢」
「メドゥサの首」
「挽歌」
「日高川」
「歴史は夜つくられる」
「ボルジア家の毒薬」
雑誌などに掲載された時期は第2巻の作品の方が早く、「砂漠の女王」の前後半は実に9年ぐらい空いていたりする。
が、基本的に全て独立した短編ストーリーだし、現代を舞台にしている話は少ないので、今読んでも古さを感じさせない。
ネタバレしない程度に内容を紹介しておくと、「砂漠の女王」はクレオパトラがエジプト秘伝の魔法で、サロメに転生、その後パルミアの女王ゼノビアにと転生を繰り返し、その度に歴史上の人物を翻弄していく、という壮大な歴史ロマンである。
それだけでなく、イエス・キリストの「正体」が暗示されていたり、その転生が実はシバの女王の時代から連綿と続く、女から女への呪いの受け渡しである事実などが明らかになる。
転生の魔法をかけられた女は何度でも生まれ変われる代償として、ひからびたミイラのような姿になるまで老いさらばえても死ぬ事が出来なくなるのである。
死んで楽になる方法は一つだけ、次の女にこの転生の呪いを受け継がせる事。
ラストはミイラのような姿になった元クレオパトラがそういう野心家の女性を探す旅の途中、上空を中東戦争時のジェット戦闘機が通り過ぎるという場面だ。
他の短編作品では、伝説の魔女、女神などは直接ストーリーには現れず、狂言回しのような役を演じるものが多い。
我輩の一番のお気に入りは「月夢」だった。
この作品はこのシリーズでは珍しく、未来世界から始まる。もう話題にすらならないほど何度も月ロケットが着陸している時代、それでも「サカキ」という名の初めての日本人宇宙飛行士が月面に下り立つ。
ところがサカキは突然同僚を振り払って月面の彼方に逃亡してしまう。
場面は一転して日本、三流雑誌の記者とカメラマンが田舎の山奥の尼さんの庵をたずねに行く場面になる。その尼さん、もう800年も同じ姿で生きていて伝説の「八百比丘尼」に違いない、という噂だったからだ。
が、実はこの尼さん、かつて竹林で拾って育てた女の子が天に帰る時、残していった「不死の薬」を夫とともに飲んだため、不老不死になったと告白する。
そしてその夫は外国に渡り「サカキ」と名乗って科学者になったらしい、とも・・・
では月面で逃走したサカキという初老の男性は、月に誰に会いに行ったのだろうか?
竹取物語と八百比丘尼の二つの伝説を掛け合わせて、最後はSFにしてしまうというなかなかの傑作だと思う。
星野之宣の作品には他にも「ヤマタイカ」など古代日本史の謎に大胆な仮説とSF的要素を掛け合わせて、壮大なストーリーに仕立てたロマンあふれる物が多い。
が、単にロマンチックなのではなく、人間の持つ本質的な愚かさ、歴史に運命を翻弄される人間の悲哀、そういった哲学的な考察がさりげなく散りばめられている。
そういう点で「妖女伝説」は星野之宣氏の作風を代表する作品だと思う。
伝奇物が好きな方には、もし入手出切れば、一押しのマンガである。
ちゃんと読みたくなっちゃった。
星野之宣の作品は大好きです。
星野之宣さんの作品は 好きですけど 幼女伝説は読んでないかも。あっちがった 妖女。 ろりいたのお話になるところだったわ あぶない あぶない
でも とてもおもしろそうです。読みたい
なんだか、字がいっぱいで・・・
星野之宣さんですね。本屋さんで見かけたら手にしてみます^^
ものごころつくまえに離婚しておいてくれたらよかった・・・のかも・・・
読んでみたくなりましたw
ヤマタイカ、、私も読みました。。。
あと神南火。。。他にもおもしろそうな作品がこんなにあるんですね。。
膨大な資料をもとに描いておられるんだと思います。。。
あ〜〜読みたいなぁ〜^^