新聞記者の仕事の将来
- カテゴリ:ニュース
- 2009/11/22 19:04:16
J-CAST NEWSの報道によると、毎日新聞が共同通信から記事の配信を受ける契約を検討中だという。日本の新聞の作り方がアメリカ型に変わっていく事になるかもしれない。
新聞社と通信社の違いを御存じだろうか?
新聞を取っている人ならざっと目を通せば分かるが、全国紙であれ地方新聞であれ、日本中のいろんな場所、世界中のいろんな場所で起こったニュースを載せている。
が地方新聞の場合、記事の最初か最後に小さく、あるいは括弧入りで「共同」「時事」、国外ニュースなら「AP」「ロイター」「AFP」などの文字が入っていないだろうか?
もし入っていたら、その記事はその新聞社の記者が書いた物ではなく、通信社という会社から買った文章なのだ。
日本国内なら共同通信か時事通信が2大通信社だ。
通信社というのは、自分では新聞、雑誌などの印刷された製品を制作せず、通信社が独自に雇っている記者が書いた原稿を、1本いくら、あるいは年間いくら、という契約で新聞社に売る商売である。
毎日新聞のような「全国紙」と呼ばれる大新聞社は、今までは通信社から記事を買う事を極力避け、全国に支局や通信所という地方取材の拠点を置き(1県に最低でも一か所、たいていは5,6か所)、また外国の主要都市にも多くの海外支局を開いて自社の記者を常駐させていた。
つまり、なるべく載っている記事の全てが自社の記者が書いた物であるようにしてきたわけだ。これは朝日、読売などの大手もおおむね同じだ。
ところが近年新聞を取らない人が増え、また企業がインターネット広告に力を入れ始めた結果、新聞広告に回ってくる予算が減り、新聞社の経営はどこも青息吐息だ。
日本全国にくまなく自前の支局などを置いて、どこで何が起きても自分のとこの記者が駆けつけられる、という体制を維持する事が大変な負担になってきた。
海外支局はなおさらのことである。駐留経費だけでなく、その国の言葉を流暢に操れる人材を確保、育成するコストは莫大なものだ。
実はアメリカでは、全国紙と言えるような新聞は USA Today とWall Street Journal の二つしかなく、どんなに有名な新聞、例えばニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなども、せいぜい一つか二つの州で販売している地方紙に過ぎない。
当然日本の全国紙のように、ひとつひとつの新聞社が全米、全世界をカバー出来るような記者の拠点網を持つ事は、不可能ではなくとも効率が悪い。
そこでアメリカの新聞社は共同でお金を出し合ってAPという通信社を設立し、記者会見とか単純な発表の内容を報じる記事などは、APに任せる事にした。
日本だって、テレビで放映されるような記者会見の内容を報じる記事なら、別にどこの新聞社の記者が書いても大体同じような内容の記事にしかならないはずだ。
そういう仕事は通信社にお任せして、新聞社はその事実の裏にある事情を深く掘り下げて分析するとか、権力側や企業の方からは絶対出してこない秘密をすっぱ抜く、いわゆる特ダネ狙いに専念する。
そういう一種の分業をアメリカの新聞社は行っている。アメリカの新聞を読む機会があったら、記事の冒頭か最後に「AP」とか「Reuters (ロイター)」とかのクレジットマークがあるはずだから、探してみて欲しい。
さて今回の毎日新聞の動き、社内でも賛否両論あってまだ決まったわけではないようだが、日本に新聞の制作方法を大きく変えてしまう可能性を秘めている。
たとえば首相が記者会見でしゃべった内容を正確に記事にするだけなら、それは「通信社の仕事」であって「新聞記者の仕事ではない」という話になってくる。
単純に何が起きたかという事実を伝えるだけしか出来ないなら、新聞記者は務まらない、という事にもなってくる。
「新聞記者」という職業の定義そのものが大きく変更される可能性がある。
それは「ジャーナリズム」の定義も変えるし、新聞記者やジャーナリストになれるには、どんな能力、勉強が必要か?という点もがらっと変えてしまう可能性がある。
まだどうなるかは分からないが、不況と新聞離れのダブルパンチに見舞われている新聞社が、大手全国紙といえども、これまでのような巨大組織をそのまま維持出来なくなっていく事は確かだろう。
そういう意味で、どこの新聞の読者であるかに関係なく、毎日新聞の動向は今後注視する必要がある。
毎日新聞じゃないけどw
大変ですねぇ><
【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ワシントン・ポストは25日付の紙面で、ニューヨークとシカゴ、ロサンゼルスにある3支局を閉鎖すると発表した。
これで同紙は国内にある全支局を閉鎖することになる。ワシントン・ポスト社の新聞部門は、広告収入や販売部数の落ち込みで業績が悪化。今年1~9月の3四半期で1億6670万ドル(約147億5000万円)の赤字を計上し、早期退職勧奨や社内組織の統廃合で経費節減を進めている。同紙の発行部数は約58万2000部で全米5位。
(2009年11月26日11時08分 読売新聞)
新聞社苦戦してますね。
ぜんぜんしりませんでした!
JOKERさんのブログすごい勉強になります!
ちなみに わたしは新聞は取っていないで
実家で読むか 職場で読んでます
しかし 不景気です なんとかなんないのかなぁ
最近新聞を読売→朝日に変えたのですが、ニュースで各紙読み比べなどを見ていると、何となく題目が同じというか、正直大差ないように感じていました。これからはもっとその傾向に進むのか、各紙バラバラの記事になるのか、少し楽しみです。
政府の記者会見は現在のところ記者クラブが仕切っているので、自社取材でも共同通信の情報でも大差なさそうですが、海外メディアが要望しているように政府会見が全面的にオープンになると様相が変わってくる気がします。
海外では記者会見自体、かなり際どい質問もありますよね。
もし、政府会見がオープンになって海外メディア(お説によれば通信社というカテゴリーに入るところが多くなりそうですが)が突っ込んだ質問をして配信するようになったら、日本の通信社の紋切り型記事がどう変わるのか見てみたいです。
いつも当たり前に思っているものも、だんだんと
時代とともに変わっていくんですね。
経費節減でしょうか?
時代の流れなのかな?
紙の新聞を読んでいたというと年齢がばれるような時代が来るのかな。。。
IT革命がここにも波及してきたということでしょうか。
新聞一つとっても いろいろ考えさせられるのですねww
これから先 どんどん就職とか大変になるのかなぁww
今の子供達が 働く時ってどうなっているんだろうなぁ
ちょっと 不安になっちゃいました
大変気になります。ずいぶん以前より、「乾いた雑巾を絞る毎日新聞のリストラ」
なんて言葉を聞いていたのですが、ますます厳しい事態突入ですか・・・。
新聞として記事になるには、昔ながらの形では
もう限界があるのかも知れませんね。
などなど。。。確かにネットの普及で新聞社が変わって行くのは、致し方ない気がします。。
より気概のあるジャーナリストが、育って欲しいと思います。。