オスカー・ブラッドレー博士の記し書き 7
- カテゴリ: 自作小説
- 2013/06/26 17:47:53
人は悲惨な事故
事件に直面すると
必ず思う。
神よ、なぜあんな悪魔を
遣わしたのか、と。
結論では、神は悪魔を
遣わしていない。
それどころか、
思考の段階で
助けになっている。
いくら神頼みとはいえ、
惨事をなかったことには
できないのだ。
人は悪に敏感である。
だが悪は一過性のもの...
いちはぜん、ぜんはいち。
人は悲惨な事故
事件に直面すると
必ず思う。
神よ、なぜあんな悪魔を
遣わしたのか、と。
結論では、神は悪魔を
遣わしていない。
それどころか、
思考の段階で
助けになっている。
いくら神頼みとはいえ、
惨事をなかったことには
できないのだ。
人は悪に敏感である。
だが悪は一過性のもの...
洞窟。
真っ暗だ。
明かりをつけてみる。
目の前に立ちはだかる
岩の壁が浮かんだ―――。
人間は、たいまつ、
ランプ、懐中電灯へと
明かりを照らす道具を
変えてきた。
洞窟を照らす道具に
やがては懐中電灯を
使うようになった。
洞窟を照らす
ということは
自分の過去を
照らすことに...
静かな水面に、
釣り糸を浮かべる。
やがてピンピンと引く様は、
魚たちが私を求めているようだ―――。
湖で釣りをしていると、
時折魚が浮きを引く。
その引き具合のおもしろさに
釣りがやめられないのだが、
果たして湖の魚は
私のことをどう思っているの
だろうか。
日没が来た。
...
「ブラント、前へ出ろ」
「はい、将軍」
ブラントは前へ進み出た。
向こうのフランス人どもが
はやし立てる。
「我らがイングランドの名において、
この地を占領しに参ったー」
ブラント補佐官は
目を細めて向こうのフランス軍を
睨んだ。
「異論はないな?」
ブラントは問いただす。
フランス人...
壺の中は神秘である。
壺は冥界にも
例えられる。
入ったら出られない
という類だろう。
もし、その中に本物の自由が
あるとして……
はたしてそれを見るために
手を突っ込むだろうか。
古代人はそれを禁忌と呼びならわした。
いわくつきのものは
認めないのである。
...