Nicotto Town



いつもの二人

目があった瞬間、気づいた。
街中の雑音が消え去り、時は水を打ったように静止した。
世界は見つめ合う二人だけのものになり、
まるで魔法にかけられたように動けなくなる。

「「あの…!」」沈黙に耐えられず、お互い声を上げる。
でもその後は続かず、交差点の信号は無情にも点滅し始める。
渋谷駅...

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君にありがとう(小説)

君と初めて会った時のこと、きっと一生忘れないだろう。
小さな手に触れて、私は自然と笑みがこぼれた。
君と出会ったのは運命で、君を守るのは私の使命なんだ。
私はこの瞬間、初めて自分の存在意義を理解した。

「ちょっと!書類直せって言ったのに全然直ってない!やる気あるの!?」
そう後輩に言ってから、自分...

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歯車(小説)

きっと僕は自ら求めていたんだろう。完璧でくだらないこの人生を狂わせてくれる何かを。
僕は幼い頃から大抵のことはできた。有名な旧家に生まれ、様々な習い事をしたが、できないことなどなかった。
しかし、成長するにつれて、世界に対して心が冷めていってるのが分かった。何に対しても熱くなれない。そりゃそうだ。生...

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窓から

「手術ならうけない」
「命がかかってるんだぞ」
「死に場所くらい自分で決める。それにあんたはなんか信用できない」
「…なぜだ」
「自分の胸に聞いてみるといい」

ぼくは外科の医師だった。これまで多くの難手術を成功させてきて、院内でも随一の腕を持っていると自負していた。
一方、相手の男は...

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そして、夜の街(小説)

「お兄さん、料理人かな?」
驚いた。職業を一発で当てられた。
「なぜわかったの?」
「やはりね。手の傷、包丁のものだろう」
「それだけじゃ料理人とは限らないんじゃ…」
「あとはさ、出てきたお酒をまずいと思ったでしょ?そんな顔してた。だから舌が肥えてる食に関する職業だと思ったんだ」
確か...

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