リンリーン、電話がなる。

「もしもし、後輩のNです。」
「珍しいな。昼間に電話をかけてくるなんて。どうしたんだ。」

「半年以上、登場していないので、二コタの皆さんに忘れられてしまったんじゃないかと心配になって電話したんです。」
「すっかり、忘れられていると思うよ。今では、５年目の後輩K君の方が人気だ。じゃあな。」

「ちょっと、待ってください。先輩の日記が更新されてないので、心配になって電話したんですよ。」
「そうか。歴史ものに挑戦したら、思いのほか不評で、創作意欲を失っていたんだ。」

「煎餅食べながら、信長の野望をしていただけじゃないですか。」
「創作意欲を失ったので、煎餅を食べていたんだ。それにしても、歌舞伎揚げは美味しいな。食べ始めたら、止まらない。かっぱえびせんのライバルだな。」

「それに、二コタの皆さんが、先輩が料理やお菓子作りが上手だと誤解しているんじゃないかと思って、正しい情報を伝えたかったんですよ。」
「マーマレード以外は自慢したことないぞ。それにしても、わざわざ材料を買って作るスイーツより、その辺に転がっていた橙で作ったマーマレードの方が、どうして美味しんだ。今日も、ジョギングをしながら、公園になっている橙をかっぱらっていいかどうか悩んでしまったぞ。」

「勝手にとったらだめですよ。この前の回鍋肉なんて、砂糖大匙1/2なのに、1杯半いれたじゃないですか。分数の足し算が苦手だったのは、知っていますが、レシピには足し算も引き算も必要ないですよ。」
「甘くて回鍋肉とは全く違う料理になった。中華と思ったら違和感があるけど、スイーツだと思えば問題なかった。」

「今夜は、何を作るんですか。」
「うどんだ。」

「またですか。」
「昨日までの賞味期限のうどんが、20人前くらい残っているんだ。うちの妹は、一人暮らしの兄に賞味期限が1月しかないうどんを、どうして50人前も送ってくるんだ。分数以前の問題だ。」

「そのバターはなんですか。」
「メロンパンを作ろうと思ってな。」

「先週のそば粉入りパンが残っているじゃないですか。」
「レシピを調べていたら、『メロンパンは人体に超危険？栄養成分なく危険成分まみれ。』という記事があったんだ。お化け屋敷とかジェットコースターとか大好きだからな。金曜の夜だし、危ないことをするんだ。」

「いい年した大人だとは思えませんね。」
「6個つくる予定だけど、君には分けてあげない。じゃあな。」

ツーツーツー